トピックス Translation Together トランスレーショナルサイエンティストの素養とは ―Translation Togetherからの提言―
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AMEDが加盟する国際コンソーシアム「Translation Together」が、トランスレーショナルサイエンティストの教育・育成を提案する総説を公表いたしました。
総説の概要
Translation Together(※1)はその活動目的の1つに、トランスレーショナルサイエンス(※2)の普及とその担い手となるトランスレーショナルサイエンティストの育成を掲げています。本総説ではトランスレーショナルサイエンティスト人材のあるべき姿(Fundamental Characteristics)として、以下の7つの素養を挙げています(Infographic参照)。
- Boundary Crosser:分野の垣根を越えられる人材
- Domain Expert:特定分野で高い専門性を持つ人材
- Team Player:チームプレイを理解し実践できる人材
- Process Innovator:革新的なプロセスを創造できる人材
- Skilled Communicator:コミュニケーション力の高い人材
- Systems Thinker:俯瞰的な評価ができる人材
- Rigorous Researcher:厳格な姿勢で研究に取り組める人材
医薬品の開発プロセスは、基礎研究、非臨床試験、臨床試験といった一連の開発ステージから成り、これらを段階的に進めていく必要があります。この一連のプロセスを、各ステージで開発に関わる人々(ステークホルダー)がシーズという名のバトンを発展させながら次のステージにつないでいく“リレー”のようなものと表現するならば、トランスレーショナルサイエンティストは、バトンをスムーズにつなげるためのサポートをする“伴走者”と言えるかもしれません。
開発を効率的に進めるには、現時点の状況を理解するだけでなく、次の開発ステージで求められる事項を俯瞰的に把握し、ステージ間の連携を取ることが必要になるでしょう。また、患者(社会)や医療現場の声を正しく理解し開発者に届けることや、専門分野が異なるステークホルダー同士が誤解なく情報共有できるようにすることも大切です。Translation Togetherでは、このような役割を果たす人材、すなわちトランスレーショナルサイエンティストの育成は急務であるとし、国際的な連携の下、教材や教育プログラムの整備を進めております。本総説はそのような活動の一環として、トランスレーショナルサイエンティスト人材のあるべき姿について国際的なコンセンサスを得ることを目的としています。
Infographic『トランスレーショナルサイエンティストの素養』
用語解説
- ※1:Translation Together
- トランスレーショナルサイエンスの啓発、推進、人材育成などを目的として2014年に発足した国際ネットワーク。AMEDは2018年2月に加盟。現在、NCATS(米国)、EATRIS(欧州)、CDRD(カナダ)、TIA(オーストラリア)、LifeArc(英国)、AMED(日本)の6組織がパートナーシップを結んでいる。
- ウェブサイト:Translation Together
- ※2:トランスレーショナルサイエンス(Translational Science)
- 医薬品などの研究シーズを実用化するための「橋渡し研究(トランスレーショナルリサーチ)」を効率よく遂行するための考え方や原理について科学的に議論する学問分野。Translation Togetherでは、トランスレーショナルサイエンスに基づいて橋渡し研究を推進する人材を「トランスレーショナルサイエンティスト」と呼び、人材育成や教育プログラムの整備を進めている。
掲載情報
- 【掲載雑誌】
- ACS Pharmacology & Translational Science
- 【総説タイトル】
- The fundamental characteristics of a translational scientist
- (トランスレーショナルサイエンティストの素養)
- 【著者名】
- C. Taylor Gilliland, Julia White, Barry Gee, Rosan Kreeftmeijer-Vegter, Florence Bietrix, Anton E. Ussi,
- Marian Hajduch, Petr Kocis, Nobuyoshi Chiba, Ryutaro Hirasawa, Makoto Suematsu, Justin Bryans,
- Stuart Newman, Matthew D. Hall and Christopher P. Austin
- 【掲載日時】
- 2019年5月2日(米国時間)にACS Pharmacology & Translational Science誌のウェブサイトに掲載
- 【URL】
- https://doi.org/10.1021/acsptsci.9b00022
掲載日 令和元年5月14日
最終更新日 令和元年5月14日