プレスリリース 未来の治療につながる「医療機器の技術シーズ発掘」を強化―平成28年度「先端計測分析技術・機器開発プログラム」新規採択課題決定―

平成28年7月11日 プレスリリース

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED、理事長:末松 誠)は、平成28年度の「先端計測分析技術・機器開発プログラム※1」による研究開発課題として、下記の12件を採択しました。

従来、本プログラムは、「先端的な計測・分析技術を革新的な診断機器の開発につなげること」を目指してきました。AMEDが各省施策を連携させて「オールジャパンでの医療機器開発」を推進する中、それに加えて、シーズ段階からの治療を意識した技術開発を強化・推進するべく、平成28年度の「調整費※2」を活用して制度の拡充を行いました。

本年度の公募では、①要素技術開発タイプと②先端機器開発タイプの2区分について、合計で130件の提案がありました。外部有識者(別紙1)による厳正な選考を経て、採択課題を決定しました。

※ピンク色の帯の課題:治療を意識した技術シーズの確立や試作機の研究開発
※青色の帯の課題:診断に関する技術シーズの確立や試作機の研究開発

①要素技術開発タイプ
  研究開発課題名 研究開発代表者名
(チームリーダー)
研究開発分担者
(サブリーダー)
その他の分担機関
1 心筋梗塞後心不全を防ぐ迷走神経刺激カテーテル装置開発 朔 啓太
九州大学
三池 信也
株式会社ニューロシューティカルズ
 
2 腫瘍内不均一性を考慮した癌生細胞検査法の開発 杉浦 慎治
産業技術総合研究所
柳沢 真澄
エンジニアリングシステム株式会社
筑波大学
名古屋大学
3 分子病態を可視化する高機能型内視鏡システム 村田 正治
九州大学
千葉 亨
HOYA株式会社
 
4 コンプトンTOF-PETハイブリッドカメラの開発 島添 健次
東京大学
鎌田 圭
C&A株式会社
沖縄科学技術大学院大学
5 脳脊髄液産生マーカーによる脳脊髄液漏出症の診断法の開発 橋本 康弘
福島県立医科大学
久野 敦
グライコバイオマーカー・リーディング・イノベーション株式会社
理化学研究所
国際医療福祉大学
順天堂大学
6 三次元像フローサイトメーター基盤技術の開発 山田 秀直
浜松ホトニクス株式会社
岡崎 茂俊
浜松医科大学
 
➁先端機器開発タイプ
  研究開発課題名 研究開発代表者名
(チームリーダー)
研究開発分担者
(サブリーダー)
その他の参画機関
1 人工知能による超高速3次元画像解析システム 伊藤 昌史
エーザイ株式会社
小野 敏嗣
東京大学
株式会社カン研究所
2 インスリン投与量を決定可能な連続グルコース計測システムの開発 竹内 昌治
東京大学
大谷内 哲也
テルモ株式会社
 
3 超高速フォトン・カウンティング多元分析型X線CT 青木 徹
静岡大学
小池 昭史
株式会社ANSeeN
東北大学
株式会社アクシオン・ジャパン
4 超音波を応用した神経変性疾患の低侵襲診断機器開発 後藤 祐児
大阪大学
橋本 真一
コロナ株式会社
 
5 非アルコール性脂肪性肝炎の早期精密画像診断システムの開発 橋爪 誠
九州大学
澤田 政久
日本レドックス株式会社
 
6 抗原修飾ヤヌス粒子による簡易計測装置 藪 浩
東北大学
前田 郁麻
株式会社ハプロファーマ
 

治療を意識した技術シーズの確立や試作機の研究開発(5課題採択)

心不全の悪化を防止します(①-1:心筋梗塞後心不全を防ぐ迷走神経刺激カテーテル装置開発)
心筋梗塞急性期に迷走神経を電気刺激すると慢性期の心不全発症を予防するという研究成果を活かした、画期的な迷走神経刺激用カテーテルの開発です。実用化すれば、急性心筋梗塞による心筋の壊死を最小限に抑え、将来的な心不全の発症を防ぎます。
がんの個別化医療実現に貢献します(①-2:腫瘍内不均一性を考慮した癌生細胞検査法の開発)
がん組織に不均一に含まれる多様ながん細胞を、一つひとつ取り出して検査する技術の開発です。実用化すれば、がん組織の中でも特に悪性のがん細胞を患者毎に見分けて適切な抗癌剤を選択するなど、個別化治療の実現に貢献します。
内視鏡治療の精度を向上します(①-3:分子病態を可視化する高機能型内視鏡システム)
疾患関連分子の分布をリアルタイムで可視化し、病変部とそれ以外を判別できる内視鏡技術の開発です。実用化すれば、切除範囲の判断が難しい早期がんの治療精度を向上できます。
組織の状態を3Dで可視化し、革新的な治療法や薬の開発を加速します(②-1:人工知能による超高速3次元画像解析システム)
独自の組織透明化技術を臨床検体や培養細胞に適用して大量の分子情報を計測し、人工知能を用いた3次元解析を行って病態や投薬効果を解析する技術を開発します。実用化すれば、新たな治療方法や新薬の創出への貢献を可能とします。
体液中の糖濃度を連続モニタリング可能にします(②-2:インスリン投与量を決定可能な連続グルコース計測システムの開発)
体液中の糖(グルコース)濃度に応じて光る独自の蛍光ゲルを用いた、体内埋め込み型の体液中グルコース濃度計測技術を開発します。実用化すれば、計測結果に応じた投薬などによって糖尿病患者の血糖値を厳格に制御でき、深刻な合併症である血管障害や神経障害、低血糖症の発症を防ぐことができます。

診断に関する技術シーズの確立や試作機の研究開発(7課題採択)

がんの早期診断を可能にします(①-4:コンプトンTOF-PETハイブリッドカメラの開発)
独自のシンチレーターのピクセルアレー化技術をもとに、PETの解像度向上とPET/SPECTの同時撮像が可能なハイブリッドカメラを開発します。実用化すれば、これまで難しかったがんの早期診断を可能とする低侵襲的な手法として、その結果を利用した個別化医療の実現に貢献できます。
脳脊髄液漏出症の診断を可能にします(①-5:脳脊髄液産生マーカーによる脳脊髄液漏出症の診断法の開発)
脳脊髄液に含まれる脳脊髄液漏出症の疾病マーカーを自動計測する技術の開発です。実用化すれば、頭痛や耳鳴りなど、苦痛を伴うにもかかわらず現在は確定診断が難しい脳脊髄液漏出症の診断が可能になります。
がんの早期診断へ貢献する血中循環腫瘍細胞(CTC)のラベルフリー探索・解明技術(①-6:三次元像フローサイトメーター基盤技術の開発)
血液中に含まれる細胞の3次元屈折率分布を計測し、無標識で細胞種を同定・選別するための撮影技術を開発します。フローサイトメトリーとして実用化すれば、がんの転移に関与すると思われる血中循環腫瘍細胞(CTC)の探索・解明や、その結果を利用したがんの早期診断に寄与します。
X線で組織の特徴を描出します(②-3:超高速フォトン・カウンティング多元分析型X線CT)
X線をエネルギーごとに分解して測定することでX線画像をカラー化する、スペクトラルX線CTを開発します。実用化すれば、従来の「形態」診断に加えて組織ごとの「性質」の違いを色の違いとして画像化できるため、正確な診断が可能になります。
アルツハイマー病など、神経変性疾患の早期診断と治療効果判定を可能にします(②-4:超音波を応用した神経変性疾患の低侵襲診断機器開発)
脳脊髄液中の異常蛋白質凝集体の元(シード)や、その形成促進因子を検出して診断に活かす技術を開発します。実用化すれば、アルツハイマー病やパーキンソン病など、異常蛋白質の凝集がみられる神経変性疾患の早期診断と、治療効果の判定が可能になります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の早期診断を可能にします(②-5:非アルコール性脂肪性肝炎の早期精密画像診断システムの開発)
MRIの感度を飛躍的に高める技術(DNP)を用いて、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態を悪化させる肝臓の酸化ストレスを可視化する高精度な診断機器を開発します。実用化すれば、肝がんへ移行するリスクが高いNASHの早期診断が可能になります。
薬が効きにくい高血圧症の早期診断を可能にします(②-6:抗原修飾ヤヌス粒子による簡易計測装置)
磁気ビーズの表面に半球ごとに蛍光分子と抗原分子を固定した独自のヤヌス粒子を用いて、疾病マーカーを容易かつ迅速に定量分析する技術を開発します。実用化すれば、薬が効きにくい高血圧症の原因となる原発性アルドステロン症について、高血圧症の患者が最初に訪れる街のクリニックで迅速に洗い出し、重症化する前の早期に適切な治療を始められるようになります。

※1 「先端計測分析技術・機器開発プログラム」は、文部科学省事業としてAMEDと科学技術振興機構(JST)がそれぞれ実施しており、AMEDでは、「医療機器開発につながる技術シーズ」の医療応用(医療機器としての実用化)を推進。

※2 「調整費」は、内閣府に計上された「科学技術イノベーション創造推進費」のうち175億円を各省の枠にとらわれず医療分野の研究開発に充当し、研究現場の状況・ニーズや健康・医療戦略推進本部の決定に基づいて、機動的かつ効率的に執行。

資料

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宛先 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 産学連携部 医療機器研究課  
住所 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-1
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備考
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最終更新日 平成28年7月11日