GEM Japan Discovery: GA4GH Passports

GA4GH Passportsの必要性(データアクセス構築の背景)

世界各国で蓄積されたデータを、世界規模で標準化されるデータとして集約する必要性が高まっています。同時に、それら世界規模で集約されたデータを有効活用するために、データ利用者(研究者)が正しく識別され、承認されるための電子的な認証環境も、併行して整備する必要があります。Data Access Committee(DAC)は、世界規模で集約されたデータへのアクセスを希望するデータ利用者(研究者)から、デジタルIDの申請を受け付けています。しかし、申請内容を査定するプロセスの煩雑さから、各申請の処理に時間がかかってしまい、利用者がデータにアクセスする上で、律速になってしまっています。さらに、DACによる承認は、単一のプロジェクトへのデータアクセスに限定されているため、データ利用者(研究者)は異なる他の単一プロジェクトのデータにアクセスするたびに、承認までの作業を繰り返す必要がありました。

GA4GH Passportsの利便性

GA4GH Passportsは、データ利用者(研究者)のデータアクセスに必要な情報のデータフォーマットであり、それに基づく認証・認可の仕組みをAuthentication & Authorization Infrastructure (AAI)が担っています。すなわち、研究者がDACを介して取得したデジタルIDは、AAIを通して電子的に認証され、様々なプロジェクトの使用したいゲノムデータへアクセスできるようになります。特に、アクセス認証が自動化されることで、研究者によるデジタルIDの申請と、Data Access Committee(DAC)による承認のプロセスが簡素化されますので、世界規模の標準化データの利用が促進されます。

今後の改善課題

現在、OmicsXchange Podcast Episode 4において、データアクセス制御の自動化を進めるにあたりDUOとGA4GH passportの連携が議論されています。世界規模で標準化されたゲノムと保健情報が集約されているData Use Ontology(DUO)も、データ利用者(研究者)がGA4GH Passportsを通してアクセスできるように自動化を推進します。さらに、DUOも含めて、他のツールの特徴を活かしてどのように組み合わせて、データ利用のためのアクセス連携ができるかも、今後の課題です。

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(記事協力:AMED科学技術調査員 秦千比呂)

最終更新日 令和2年6月15日