理事長記者会見 令和5年度 理事長記者説明会

第二回説明会(令和6年3月5日)

テーマ

  • AMEDにおけるがんに関する研究開発マネジメントの取組と成果
    (三島理事長)
  • 疾患領域がんにおける研究開発マネジメント
    (堀田AMED疾患領域コーディネーター 国立研究開発法人国立がん研究センター名誉総長)
  • AMEDが支援したがんに関する研究開発及びそれらの成果
    (本田大学院教授 日本医科大学大学院)

概要

令和5年度第2回の理事長記者説明会は、本年2月に保険収載されました体外診断用医薬品「アポリポ蛋白A2アイソフォームキット」に関して、AMEDにおける研究開発マネジメント及び研究開発の支援並びにその研究開発過程に関して説明いたしました。

はじめに三島良直理事長から、「AMEDにおけるがんに関する研究開発マネジメントの取組と成果」と題して、疾患領域の研究開発マネジメント推進体制や研究の進捗に応じた研究費の機動的運用、そして研究開発成果から創出された製品が保険収載に至るまでの非臨床から実用化までの支援について説明しました。また、AMEDの支援において生み出された成果による製品が保険収載されたことで、AMEDが目指す、関係省の複数の事業を一体に基礎から実用化まで一貫して研究開発を推進し、研究開発の成果を患者さんや御家族のもとに届けることを体現できたことの意義は非常に大きいとの思いをお話ししました。

続いてAMED疾患領域コーディネーターであり、国立がん研究センター 名誉総長である堀田知光先生から、「疾患領域がんにおける研究開発マネジメント」についてご説明いただき、「薬事承認までの非常に長いプロセスを、AMEDは9年間支援してきており、既に成果が出ているものもたくさんあるが、ようやくこれから実用化の実りが刈り取れる時期が来ると期待している」とのお話をいただきました。
また、堀田先生からは、がん10か年戦略(第5次)の概要をご紹介いただくとともに、これまでの成果として「研究者の意識が論文を書くことから、成果を患者さんに届ける、薬事承認を取るために、何をしなくてはいけないかということの意識づけが非常にできてきた」、そして課題として「研究を実用化するための資金の調達や特許の戦略、それらをサポートできるような仕組み、投資や支援を得ることができる取り組み、研究開発を担う若手研究者を育成するということも大きな課題」とお話いただきました。

最後に研究開発代表者である日本医科大学大学院教授の本田一文先生から、膵がんの診断を補助する体外診断用医薬品の保険適用について、開発されたバイオマーカーの価値及び臨床的意義についてデータをもってご説明いただきました。本田先生からは「オリジナル研究を通じて真に医療に還元したい、臨床現場の課題を抽出して、基礎研究の課題を探索して解決したい」という思いをお話いただき、さらに、AMEDが事業間連携のもと研究成果を臨床現場に届けるため研究支援をしてきた好事例として、膵がん診断補助をする体外診断医薬品「APOA2-iTQ」についてご説明されました。本バイオマーカーはアカデミアによって発見された研究シーズを産官学が緊密に連携しながら臨床開発が行われ体外診断用医薬品の薬事承認を経て、膵がん既存体外診断用医薬品であるCA19-9と同等以上の性能を持つ血液バイオマーカーとして、40年ぶりに保険収載が決定したものです。

また、本田先生からは、早期診断バイオマーカーの有効性を迅速かつ公正に評価して、信頼性の高いものを社会実装していく仕組みの必要性や、日本の強みとなり得る「次世代の液性リスクマーカー」に触れられました。今後の課題として「体外診断用医薬品として承認いただき保険適用も受け、膵がんが疑われる患者さんに使用することは可能になりました。膵がん検診として有効性を評価できるかどうか?最終的には膵がんで亡くなる方を減らすことができるのか?難治がんである膵がんの対策型検診に実装できるのか?研究を継続しながら多くの課題を乗り越えなくてはならない」とお話をいただきました。

その後、質疑応答に移り、記者の方々から多数の質問があり、活発な質疑応答が行われ、三島理事長だけでなく、堀田先生、本田先生から、AMEDにおけるがん領域の研究開発や膵がん診断薬の今後の研究開発や展望に関することなど、さらに、がん10か年戦略(第5次)におけるAMEDの役割や研究者から見た着眼点まで、幅広く、お答えを頂きました。

次回の記者説明会は、令和6年6月を予定しています。
AMEDは今後もこのような機会を設け、幅広く、情報発信を行ってまいります。

  • 三島良直 AMED理事長
  • 堀田知光 AMED疾患領域コーディネーター
    (国立研究開発法人国立がん研究センター 名誉総長)
  • 本田一文 日本医科大学大学院医学研究科
    生体機能制御学分野 大学院教授
  • 左:堀田AMED疾患領域コーディネーター
    中央:本田日本医科大学大学院教授
    右:三島AMED理事長

資料

第一回説明会(令和6年2月13日)

テーマ

  • 第2期中長期計画の期間における取組について
    三島 良直 理事長
  • AMEDが支援した国内開発新型コロナウイルスワクチンに関する研究
    研究開発代表者 眞鍋 淳 第一三共株式会社 代表取締役会長 兼 CEO

概要

令和5年度第1回の理事長記者説明会は、令和3年3月以来、約3年ぶりの開催となりました。

三島理事長からは、これまで実施して来た研究開発支援の取組や感染症パンデミックへの対応と新型コロナウイルス感染症対策の研究開発成果について紹介、具体的な取組として、創薬に係る実用化の加速を目的とした「AMED-FLuX」、医療機器の実用化を見据えた研究開発を支援する「実用化プログラム」の他、ワクチン開発を迅速に推進するSCARDAについて紹介、「医療分野の研究開発では研究開発の成果からの実用化という辺りをAMEDがどうやってわが国の健康・医療の研究を応援していくか、あるいは仕組みをつくって誘導するかということに力を注いでいきたい」との思いをお話ししました。

第一三共株式会社、研究開発代表者である眞鍋 淳 代表取締役会長 兼 CEOからは、御挨拶とともに、AMEDが支援した国内開発新型コロナウイルスワクチンに関する研究について、令和2年4月のプロジェクトの立ち上げから、約3年半で(昨年12月に)国内での供給ができたことは、第一三共の強みであるサイエンス&テクノロジーが応用できた結果と考えられていること、国家の安全保障の観点からも国産ワクチン開発、国内生産体制の整備が大変重要であるとの御説明を頂き、続いて、研究開発分担者の籔田 雅之 常勤顧問からは、その研究の成果である国内で初めて薬事承認を受けたCOVID-19に対する国産初mRNAワクチンの開発について、AMEDの新型コロナウイルスの制圧に向けての基礎研究及びワクチン開発推進事業の支援により開発と上市を達成し、本開発で確立された技術での変異株対応ワクチンへの取り組み、新型コロナ以外の感染症ワクチンとしての適用、また、当該ワクチンの特徴、製品概要、臨床試験結果、製造プロセスついて御説明を頂きました。

その後、質疑応答に移り、記者の方々から多数の質問があり、活発な質疑応答が行われ、三島理事長からだけではなく、眞鍋会長、籔田常勤顧問からもお答えを頂きました。
質疑応答では、AMEDの第2期に振り返りや研究開発の成果から、第3期に向けた議論にまで話が及びました。

最後に三島理事長から、これから、研究開発支援の取組や研究開発の成果をお知らせする場を頻度高く設けていくとお話をし、次回(令和6年3月予定)の開催について紹介して、今回は終了しました。

AMEDは、今後もこのような機会を設け、記者の皆様方の協力も得つつ、幅広く、情報発信を行ってまいります。

  • 理事長
  • 三共
  • 全体

資料

掲載日 令和6年2月27日

最終更新日 令和6年3月18日