イベント 「オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト公開シンポジウム―革新的な新薬創出への挑戦―」を開催しました

開催報告

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令和元年5月8日 当日の講演映像を公開しました。

オールジャパンでの医薬品創出プロジェクトは、創薬ターゲットの同定に係る研究、創薬の基盤となる技術開発など、基礎研究から医薬品としての実用化につなげるまでの研究開発を切れ目なく支援し、創薬支援のための基盤強化を図り、革新的医薬品等、医薬品創出のための開発環境を整備する横断型総合プロジェクトです。

2019年3月4日にはシンポジウムを開催し、第1部では「プロジェクト各事業の顕著な成果」について、14名の著名な研究者から紹介いただきました。

講演者(所属) 演題名/課題名

間野博行(国立がん研究センター)

河岡義裕(東京大学)

土井俊彦(国立がん研究センター)

本間光貴(理化学研究所)

伊東祐二(鹿児島大学)

岩崎憲治(筑波大学)

辻川和丈(大阪大学)

大政健史(大阪大学/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合)

藤吉好則(名古屋大学)

森 和俊(京都大学)

武田伸一(国立精神・神経医療研究センター)

峰野純一(タカラバイオ株式会社)

國土典宏(国立国際医療研究センター)

斎藤嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所)

がん分子標的療法の新展開

インフルエンザ制圧を目指した革新的治療・予防法の研究・開発

抗PD-1抗体治療患者における 個別免疫担当細胞レベルにおける免疫応答の解析研究

インフォマティクスとシミュレーションを融合した多面的心毒性予測システムの構築

ヒトIgG特異的修飾技術による多様な機能性抗体医薬の創出

創薬等ライフサイエンス研究のための 多階層構造生命科学解析技術の支援と高度化

化合物ライブラリーの整備と支援・高度化による創薬研究の推進

バイオ医薬品連続生産における各要素技術及びプラットフォーム技術の開発

革新的中分子創薬技術の開発・中分子シミュレーション技術の開発

小胞体ストレス応答の解析から創薬へ

デュシェンヌ型筋ジストロフィーに対する エクソン53スキップ治療薬による早期探索的臨床試験

遺伝子・細胞治療用ベクター新規大量製造技術開発

CIN構想の加速・推進を目指したレジストリ情報統合拠点の構築

官民共同による重篤副作用バイオマーカー開発

プログラム冊子
講演要旨はこちら(PDF)

※当日の講演映像はYouTubeで公開しています。

第2部では「オールジャパンでの医薬品創出に寄せられる期待」として、成果を実用化に繋げていくために、特に産学官連携をテーマとして、パネルディスカッションを行いました。

パネリスト
(敬称略)

柴田大朗(国立がん研究センター)
高鳥登志郎(日本製薬工業協会/第一三共)
大政健史(次世代バイオ医薬品製造技術研究組合/大阪大学)
斉藤和幸(国立成育医療研究センター)
河野典厚(日本医療研究開発機構)

ファシリテーター

竹中登一(ヒューマンサイエンス振興財団/プロジェクトPD)

始めに、柴田先生、高鳥先生、斉藤先生に、それぞれの立場から、AMEDの産学官連携の取組や期待についてご講演いただいた後、産学連携において、国だけでなく、企業原資の資金などをうまく活用しながら、研究を進める工夫やメリット、今後への期待等について、議論がなされました。

医薬品創出のための産学官連携の実例として、技術研究開発組合制度の活用により、複数の企業・大学がそれぞれ対等な立場で一つの方向に向かって研究開発を行うメリットが紹介されました。また、生物統計家育成支援事業では、AMEDによる国費の研究資金と製薬企業からの寄付金により産官学が一体となって人材育成に取組むことで、複数年の長期プロジェクトが可能となり、幅広い視点の効果的な教育を実施できること、また、AMEDを介することにより寄付金支出特定企業との利益相反を回避できることなどがメリットとしてあげられました。

臨床の立場からは、希少症例分野での臨床医と企業の共同研究の有効性とともに、短期間において成果を出すことが難しい分野での国費での資金運用の限界や企業資金活用の必要性といった、現場からの意見がでました。

産業界の立場からは、これまでのアカデミアの成果の活用という個別の連携ではなく、今後は、多対多の規模の大きい産学連携、早期段階での連携、さらには、臨床情報とゲノム・オミックス情報の連携、化合物データベースのデータシェアリングなども、効率的かつ効果的な研究開発に重要であるとの意見とともに、AMEDに対しても、プロジェクトマネジメントなど官のリーダーシップや、機能的な予算運用、人材育成への取組への期待などが提案されました。

総合科学技術・イノベーション会議1)2)3)においては、アカデミア研究の活性化のためには、国費のみに異存しない研究費の多様性や新たな仕組み作りが必要であると議論がなされています。 製薬協の政策提言4)でも、AMEDの機能強化・中長期的な事業等の期待とともに、業界からの資金・リソース・アセットの提供を含めた取組みについても述べられております。「1分1秒でも早く、患者さんや国民の方々に必要な医療を届ける」とのAMEDのミッションの達成のために、AMEDとしては、アカデミアや産業界との一層の連携が重要と考えており、創薬分野の研究開発の充実強化のために、アカデミア、産業界のニーズを適切にキャッチアップするとともに、創薬分野の産学連携に、一層取り組んで参りたいと思います。

最終更新日 令和元年5月8日