AMEDについて 理事長あいさつ

医療研究開発は“マラソンではなく駅伝”です。AMEDは異なる研究分野のたすきを受け継ぎ、1本につなぎます。

理事長・末松誠患者さん一人一人に寄り添い、
その「LIFE(生命・生活・人生)」を支えるための
ゴールを目指して

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が、医療分野の研究成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすることを目指す新たな組織として発足してから、満2年が経過しました。AMED設立の真価が問われる段階に入ったと理解しており、改めて気が引き締まる思いが致します。

AMEDは医療研究開発のスピードを加速するため、予算を一元化し、重点的・戦略的に配分、基礎から実用化まで切れ目なく進めていくことを目指しています。これはスポーツに例えると、“マラソンではなく駅伝”です。基礎から実用化までのさまざまなフェーズで、異なる研究分野の多数の専門家がたすきを受け継ぎ、1本につないで遠くに輝くゴールを目指して休むことなく走り続けます。今後、薬事審査に進むまでの開発(申請)ラグの解消等のさまざまな課題について、AMEDがあらゆるフェーズの専門家をつなぎ合わせる橋渡し役となって医療研究開発を促進していきたいと考えています。

スピードの加速のためには、研究費を効果的・効率的に使っていただく環境の整備が重要です。そのために昨年度までに研究費の合算使用や、取得した機器の共同利用・他目的使用、年度をまたぐ物品の調達等、予算の仕組みを合理的に改革しました。積極的にご活用いただきたいと願っています。

研究成果も着実に生まれつつあります。平成27年度に始めた「希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD)」では、国内200以上の協力病院の連携で、診断がつかない日本全国の患者さん約2300家系を登録し、遺伝子解析拠点で一括して解析とマッチング作業を行いました。まだ1年半ほどですが、教科書に記載のない新疾患が10以上見つかりました。

このような疾患は患者さん固有の情報が少なければ診断につながりません。そこで研究者が集めたさまざまなデータを共有し、皆で活用する「データシェアリング」の仕組みをつくることにも力を注いでいます。国際的な協力体制が欠かせないため、平成29年4月現在、海外の5つの医療系ファンディング機関と協力体制を築き、6つのコンソーシアムに加盟しています。がんのゲノム医療研究でも国際的なデータシェアリングが大きな成果につながっています。

今年度は、①国際性を高めるため、全ての課題について英語のサマリーの提出やピアレビューによる評価を始めます、②医療研究をよりスムーズに進められるよう、セントラルIRB(中央倫理・治験審査委員会)の整備に力を入れます、③IRUDで作ったデータシェアリングの仕組みを他の事業へ応用展開します、④医療ICT基盤の整備と並行した臨床画像情報等の共有により研究開発空間の利活用を推進していきます。

この他、医療現場での手技や実際に患者さんを支援するプログラム等、“目に見えない”現場のアイデアを生かす「メディカルアーツ」という医療の変革をもたらす技術につながる研究開発を推進したいと考えています。

また、平成28年度第2次補正予算により創設した「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)」が稼働します。産学官の連携による新たな医薬品開発や次世代型の医療イノベーションの基盤構築を目指す事業、また臨床で見つかった課題を基礎に戻って研究で解決法を見いだし再び臨床応用へとつなぐ“リバース・トランスレーショナル・リサーチ”基盤の形成等を行う事業に原則10年間使える資金を支援し、最長25年後までに返済していただく取り組みです。

こうした取り組みは全て、患者さん一人一人に寄り添い、患者さんの「LIFE(生命・生活・人生)」を支える、医療研究の成果を届けるというゴールを目指すためにあります。そのためAMEDは、多数の研究分野の“たすき”を受け継ぎ、国民全体の健康増進や医療発展への橋渡し役として、日々まい進してまいります。

平成29年4月1日
日本医療研究開発機構理事長 末松 誠

最終更新日 平成29年4月1日