2027年度 HFSP中曽根賞受賞者が発表されました
トピックス
国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)は、2027年度のHFSP中曽根賞が V. ナリー・キム博士に授与されると発表しました。
受賞理由は「遺伝子発現の新たな制御層を確立する非典型的なRNAテーリング経路」の画期的な発見に対してです。
キム博士は現在、IBS(基礎科学研究院)RNA研究センターのセンター長およびソウル大学校の特任教授を務めています。
キム博士は、RNAテイル(末端配列)の構成が安定性や翻訳をどのように制御するかを明らかにすることで、遺伝子発現の新たな制御メカニズムを確立し、持続性の高いmRNA医薬やワクチン開発の分子基盤を築きました。さらに、mRNAのテイル部分が制御情報をコードする化学的多様性を有しており、それによって細胞やウイルスの様々な環境での遺伝子制御が可能になることを実証しました。また、ウイルスがこのテイル修飾機構を乗っ取っているという事実は、抗ウイルス介入のための新たな道を切り開きました。
「キム博士の発見は、RNA医薬のための分子ツール開発に新たな原理をもたらす遺伝子制御の新規経路を確立したものであり、HFSPOとして彼女を称えることを大変嬉しく思います。これこそが中曽根賞の真髄です。つまり、ある学問分野全体の最前線を文字通り前進させた先駆者たちに授与される賞なのです。」とパべル・カバトHFSPO事務局長が賛辞を述べています。
V. ナリー・キム博士の評価や引用の詳細については、HFSPウェブサイトに掲載されている2027年のHFSP中曽根賞の解説を参照してください。
HFSP 及びHFSP中曽根賞について
国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)は、生命科学のフロンティアにおける国際的・学際的な共同研究と若手研究者が学際的研究能力を身につけるトレーニングを推進するために1989年に設立されました。その目的は、生命科学に焦点を当てた最先端の学際的研究を振興するために、大陸間に跨がる研究者の共同研究や若手研究者が自身の専門と異なる分野の研究機関に長期間滞在してトレーニングを受けることを推し進めることです。HFSPOは、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イスラエル、イタリア、日本、大韓民国、ニュージーランド、ノルウェー、南アフリカ、シンガポール、スイス、英国、米国の政府や研究支援機関、ならびに欧州委員会からの財政支援を受けて運営されています。このプログラムでは、これまでに世界中の9,000人以上の科学者に対して共同研究助成及びポスドクのフェローシップを授与しています。
HFSP中曽根賞は、生命科学の最先端の分野で重要なブレークスルーをもたらした科学者を顕彰するために2010年に創設されました。プログラム開始以来、31名のHFSP研究グラント受賞者と4名のHFSP中曽根賞受賞者がノーベル賞を受賞しています。ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの創設を提唱した日本の中曽根康弘元首相の先見の明を私たちに思い起こさせます。
これまで、Karl Deisseroth (2010) 、Michael Elowitz (2011) 、Gina Turrigiano (2012) 、Stephen Quake (2013) 、Uri Alon (2014) 、James Collins (2015) 、Jennifer Doudna 、 Emmanuelle Charpentier (2016) 、David Julius (2017) 、SvantePääbo (2018) 、Michael Hall (2019) 、Angelika Amon (2020) 、Anthony Hyman、Clifford Brangwynne (2021) 、Aviv Regev、Franz-Ulrich Hartl 、Arthur L.Horwich (2022) 、Rotem Sorek (2023) 、Maiken Nedergaard(2024)、Jacob (Yaqub) Hanna (2025)、Erin M. Schuman (2026)の各氏が受賞されています。
(注)本記事はHFSPOの記事をもとに構成したものです。
HFSP Nakasone Award
本件に関するお問い合わせ先
日本医療研究開発機構(AMED)
国際戦略推進部 国際企画課
Tel:03-6870-2216
E-mail:amed-hfsp"AT"amed.go.jp ※E-mailは上記アドレス"AT"の部分を@に変えてください。
最終更新日 令和8年7月22日


