研究班ウエブサイト グローバルな視点からの倫理審査制度の実態把握と課題研究

研究概要

(1)「倫理審査」を改めて考える

 日本では現在、人を対象とする研究は、「倫理」の名を冠した公的ルールのもとで実施されています。AMEDの助成を受ける研究をはじめとして、多くの医学研究がこうした「審査」を受けて展開しています。
 インフォームド・コンセントや倫理審査などの仕組みは、主として2000年前後以降、医学・生命科学研究を中心に整備されてきました。これらの制度は、海外における研究倫理や被験者保護の議論を参考に導入された一方、日本独自の研究環境や組織運営とも結びつきながら発展してきたと言えます。
 その後も、個人情報保護、ゲノム研究、AI・ビッグデータ研究など、新たな課題に対応する形で倫理指針は改正され続けています。一方で、研究内容の高度化・多様化に伴い、倫理審査委員会に求められる役割や負担も拡大しています。日本には数千単位の倫理審査委員会が存在し、世界的に見ても非常に多くの委員会を有していますが、具体的な審査手順や運用を評価する仕組みは十分に整備されていません。
 近年の制度改正では、個人情報保護法への対応が大きな焦点となっています。しかしその一方で、「倫理審査とは何を目的とする手続きなのか」「研究の多様化に対して、どのような検討体制が望ましいのか」といった原理的な議論は、相対的に見えにくくなっているのではないか・・・この点が我々の問題意識です。

(2)私たちが目指していること

 本プロジェクトでは、研究倫理を単なる「手続き」や「規制」としてではなく、研究と社会との関係を考える営みとして捉え直したいと考えています。
 現在、海外では審査機能の集約化(「一つの研究計画に対して一つの審査委員会で審査を行う」仕組み)や、AI・データ研究に対応した新たな倫理的枠組みの検討が進められています。また、欧米だけでなく、アジア・アフリカ地域を含め、多様な社会・文化的背景のもとで研究倫理のあり方が模索されています。
 本研究では、こうした国内外の制度運用や議論を比較しながら、日本における倫理審査や研究倫理のあり方を多面的に検討していきます。研究の多様化や国際共同研究が進む時代だからこそ、「倫理」を研究活動の中でどのように位置づけるのかを改めて考えることが必要だと、私たちは考えています。

研究の進め方

 私たちは、諸外国の規制や審査の実態に目を向け、日本の制度が直面している課題や限界を明らかにすることで、現代のニーズに即した研究倫理の体系的整理を目指しています。特に「制度の検討」と「実践視点での調査」の二つの軸をもとに展開していきます。




 

研究班情報

事業名 AMED研究倫理・社会共創推進プログラム
課題名 グローバルな視点からの倫理審査制度の実態把握と課題検討
研究開発代表者 井上 悠輔
(国立大学法人 京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療倫理学分野 教授)
研究開発期間 2025(令和7)年4月1日~ 2030(令和12)年3月31日

お問い合わせ先

宛先 グローバルな視点からの倫理審査制度の実態把握と課題研究 研究班 (代表:京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療倫理学分野)
E-Mail med_ethics“AT”mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
備考
※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

最終更新日 令和8年8月31日