成果情報 京都大学特別教授 本庶 佑博士のノーベル生理学・医学賞受賞のお祝い―理事長談話―

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京都大学特別教授 本庶 佑博士がノーベル生理学・医学賞を受賞されることに、心からお祝いを申し上げます。

受賞理由は、負の免疫制御作用の阻害による新しいがん治療法の発見です。本庶博士は1992年に免疫T細胞の表面にあるたんぱく質(受容体)「PD-1」を発見、またPD-1が特定の分子と結びつくことで免疫にブレーキをかけることを解明し、この働きを抑制することでがんを治療できることを明らかにしました。この研究により従来とは異なる原理に基づく新しいがん免疫療法の道が切り拓かれるとともに、PD-1に作用する抗体医薬「ニボルマブ」(商品名「オプジーボ」)の開発につながり、多くのがん患者に希望を与えました。

本庶博士はAMEDの下記の研究課題の代表者として現在もPD-1のメカニズム解明やPD-1抗体治療効果予測バイオマーカー探索等に取り組まれています。

2012年の山中博士、2015年の大村博士、2016年の大隅博士に続く同賞の受賞は、わが国の医療分野の研究開発レベルが世界のトップクラスの水準にあることを示しており、大変誇らしく思います。

本庶 佑博士の受賞を心からお祝いするとともに、AMEDが我が国の医療の発展に貢献し、研究の成果を一分一秒でも速く患者さんやご家族にお返しできるよう、より一層の努力を続けて参ります。

2018年10月1日
 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事長 末松 誠

【参考】関連AMED事業

(研究代表者の課題)
①次世代がん医療創生研究事業
研究課題名:「抗PD-1抗体不応答性がん患者に有効な併用治療薬の開発」(2016~2021年度)
②創薬基盤推進研究事業
研究課題名:「血中PD-1リガンド検出エライザー法によるPD-1抗体がん治療法の有効性診断薬開発」(2014~2016年度)
(共同研究者等の課題)
③革新的先端研究開発支援事業ユニットタイプ(AMED-CREST)
「疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出」研究開発領域
研究課題名:「腸内細菌叢制御による代謝・免疫・脳異常惹起メカニズムの解明と治療応用」
(分担研究者 代表:Fagarasan Sidonia)(2014~2019年度)
④革新的医療技術創出拠点プロジェクトの京都大学拠点において、支援シーズ登録
研究課題名:がんの罹患予測とPD−1抗体治療効果予測のコンパニオン診断薬の開発

掲載日 平成30年10月1日

最終更新日 平成30年10月1日