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2017年7月6日プレスリリース 「間葉系幹細胞の新鮮純化可能な細胞表面マーカーを同定」―間葉系幹細胞を用いた移植治療効果を向上させる可能性―

国立大学法人東京医科歯科大学
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

ポイント

東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科分子生命情報解析学分野の赤澤智宏教授、須藤絵里子グレースプロジェクト助教、馬渕洋助教らの研究グループは、間葉系幹細胞特異的に存在する細胞表面マーカーとしてecto-5’-nucleotidase (CD73)を同定しました。この研究は文部科学省「科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業」、日本医療研究開発機構(AMED)「再生医療実用化研究事業」、文部科学省科学研究費補助金の支援をうけた人材が実施したもので、その研究成果は、国際科学誌Scientific Reports (サイエンティフィック・リポーツ)オンライン版に、2017年7月6日午前10時(英国時間)に発表されます。

説明図(説明は図の下に記載)

(図) 骨髄のCD73陽性分画には間葉系幹細胞(MSC)が濃縮されており細胞移植効率が向上する

研究の背景

間葉系幹細胞は骨髄、脂肪、関節滑膜、歯髄などに存在し、骨・軟骨・脂肪への多分化能を有しているほか、免疫調節機能を持っていることが報告されています。間葉系幹細胞を用いた再生医療や細胞治療は、現在、世界各国で約800件の臨床試験が実施されており(2017年3月末)、移植治療の有効性が報告されております。移植に用いられている間葉系幹細胞は、組織から得られた細胞を培養ディッシュで培養した増殖性の細胞集団です。間葉系幹細胞以外の細胞が混在している可能性があります。幹細胞を利用した次世代医療が進められる一方で、間葉系幹細胞を明確に識別できるマーカーが無いことや、移植細胞の生着率が低いことが未だ問題として残っていました。

研究成果の概要

研究グループは、ラット間葉系幹細胞に特異的な表面マーカーを明らかにするため、フローサイトメーターによる抗体スクリーニングを行い、複数の有力な表面マーカーを同定しました。中でもCD73マーカーは、CD73陰性分画には間葉系幹細胞は存在しないこと、また単一抗体だけで間葉系幹細胞を識別できることから、有用なマーカーであると判断しました。また、CD73抗体によって新鮮純化された細胞塊は、マクロファージ等の炎症性細胞浸潤が少なく、移植部に定着しやすいことが明らかとなりました(図)。CD73をはじめ、細胞表面に存在する表面マーカーは培養後に大きく変化してしまい、一旦培養してしまうと間葉系幹細胞を純化することが困難になることが示唆されました。CD73マーカーはラット間葉系幹細胞のみならず、ヒトやマウスの間葉系幹細胞の新鮮純化にも応用可能であることが明らかとなり、様々な種類の間葉系幹細胞の特性比較や移植モデルの確立に応用が可能だと考えられます。

研究成果の意義

本成果において、間葉系幹細胞に特異的な表面抗原としてCD73の同定に成功し、新鮮純化した間葉系幹細胞を用いた皮下移植実験により、移植効率が向上することを明らかにしました。ヒトやマウスの骨髄からもCD73抗体を用いて間葉系幹細胞が分離できたことから、CD73は間葉系幹細胞のユニバーサルマーカーとなりうる可能性があります。CD73陽性間葉系幹細胞は、移植部位への高い定着性を示すことが明らかとなったことから、ヒト間葉系幹細胞を用いた移植治療の際の有用な分離方法になることが期待されます。今後、CD73マーカーとMSCの移植効率の関連性を解析していくことで、移植治療の効果を高める手法の開発を行っていく予定です。

論文情報

掲載誌:
Scientific Reports
論文タイトル:
Prospectively isolated mesenchymal stem/stromal cells are enriched in the CD73+ population and exhibit efficacy after transplantation.

お問い合わせ先

研究に関すること

東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科
分子生命情報解析学分野  赤澤智宏(あかざわ ちひろ)
TEL:03-5803-5362
E-mail:c.akazawa.bb“AT”tmd.ac.jp

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東京医科歯科大学 総務部総務秘書課広報係
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TEL:03-5803-5833 FAX:03-5803-0272
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最終更新日 2017年7月6日

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