イベント 令和3年2月24日~令和3年2月26日開催 「United States-Japan Cooperative Medical Sciences Program: Virtual Workshop on COVID-19」が開催されました

開催報告

昭和40年(1965年)の佐藤総理大臣と米国ジョンソン大統領の共同声明に基づき、日米両国がアジア地域に多い疾病に関して共同で取り組むための「日米医学協力計画」が閣議了解され、日米医学協力委員会が発足しました。

この日米医学協力計画に基づき、AMEDと米国National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID) は、「U.S.-Japan Cooperative Medical Sciences Program (USJCMSP) International Conference on Emerging Infectious Diseases in the Pacific Rim(汎太平洋新興・再興感染症国際会議)」を毎年開催していました。本年もフィリピンでの開催を計画していましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、本年はオンライン形式による「United States-Japan Cooperative Medical Sciences Program: Virtual Workshop on COVID-19」として開催しました。

ワークショップは令和3年2月24日(水)~令和3年2月26日(金)の3日間にわたり開催され、日本・米国・アジアを中心に約620名に参加いただきました。本ワークショップでは、COVID-19に関連した以下のトピックについて研究発表および議論が行われました。

Day1:Clinical / Epidemiology

初日は、日米医学協力計画委員長の倉根一郎氏とDiane Griffin氏、NIAIDのGray Handley氏、厚生労働省の佐原康之総括審議官からの開会挨拶から始まりました。
Special Lectureでは、フィリンピンのWPRO (WHO西太平洋地域事務局)から Dr. Babatunde Olowokure が「Global and regional situation of COVID-19」と題し、アジア・太平洋地域では症例数と死亡者数が少なくなっていること、WHOのアプローチとして「適切な検疫、コミュニティベースの感染予防対策、安全で効果的なワクチンを通じた感染抑制によって人々の命と生活を救う」の紹介や、変異株増加への対応として、情報収集の必要性について述べられました。Prof. Benjamin John Cowlingからは、香港におけるSARS-CoV-2の疫学調査結果として、通常よりも大量のウイルスを拡散してしまうスーパー・スプレッダーが感染拡大に影響したことや、学校閉鎖が感染抑制に繋がらなかったことの報告がありました。また、Dr. Firdausi Qadriからは、バングラディッシュでの軽症者における抗体反応とCOVID-19感染予防の行動変容によるコレラ患者の減少、SARS-CoV-2血清調査によるインフルエンザの流行の準備について研究発表があり、横浜市立大学の梁明秀教授からは血清学的検査が疫学調査とワクチンの有効性研究に有効であることが説明されました。

Agenda Day1: Clinical / Epidemiology
(上)開会挨拶の様子
(下)Dr. Babatunde Olowokure (WPRO)

Day2:Vaccine / Immunology / Therapeutics / Diagnostics

二日目はワクチン開発、免疫応答、治療戦略や診断をテーマに講演が行われました。日米医学協力計画の免疫部会長である東京大学医科学研究所の石井健教授は、日本におけるCOVID-19のmRNAワクチン開発の状況や、I型インターフェロンの誘発による効果的なmRNAワクチン開発に関する研究結果が共有されました。また、日米医学協力計画の急性呼吸器疾患部会長である藤田医科大学の土井洋平教授より、ファビピラビルを使用したランダム化臨床試験の結果報告がありました。Dr. Nicole Bastaはワクチン開発に関する最新情報を追跡するために設計されたオンラインツールの紹介があり、参加者との質疑応答では、ワクチンによって誘発された有害事象データへのアクセスの重要性について議論されました。

Agenda Day2:Vaccine / Immunology / Therapeutics / Diagnostics

Day 2のモデレーターとスピーカー

Day3:Virology / Zoonosis / One-Health

最終日は、Dr. Maria Rosario Vergeireからフィリンピン保健省(DOH)が省庁間タスクフォースを設置して対応を行ったことや、ソーシャルメディアを通じた憶測と誤報の拡散を防ぐために、国民に正しい情報を提供するためのリスクコミュニケーションの取組の紹介がありました。東京大学医科学研究所の河岡義裕教授は動物モデルによる研究、マスクの着用、抗原検出キット活用の重要性についてお話されました。Dr. Frederic BéenはCOVID-19に対するOne-Healthのアプローチとして、環境、下水監視による研究発表があり、廃水に基づく疫学(WBE)によるヒト糞便中のSARS-CoV-2の検出が、疫学的な早期警告に機能することを示唆しました。また、Prof. Ling Fa WANGとDr. Peter Daszakは、参加者を交えて人獣共通感染症でもあるCOVID-19として、ウイルスの起源や伝播に関する議論も行われました。

最後にフィリピンのDepartment of Science and Technology(DOST)のHonorable Fortunato T. De La Peña氏から3日間のワークショップを締めくくる挨拶が行われ、来年はオンラインではなくフィリピンで開催できることを期待する旨が述べられました。

Agenda Day3: Virology / Zoonosis/One-Health

Day 3のモデレーターとスピーカー

お問い合わせ先

宛先 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 国際戦略推進部 国際戦略推進課 地球規模保健課題解決推進のための研究事業(日米医学協力計画) 古川、松田
Tel 03-6870-2210
E-Mail nichibei“AT”amed.go.jp
備考
※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

掲載日 令和3年3月15日

最終更新日 令和3年3月15日