本シンポジウムでは、Patient Engagement Community と昨年発足したBioethicsCommunity の両者が協力して、 ICH-E8(臨床試験の一般的な指針)の改正で提唱されている患者や医療者を含むマルチステークホルダーによる試験計画への関わり、DCTに代表されるデジタル技術を活用した取り組み、ヘルシンキ宣言の改訂の計画などにより変わりつつある医薬品開発の環境に対して、「患者が治験に参加すること」を問い直します。
「治験に参加すること」は、患者は当然のこと、治験に関わるもの全てにとって重大な意味を持つものです。そのため、治験実施に関わる様々な立場の人たちが、「患者が治験に参加すること」に対する理解を深め合うことが必要不可欠です。本シンポジウムでは、目まぐるしい変化をとげている医薬品開発の環境に対して、それぞれの立場で自分たちが感じていること、取り組みや課題について共有し、新たな解決策をさまざまな角度から探求します。
患者参画の取り組みはすでに進められていますが、患者が治験に参加しやすい環境をつくるためには、さらなる改善が必要です。医療従事者は、現場において、患者の意思決定支援を日々工夫していますが、そのナレッジシェアはあまりされていません。治験審査委員会は、治験に関する重要な判断を下す場ですが、その過程において、実際にどのような意見が交わされ、治験の資料がどのように評価されているかはよく知られていません。製薬企業では、説明文書の改良やホームページの治験情報の公開など、治験参加を促進する取り組みを行っていますが、患者が参加しやすい治験に向けた工夫として他にできることはまだまだあるはずです。
このシンポジウムでは、治験に関わるそれぞれの立場からの経験や知識をもとに意見交換し、自分たちや異なる立場の人たちが抱える問題や課題についても共有することができ、参加者が新しい時代の治験の実現に向けた一歩を踏み出していくための新しいレンズ(視点)を獲得することを目指します。また、本会の後には交流会を設け、自由に意見交換・対話できる場もご用意しておりますので、更なる学びを深めたり、交流することもできます。
みなさんのご参加を心よりお待ちしています。