医療機器開発推進研究事業 医療機器開発推進研究事業の事後評価結果について(令和6年度終了課題)
「医療機器開発推進研究事業」における令和6年度終了課題の事後評価結果を公表します。
1.事後評価の目的
事後評価は、課題等について、研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業等の運営の改善に資することを目的として実施します。
2.ヒアリング審査・課題評価委員会
開催日:令和7年8月8日(金)
3.評価項目
- 研究開発達成状況
- 研究開発成果
- 実施体制
- 今後の見通し
- 事業で定める事項及び総合的に勘案すべき項目
- 総合評価
4.事後評価委員
課題評価委員については以下のPDFファイルをご覧ください。
5.事後評価対象課題及び評価結果一覧
| 開始年度 | 終了年度 | 研究開発代表者 | 研究開発代表機関 | 職名 | 研究開発課題名 | 課題評価委員会による主な評価コメント | 事後評価報告書(pdf) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 2024 | 丸島 愛樹 | 国立大学法人筑波大学 | 准教授 | 脳性麻痺等の発達期非進行性運動機能障害児に対する身体運動機能の向上を目指した小児用下肢装着型治療ロボットの開発と検証的医師主導治験 | 小児脳性麻痺等への適応拡大を目指し、45例に小児用下肢装着型治療ロボットを装着して運動能力向上を検証する医師主導治験を実施した課題である。検証的医師主導治験を完了し、企業導出に繋げたことは、事業の成果として評価できる。なお、主要評価項目である粗大運動能力尺度において有意差が得られなかったため、脳性麻痺患者等を適応対象とする本邦の薬事承認申請は見送られた。別途、本品の薬事承認/認証を成人用製品と同じ適応疾患(筋ジストロフィー等)に対して日米欧で取得されたことは評価する。また有意差が得られなかった原因について科学的に十分な考察を行っている点も(高く)評価できる。 | |
| 2020 | 2024 | 湯坐 有希 | 地方独立行政法人東京都立病院機構 東京都立小児総合医療センター |
血液・腫瘍科 部長 | NovoTTF-100Aの小児膠芽腫への適応拡大を目指した先進医療臨床試験 | 希少疾患である小児膠芽腫患者10例を対象にした探索的特定臨床研究を実施した課題である。当初予定していた10例を登録完了し、8例までの評価を終え、成人の臨床試験結果と同等の治療効果を得られた点が高く評価された。一方、求められる成果のうち、検証的医師主導治験のプロトコル作成には至らなかった。 | |
| 2021 | 2024 | 久保 絵美 | 国立研究開発法人国立がん研究センター | 東病院 緩和医療科 医員 | がん患者の身体機能やQOLを著名に低下させ在宅療養の支障となる化学療法誘発性末梢神経障害に対する交流磁界を用いた非侵襲的な、日本発・世界初の新規治療開発のための医師主導治験 | 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を発症したがん患者・高齢がん患者36例に対し、症状改善・在宅療養の質向上を実現するため、交流磁界治療器の探索的医師主導治験を実施した課題である。 求められる成果が探索的医師主導治験を終え、検証的医師主導治験のプロトコルを完成することであったが、探索的医師主導治験を終えるに留まり、研究開発全体として当初計画を下回った。当初計画を達成しなかった理由は、PMDAに相談した結果、探索的治験プロトコルにおける治療期間を当初計画の28日を84日に延ばすよう指示があったことに加え、患者登録が難航したためである。また、企業との連携が十分でなく、情報共有を緊密に行う必要がある。 |
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| 2022 | 2024 | 松木 悠佳 | 国立大学法人福井大学 | 教授 | 循環制御用ロボット麻酔システムの開発 | 麻酔下の116例を対象に輸液量自動調節及び循環作動薬自動投与を統合したシステムの医師主導治験を実施した課題である。 事業期間内に当該医師主導治験に係る総括報告書は完成されなかったが、2025年7月に製造販売業者への導出が完了し、開発品の本邦の薬事承認申請が計画されていることから、社会実装までの道筋が立てられていると評価された。 |
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| 2022 | 2024 | 小川 朝生 | 国立研究開発法人国立がん研究センター | 東病院精神腫瘍科 科長 | 急性期病棟の医療負担を軽減するせん妄対応支援プログラムに関する研究開発 | 「せん妄リスク評価」機能及び「せん妄発症抑制」機能を搭載したアプリの開発と臨床性能試験を完了し、企業への導出を行う課題である。 「せん妄リスク評価」機能に関して、施設間差が大きいものの、高い感度、かつ、一定程度の特異度を示すことができた点は評価されたが、「せん妄の発症抑制」機能の開発は行われず、計画は未達である。 |
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| 2022 | 2024 | 中山 泰秀 | バイオチューブ株式会社 | 代表取締役 | 多能性体性幹細胞の体内集積具の開発と探索的医師主導治験 | 糖尿病性足潰瘍患者10例に対して、独自に開発した体内集積具を用いて得た多能性幹細胞の塊(バイオカクテル)を創傷に貼付して治療する探索的医師主導治験を実施した課題である。 当初計画どおり、探索的医師主導治験を終え、登録10例中10例ともに創傷面積が50%以上減少するという明らかな治療効果が得られた。また、研究開発期間中にPMDAに検証的治験プロトコル案を相談し、プロトコルを確立し、令和7年度中に検証的治験開始の見込みが立っていることから、薬事承認申請までの見通しも明確であると評価された。 |
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| 2022 | 2024 | 清水 映輔 | 株式会社OUI | 代表取締役 | 世界初の前眼部診断AIの医療機器化~日本の医療機器を用いた世界の失明撲滅~ | 「白内障診断AI」「ドライアイ診断AI」「角膜混濁診断AI」のアプリ開発を行うべく、臨床性能試験を実施し、薬事承認取得可能な企業への導出を目指す課題である。 「白内障診断AI」は、臨床性能試験を実施し、企業導出まで行われていることから、一定の成果が得られたと評価された。一方、同じく当初計画にあった、「ドライアイ診断AI」及び「角膜混濁診断AI」に係る開発は、PMDA相談までには至らず、臨床性能試験も実施されなかったため、研究開発全体として当初計画を下回っていると判断せざるを得ない。 |
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| 2023 | 2024 | 山中 浩気 | 国立大学法人京都大学 | 助教 | ダチョウ頸動脈由来脱細胞化小口径人工血管の臨床評価準備 | ダチョウ頸動脈由来脱細胞化小口径人工血管の探索的医師主導治験の実施に向け、その有効性・安全性を評価する非臨床試験を完了させ、治験プロトコルを確立する課題である。 血管内腔へのペプチド固定化工程を確立させ、その有効性を評価する非臨床試験まで行われ、一定の成果を得たが、研究開発期間内に探索的医師主導治験プロトコル策定についてPMDAにも相談されなかったため、求められる成果である、探索的医師主導治験のプロトコルを確立できなかった。 |
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| 2024 | 2024 | 江口 英利 | 国立大学法人大阪大学 | 教授 | 膵液漏出抑制能力を有する自己集合性ペプチドゲル膵液瘻予防材の開発 | 自己集合性ペプチドゲル膵液瘻予防材の探索的医師主導治験の実施に向け、その有効性・安全性を評価する非臨床試験を完了させ、治験プロトコルを確立した課題である。 求められる成果であった、探索的医師主導治験のプロトコル確立に対し、PMDA相談を行い、令和7年度に治験開始が可能な段階に達していたことから、検証的治験実施までの道筋が適切に立てられ、社会実装に向けた企業導出も明確になっていると評価された。 |
6.総評
課題評価委員会では、令和6年度に終了した9課題を対象に評価を行い、2課題が「優れている」、2課題が「良い」、1課題が「やや良い」、2課題が「良いとも悪いとも言えない」、2課題が「劣っている」とされました。
7. 令和6年度の中間評価により中止決定となった課題
令和6年度に中止決定となった1課題を対象に公表します。
| 開始年度 | 終了年度 | 研究開発代表者 | 研究開発代表機関 | 職名 | 研究開発課題名 | 課題評価委員会による主な評価コメント | 事後評価報告書(pdf) |
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| 2023 | 2024 | 八木 洋 | 学校法人慶應義塾 慶應義塾大学 | 医学部 専任講師 | 腎損傷に対する生体ハイドロゲル充填材の開発と探索的医師主導治験 | 公募要領に定められている「研究開始2年度の中間評価までにPMDA の対面助言およびIRB 等の承認を受けて医師主導治験または臨床研究を開始することを必須とする」について、研究開始2年度目である令和6年度の中間評価までに治験プロトコルに係るPMDA 対面助言が未実施であり、医師主導治験が開始出来ていないこと。加えて、研究者が提示した令和7年9月から探索的治験を開始して令和8年3月までに終了するという計画については、スケジュールに無理があり実現することは難しく、公募要領で定められている「求められる成果:本研究開発期間の終了時点までに探索的医師主導治験を完了し、検証的治験プロトコルを確立すること」を達成する見込みが立たないと課題評価委員会によって評価された。よって、本課題は令和6年度末にて終了とする。 |
掲載日 令和7年10月9日
最終更新日 令和7年10月9日


