AMEDシンポジウム2017開催レポート:成果報告① IRUD(未診断疾患イニシアチブ)(1)

(抄録)

5月30日(2日目)講演成果報告① IRUD(未診断疾患イニシアチブ)
水澤 英洋氏(国立精神・神経医療研究センター 理事長)

写真/1枚目

IRUD(未診断疾患イニシアチブ、Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases:以下、IRUD)は、非常にまれで診断の付かない疾患の患者を対象に、遺伝子解析を含めた総合的な検討を行い、その原因を明らかにし、治療に結びつけていく取り組みです。プロジェクトはAMED設立の2015年度に開始し、約1年半で全国レベルの診断・解析体制を整備し、多くの診断を確定し新規疾患を発見するなどの成果を挙げています。今年度開始した「IRUD Beyond」により、国内の体制をより一層充実、網羅性を向上させるとともに、国際連携を発展させ、未診断にとどまる症例の情報共有と診断確定を目指します。IRUD事業全体の統括リーダーである国立精神・神経医療研究センター 理事長の水澤英洋先生にご講演をお願いしました。

はじめに

AMEDの研究開発事業「未診断疾患に対する診断プログラムの開発に関する研究」は、「IRUD(未診断疾患イニシアチブ)」として、全国をカバーする48人もの研究者が分担して推進しています。 

まず、2015年度に小児領域(IRUD-P)が国立成育医療研究センター研究所長の松原洋一氏がリーダーとなって始まり、2016年度に成人領域(IRUD-A)にも広げられ、2017年度からこの2つの領域が統合されました。代表機関は、国立成育医療研究センター、国立精神・神経医療研究センター、慶應義塾大学病院、横浜市立大学附属病院の4つで、遺伝子のホールエクソーム解析を行う遺伝子解析センターは4つあります。

Nan-Byoの歴史

英語には「難病」と同じ意味の言葉はなく、まさに「Nan-Byo」で、あえて訳すと「Rare disease」(希少疾患)という言葉が対応します。

1955年、スモン(SMON :Subacute myelo-optico -neuropathy)という視神経、脊髄、末梢神経が障害される重篤な病気が発生し、当初、原因不明の奇病と言われていました。厚生省(当時)が研究班を組織し研究を進め、整腸剤に使われていた「キノホルム」という物質が神経系に到達し障害を起こすことが分かり、同薬の使用を禁止し、新規患者を止めるという成果を上げました。

1972年に難病の基準ができて、研究・支援が始まり、2014年には新しい難病の法律ができ、56疾患から成人指定難病が306疾患、小児慢性特定疾患が704疾患に対象が増えました。さらにこの4月には、成人指定難病が330疾患、小児慢性特定疾患が722疾患に認定されて、研究対象が広がりました。

しかし、まだ診断さえついていない疾患もあり、その多くは遺伝性のもので、8400ぐらいはあるといわれています。そのうちの3400は、原因の遺伝子が未解明の状態で、診断が極めて難しく、患者は医療機関を転々としながら、なかなか診断がつかないという状況です。患者も主治医も、いわゆる“diagnostic odyssey”(終わりなき旅をさまよう)状況が続きます。

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