イベント シンポジウム「産学連携促進に向けた知財戦略とAMEDの役割―がん分野の研究開発動向からみたこれからの産学連携―」を開催しました。

開催報告

写真・1枚目
挨拶をするAMED末松理事長
写真・2枚目
講演の様子
写真・3枚目
パネルディスカッションの様子

平成28年3月24日(木)、日本医療研究開発機構(AMED)は大手町サンケイプラザ(東京・大手町)においてシンポジウム「産学連携促進に向けた知財戦略とAMEDの役割―がん分野の研究開発動向からみたこれからの産学連携―」を開催し、大学、公的研究機関、企業等の知財・産学連携担当者や研究者、特許・法律事務所の専門家、政府機関関係者を中心に約170名の方にご参加いただきました。

本シンポジウムでは、まず講演の部でAMEDより「がん治療のための創薬研究開発と知財・薬事戦略」と題して、がん治療薬ではアカデミアの発見に基づいて創薬されているケースが多く、早期からの産学連携の仕組みづくりが大切であることなどを解説しました。続いて27年度に実施した「がん分野におけるグローバルな研究開発動向調査」の結果を紹介し、がん領域のアンメットメディカルニーズと研究開発動向、アカデミアの技術導出・知財戦略の課題と期待、米国における産学連携の事例紹介等を通じて、アカデミアからの導出を円滑に進めるポイントや、シーズ実用化に向けたアカデミアでの知財戦略、アカデミア研究への期待などを示しました。そして、これらの解説、報告を踏まえ、成果活用の産学連携促進に向けて、今後、知財面では産学間での早期の情報共有とシーズ評価が課題になることなどが提起されました。

その後のパネルディスカッションの部では、冒頭、モデレータである慶應義塾大学・羽鳥賢一特任教授より、米国での事例を踏まえ、我が国での医療分野の産学連携を促進する上での論点や対立軸が示され、続いて産学を代表する5名のパネリストより、主として産業界の視点、大学研究者の視点、産学連携・知財マネジメント担当の視点、それぞれの立場からみた現状の課題が数多く個別具体的に提示されました。

続くパネル討論では、これらの課題を乗り越え、産学が成果の実用化に向けて一層連携していくための大きな方向付けとして、どの程度早期の段階から連携することがベストのソリューションであるのかが討議されました。その中で、産学間におけるunmet medical needsの整合性と企業が考える医薬事業の捉え方に関する問題、さらには個別化医療に適した新しい開発モデルへの早急な対応なども提起され、産学双方の継続的な情報交換の必要性が指摘されました。また、大学の役割が増している昨今の創薬研究の中で、医療研究も知財もわかる専門人材をいかに育成していくか等、がん分野に限らず広い視点から医療分野の研究成果を少しでも早く実用化させるために解決すべき課題がディスカッションされました。そして、研究開発成果の活用を産学で促進していくためには、アカデミアと産業界との適切なタイミングでの連携やコミュニケーションが重要で、AMEDはそのための機会の提供や研究・知財戦略の策定支援、さらには知財専門人材の育成支援を行っていくことが求められる役割として挙げられました。

会場からは、各大学でも知財戦略は有しているだろうけど、研究開発全体を俯瞰して見渡せるAMEDの知財支援に期待したいという声や、知財を産学連携のツールとして活用していくに際して権利行使はどのように考えるべきかといった質問も出され、各セクターの立場からパネリストの考えが示されました。参加者に対するアンケート調査の結果では、本シンポジウムには多くの方が満足され、今後のAMEDの活動に期待するとの回答をいただきました。

AMED知的財産部では、今後も医療分野の研究開発動向調査等の情報発信や、知的財産の確保・活用戦略等に関するセミナ-、シンポジウム等の開催を行っていきます。

最終更新日 平成28年4月15日