プレスリリース 日本の医療に革新をもたらす計測・分析技術の開発を支援します―平成27年度「先端計測分析技術・機器開発プログラム」新規採択課題決定―

国立研究開発法人日本医療研究開発機構（AMED、理事長：末松 誠）は、｢オールジャパンでの医療機器開発｣の一環として、計測・分析分野における「革新的・先進的な技術シーズ」を医療機器の実用化につなげる研究開発を推進します。具体的には、AMEDが運営・執行する「先端計測分析技術・機器開発プログラム※」において、これらの「技術シーズ」を「医療・臨床ニーズ」に適応させるための研究開発を推進します。

平成27年度は①要素技術タイプ、②先端機器開発タイプの2区分について、合計で144件の提案があった中から、下記の6件を新規事業として採択しました。

※「先端計測分析技術・機器開発プログラム」は、文部科学省事業として科学技術振興機構（JST）が運営・執行していますが、このうち「医療機器開発につながる技術シーズ」については、AMEDに移管して各省事業の連携による「研究領域や研究フェーズをまたぐ」運営・執行を行い、医療への応用（医療機器としての実用化）を加速化します。

なお、今回採択した6課題（技術シーズ）は、以下のような今後の医療等への応用が期待されます。

• 「マイクロ波散乱場断層イメージングシステム」は、無痛で被曝せず、かつ病変部の描出性能に優れた革新的な乳がんの画像診断システムとなります。実用化すれば、乳がん検診の受診率と画像診断の確度向上に寄与すると考えられます。②－1
• 「疾患特異的な糖タンパク質について糖鎖とタンパク質を同時分析する技術」は、針生検に代わる低侵襲な診断技術となります。実用化すれば、血液を用いてがん（まずは前立腺がん）を確度高く診断できるシステムとなり、医療費と患者の身体的な負担が大幅に軽減できると考えられます。②－3
• 「特定遺伝子の変化（DNAのメチル化）を選択的に短時間で自動分析する装置」は、後天的な遺伝子の変化を血液検査で明らかにし、がんなど疾病の発生メカニズムの解明・解析に大きく貢献します。実用化すれば、様々ながんの簡易診断や治療効果の検証が可能になると考えられます。①－2

• 「自己抗体を微量の血液から網羅的に分析する技術」は、自己免疫の状態という新たな指標を提供することで、多くの難病やアレルギーの診断・治療につながります。実用化すれば、新しい治療方法の開発のほか、細胞を用いた機能再建などの再生医療の実用化にも寄与すると考えられます。②－2

• 「疾病関連分子と相互作用する特殊な分子（アプタマー酵素サブユニット）」は、標的（原因分子）を超高感度（pM以下）かつ迅速（5分）で診断できる技術となります。実用化すれば、敗血症や子宮内感染などの緊急性の高い疾患の、迅速な診断・治療に活用されることが考えられます。①－1

• 「組織を生きたまま電子顕微鏡で観察できる技術（ナノスーツ法）」は、組織や細胞の微細な形態情報を病理診断に活用できる可能性があります。実用化すれば、病理診断の大幅な精度向上が期待されます。①－3