トピックス 大隅 良典 東京工業大学栄誉教授のノーベル生理学・医学賞受賞のお祝い―理事長談話―
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東京工業大学栄誉教授 大隅 良典 博士がノーベル生理学・医学賞を受賞されることに、心からお祝いを申し上げます。
受賞理由は、細胞が不要なたんぱく質等を分解し再利用する「オートファジー現象の発見と解明」です。
大隅博士は、飢餓状態に置かれた細胞が飢餓を乗り切るために自らの細胞の一部を分解し、再利用を図る「オートファジー(自食作用)」現象を世界で初めて確認し、そのメカニズムや関連する遺伝子を次々と明らかにしました。その後、オートファジーは高等動物においても発生・恒常性維持に必須の役割を果たしていることや、オートファジー機構の異常は、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患やがんの原因や病態、進展においても重要な機能を果たしていることが解明されました。オートファジー現象は、生命科学に新しい研究分野を確立、世界中の多くの研究者が研究に取り組み、大きな成果を挙げています。
生命の「生きるためのトレードオフ」とも言える重要な基本原理を酵母の基礎研究から発見され、その発見がヒトの病気や老化のメカニズムの理解と制御に一気に展開されつつあることで、改めて基礎生物学の重要性を強く認識することができました。
2012年の山中博士、2015年の大村博士に続く同賞の受賞は、わが国の医療分野の研究開発レベルが世界のトップクラスの水準にあることを示しています。大隅博士の受賞を心からお祝いするとともに、AMEDは我が国の医療の発展に貢献できるよう、より一層の努力を続けて参ります。
2016年10月3日
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 理事長 末松 誠
掲載日 平成28年10月3日
最終更新日 平成28年10月3日