ニュース 平成30年2月26,27日 AMED-RISTEXヘルシーエイジングシンポジウムを開催いたしました

開催報告

AMED-RISTEXヘルシーエイジングシンポジウム

AMEDロンドン事務所は、RISTEX*及びLINK-J*との共催、駐日英国大使館の後援のもと、平成30年2月26日、27日の両日、日本橋ライフサイエンスハブにて「AMED-RISTEXヘルシーエイジングシンポジウム」を開催いたしました。

本シンポジウムは、平成29年4月12日にロンドンで開催した「ヘルシーエイジングに関するシンポジウム」に続く第2回目の開催であり、前回シンポジウムの議論も踏まえ、特に健康増進・疾病予防・重症化予防に着目し、1日目は「デジタルヘルスの開発と評価」、2日目には「社会にインパクトをもたらす研究とは何か~健康長寿・疾病予防の観点から~」をテーマとして、日・英の研究者、地方自治体より8題の発表とパネルディスカッションを行いました。

会場の様子

1日目は、英国UCL(University College London)のスーザン・ミッキー教授、ロバート・ウェスト教授より技術革新の早いデジタルヘルスの開発と評価方法やその課題を説明いただき、信州大学の増木静江准教授より携帯アプリを活用したインターバル速歩の普及、神奈川県の山口健太郎ヘルスケア・ニューフロンティア推進統括官より神奈川県の「未病」に向けた様々な取組を紹介いただきました。パネルディスカッションでは、デジタルヘルス実用化に向けたアカデミアと企業の協働の重要性、高齢者など新しい技術へのアクセスが難しい人への対応、デジタルヘルスの有効活用(利用者のエンゲージメント)の必要性などが指摘されました。

  • スーザン・ミッキー教授による講演
  • ロバート・ウェスト教授による講演
  • パネルディスカッションの様子

2日目は、英国UCLのロバート・ウェスト教授よりエビデンスに基づく禁煙サービスをどのように英国に普及したか、グラスゴー大学のローレンス・ムーア教授より研究におけるプロセス評価の手法等を説明いただき、千葉大学の近藤克則教授よりJAGESの取組とともに政策やサービスの設計科学の必要性、東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長より自治体との協働による虚弱化予防を紹介いただきました。パネルディスカッションでは、個人だけでなく環境も含めあらゆる階層にアプローチするコンプレックス介入の重要性、介入研究で「何がうまくいったのか」だけでなく、「なぜうまくいったのか」を評価する必要性、様々なステークホルダーと研究のデザイン段階から協働する必要性などが指摘されました。

  • ローレンス・ムーア教授による講演
  • パネルディスカッションの様子

シンポジウムの最後には、津田塾大学の森田朗教授に2日間の内容をとりまとめていただき、デジタルヘルス等を通じて集めたデータの活用やモニタリングの重要性、論文をゴールとせずその先の政策や実用化を見据えた研究を行うことの重要性、研究の専門化が進み精度の高い研究が追及される傾向にある中「不確実性を許容」し、「社会に還元される科学」が必要であることなどを指摘されました。

AMEDロンドン事務所では、海外の最新の動向も捉えながら、今回のようなシンポジウムを通じて、今後どのような研究や取組が必要か、研究者のみならず企業、自治体、保険者、政府関係者などのステークホルダーとともに考え、今後の研究支援の在り方に役立ててまいります。

森田朗教授による挨拶

*RISTEX:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の一組織である社会技術研究開発センター
*LINK-J:一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(Life Science Innovation Network Japan)

掲載日 平成30年3月14日

最終更新日 平成30年3月20日