トピックス カタリン・カリコ博士のノーベル生理学・医学賞の受賞を祝して

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カリコ博士の忍耐、情熱、飽くなき探究心が人類を救った―ノーベル生理学・医学賞受賞に寄せて―

米国ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ博士のノーベル生理学・医学賞の受賞、心よりお喜び申し上げます。博士の忍耐や情熱、科学技術の進歩への飽くなき探求心により、人類は、感染症のパンデミックに立ち向かうためのmRNAワクチンという極めて有効な武器を手に入れることができました。博士らの功績がなければ、私たちはいまだパンデミックの渦中にいたことでしょう。
今回受賞の「COVID-19に対する効果的なmRNAワクチンの開発を可能にしたヌクレオシド塩基修飾に関する発見」の研究は、それまで困難と思われていたmRNAワクチンの実現への道を切りひらきました。その後、多くの研究者や企業などの努力によりmRNAワクチンが開発され、COVID-19のパンデミックの発生からわずか一年足らずでワクチン接種まで至ったことは記憶に新しいところです。

AMEDは、mRNAワクチンを含む感染症ワクチンの研究開発支援を進めています。昨年3月には、AMED内に先進的研究開発戦略センター(SCARDA)を設置し、将来のパンデミックへの備えとして、重点感染症に対する複数のワクチン開発を支援しており、mRNAワクチンの開発もこの対象に含まれています。また、本年8月には、以前からAMEDで支援していた課題の一つである国産mRNAワクチンが無事薬事承認に至りました。
引き続き、我々は、感染症有事にいち早く、安全で有効な、国際的に貢献できるワクチンを国内外に届けるため、基礎から実用化までの研究開発支援に取り組んでまいります。

今後も博士らの更なる御活躍をお祈り申し上げます。

カリコ博士が「mRNAワクチン開発への先駆的研究」の業績により2022 Japan Prizeを受賞したことを祝う駐日ハンガリー大使館の会にて
左よりパラビノチ駐日ハンガリー大使(当時)、SCARDA濵口センター長、カタリン・カリコ博士、AMED三島理事長(2022年4月14日撮影)(Photo Credit: Embassy of Hungary / Maciej Komorowski)

2023年12月8日
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
理事長 三島良直
先進的研究開発戦略センター(SCARDA)長 濵口道成

掲載日 令和5年12月8日

最終更新日 令和5年12月8日