AMEDシンポジウム2017開催レポート AMEDシンポジウム2017開催レポート:ワークショップ② 再生医療分野の知財戦略の現状と今後(1)

(抄録)

ワークショップ➁ 再生医療分野の知財戦略の現状と今後

モデレータ
東崎 賢治氏(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)
パネリスト
浅見 正弘氏(富士フイルム株式会社 執行役員 知的財産戦略担当 知的財産本部管掌)
石埜 正穂氏(札幌医科大学医学部医科先端医療知財学 教授)
内山 務氏(内山務知財戦略事務所所長)
高須 直子氏(京都大学 iPS細胞研究所 副所長 教授)

AMEDが実施した「平成28年度再生医療分野における知的財産戦略に関する調査」を踏まえて、産業界、アカデミアの両面から、再生医療分野における日本の競争力を高めるための知財戦略について議論しました。知財戦略を担当する人材の育成、医療方法特許など具体的な課題を取り上げ、日本の強みを活かす特許戦略、それらを支える研究開発基盤の整備について、モデレータの東崎氏のもと、4名の知財の専門家がさまざまな立場から熱く語り合いました。

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「平成28年度再生医療分野における知的財産戦略に関する調査」についての報告

AMED知的財産部

AMED知的財産部では、再生医療分野における日本の競争力を高め、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない医療ニーズ)への対応や、知的財産戦略の在り方を検討することを目的に「再生医療分野における知的財産戦略に関する調査」を実施しました。この調査報告を発表するとともに、再生医療等製品を保護するための知的財産戦略、FTO(Freedom to operate)を考慮した知的財産戦略、知的財産の観点から見た再生医療分野における研究成果の活用という3点に絞って重要なポイントを紹介しました。

再生医療技術の目指す方向と知財戦略―産業競争力の視点から―

写真/2枚目 浅見 正弘氏

説明図・1枚目(説明は本文中に記載)
図1 再生医療製品を構成する技術と知財権
※画像をクリックするとPDFファイルが表示されます

浅見 正弘氏

産業競争力という視点からご発表されました。今回の調査について「再生医療分野に即した知財戦略について重要な観点を整理、理解でき、今後の再生医療分野の競争力強化に向けた提言につなげることができた」と評価しました。

再生医療製品の製造はプロセスが複雑で多岐にわたるため、多くのプレイヤーが参加、多くの発明が生まれる環境だが、一方で知財権を独占することが困難であると指摘。産業化には、多様な機器、消耗品などの開発が必要で、ビジネスを成立させるバリューチェーンの完成が不可欠であり、日本の競争力の強化のために必要な環境整備と、AMEDに対して今後期待することについてポイントを示されました。

再生医療分野の知財戦略の現状と今後(調査結果を踏まえた学側のコメント)

写真・3枚目石埜 正穂氏

石埜 正穂氏

アカデミアの視点からご発表されました。今後の再生医療における知財環境を整備するためには、細胞、再生医療のサイエンスに精通した知財、薬事、ビジネスの目利きができる専門家が大学の中にいることが必要であると指摘。そのような人材を大学で雇用する手段や、雇用できない場合の人材共有の在り方、また人材の派遣や育成、制度の構築におけるAMEDなどの支援の必要性について話しました。

【次ページ】パネルディスカッション

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最終更新日 平成29年10月17日