お知らせ

2017年8月28日プレスリリース 2万3千人分の生体試料・情報の分譲を開始―ゲノム解析情報から健康調査情報までの統合的情報を全国の研究者へ―

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

東北メディカル・メガバンク計画(*1)は、SNPアレイ(*2)等で解析し遺伝型決定が行われた約2.3万人分の生体試料・情報の分譲を開始します。本対象は平成25年度に開始された当計画のコホート調査(*3)の初年度に参加した成人を網羅したものです。なお、当計画では本年2月から1万人規模の地域住民のDNA、血漿、血清、健康調査情報及びSNPアレイ情報(一塩基多型の個人毎遺伝型)の分譲を行っていますが、今回はその規模を人数で2倍以上、データ規模で約30倍に拡大したものです。

今回の分譲対象拡大により、東北メディカル・メガバンク計画は、我が国において類例のない、大規模なコホート調査におけるゲノム情報と生活習慣等の情報の提供を開始します。これにより、当計画が目指す、個別化予防等の次世代医療の実現へ向けて、これまで難しかった遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って起こる疾病の原因解明などの研究の飛躍的な進展が期待されます。

この度、分譲の対象となる約2.3万人の情報は、ジャポニカアレイ®(*4)などのSNPアレイによって解析され、更にインピュテーション技術(*5)によって全ゲノム復元された情報又は全ゲノム情報が含まれており、データの規模は現在の約30倍になります。これらの情報は、全員分について、コホート調査によって得られた血液・尿検査情報や、アンケートの調査票由来の罹患歴、生活習慣情報などの健康調査情報と紐づけられています。膨大なデータは、当計画において開発された統合データベース「dbTMM」(*6)に格納され、任意の条件でのデータの抽出や相関関係の解析が可能となります。更に、未知の相関関係を検出する機械学習などの技術開発に向けた情報基盤としての活用も期待されます。

分譲を申請できるのは、日本の学術研究機関(非営利機関)と、本社が日本にある企業等の研究所に所属する研究者です。被災地を中心とした人々の健康の維持・増進への貢献、東北発の予防医療・個別化医療等の次世代医療の実現、創薬等の新たな産業の創出などの所定の目的に沿った研究への利用が求められます。なお、分譲後に生じた知的財産は、基本的に利用者に属します。

なお、当計画では、平成25年度より8万人規模の一般成人を対象とした地域住民コホート(*7)、及び妊婦を対象に声掛けし家族の参加を促した7万人規模の三世代コホート(*8)を実施しており、本年春までに目標人数を上回る参加を得て新規募集を完了し、現在は追跡調査のフェーズに入っています。本コホート調査を基に得られた試料・情報は、東北メディカル・メガバンク機構のバイオバンク(*9)に蓄積し、平成27年8月より外部機関に分譲しています。分譲は、両大学以外の有識者を中心とした試料・情報分譲審査委員会において審査の上、個人情報の管理等に配慮したセキュリティーポリシーの厳格な運用のもとに行っており、これまでに9件が成立しています。

東北メディカル・メガバンク計画は、平成27年度より、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が本計画の研究支援担当機関の役割を果たしています。本計画の事業の実施は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構とが連携して行っています。

一部のSNPアレイ解析は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構委託事業オーダーメイド医療の実現プログラムとの共同研究として実施されました。

用語解説

(*1) 東北メディカル・メガバンク計画:
東日本大震災からの復興事業として計画され、宮城県では東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)、岩手県では岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構(IMM)が事業主体となり、15万人の参加を目標とした長期健康調査(地域住民コホート調査: 8万人、三世代コホート調査: 7万人)を実施している。さらに長期健康調査でお預かりした生体試料と医療情報等を統合したバイオバンクを構築している。
(*2)SNPアレイ:
SNP(一塩基多型)を解析できるDNAマイクロアレイ。SNPとは個人間でゲノムの1塩基が異なる状態。通常は一定以上の頻度で存在するものをSNPと呼ぶ。
(*3)コホート調査:
ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝的要因などと疾病の関係を解明するための調査のこと。
(*4)ジャポニカアレイ®:
「全ゲノムリファレンスパネル(1KJPN)」を基に開発された、独自のSNP選択アルゴリズムを実装した日本人ゲノム解析ツール。
(*5)インピュテーション技術:
リファレンスパネルと組み合わせることでSNPアレイによる計測をしていない数百万のSNPの遺伝子型を推定する情報科学的手法。
(*6)統合データベース「dbTMM」:
東北メディカル・メガバンク計画で収集されたコホート参加者の健康調査情報、ゲノム情報を統合した大規模データベース。手続きを経て、任意の条件で検索・閲覧可能で、dbTMMから情報分譲がなされる。
(*7)地域住民コホート:
宮城県・岩手県の住民票を持つ20歳以上の方を対象にしたコホート調査。平成25年度から、宮城県では東北大学が、岩手県では岩手医科大学がそれぞれ実施し、平成27年度末までに8万4千人超の参加者を得た。
(*8)三世代コホート:
宮城県に住民票を持つ妊婦さんと生まれたお子さんを中心にした家系情報付きコホート調査。東北大学が実施し、平成29年までに約7万3千人の参加者を得た。
(*9)バイオバンク:
生体試料を収集・保管し、研究利用のために提供を行う。東北メディカル・メガバンク計画のバイオバンクは、コホート調査の参加者から血液・尿などの生体試料を集める。

参考

当計画により分譲可能な試料・情報
時期分譲対象
平成29年8月 分譲開始

ゲノム解析(SNPアレイ(ジャポニカアレイ®もしくはHumanOmniExpressExome BeadChip array)または全ゲノム解析)済の対象者の試料(DNA、血漿、血清、尿)及び情報

  1. 基本情報(年齢・性別)
  2. 健康調査情報(検体検査情報、調査票(生活)情報、特定健康診査情報) ※ただし、自由記載の項目は除外する
  3. SNPアレイ情報(一塩基多型の個人毎遺伝型)及びそのインピュテーション情報又は全ゲノム解析情報 ※ただし、自由記載の項目は除外する
約2.3万人
現在分譲中 1,070人の日本人ヒト全ゲノム解析に基づく高精度の住民ゲノムパネル(1KJPN)の対象者の試料および情報(ゲノム情報等) 約1,000人
1万人のSNPアレイ(HumanOmniExpressExome BeadChip array)解析済の対象者の試料(DNA、血漿、血清、尿)および情報 約1万人

注:上記のほか、年内に、➀約1,000人分の血漿オミックス解析対象者の生体試料・情報(ゲノム情報およびオミックス情報等)及び➁約2,000人分(血漿オミックス解析対象者及び現在分譲中ものを含む。)の日本人ヒト全ゲノム解析に基づく高精度の住民ゲノムパネル(2KJPN)の対象者の生体試料・情報(ゲノム情報等)を分譲開始予定。

説明図(説明は本文中に記載)

お問い合わせ先

分譲に関すること

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
試料・情報分譲室
室長 鈴木 吉也(すずき きちや)
電話番号:022-273-6411
Eメール:dist“AT”megabank.tohoku.ac.jp

報道に関すること

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
長神 風二(ながみ ふうじ)
影山 麻衣子(かげやま まいこ)
電話番号:022-717-7908
ファックス:022-717-7923
Eメール:f-nagami“AT”med.tohoku.ac.jp

岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構
遠藤 龍人(えんどう りゅうじん)
電話番号:019-651-5111(内線5509)
ファックス:019-907-0711
Eメール:ryuendo“AT”iwate-med.ac.jp

AMED事業について

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基盤研究事業部 バイオバンク課
電話番号:03-6870-2228
Eメール:tohoku-mm“AT”amed.go.jp

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最終更新日 2017年8月28日

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