プレスリリース 遠隔セキュリティルーム運用開始―外部研究機関からもスーパーコンピュータが利用可能に―

平成28年12月21日プレスリリース

国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

発表のポイント

  • 東北大学東北メディカル・メガバンク機構に設置されたスーパーコンピュータへ、東北メディカル・メガバンク計画の実施機関以外の外部研究機関から初めてアクセスが可能に。
  • 東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野、及び、国立成育医療研究センターが、一定のセキュリティ基準を満たした遠隔セキュリティルームを設置、その部屋に置かれたシンクライアント端末からVPN回線を通じてアクセスを開始。
  • ゲノム情報をはじめとした機微性の高い情報は、東北メディカル・メガバンク計画の実施機関のみ取扱可能だったが、本設置を通じて、遠隔地からの安全性を担保した操作が可能となる。

概要

東北メディカル・メガバンク計画は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(以下、ToMMo)と岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構とが共同で、宮城・岩手両県で15万人規模のコホート調査*1を実施し、多くの生体試料と情報からなる複合バイオバンクを構築している事業です。バイオバンクには、調査参加者の健康調査結果及び解析情報(基本属性情報、調査票情報、生理学検査情報、検体検査情報、診療情報、MRI画像情報、ゲノム・オミックス情報等)等が、膨大な情報として蓄積されています。その情報に、両機構内のみならず、セキュリティを担保した外部の研究機関から、VPN回線*2でアクセスできる仕組みを整えました。

今回、東京大学、及び国立成育医療研究センターは、入室を生体認証で厳重に管理された遠隔セキュリティルームを設け、そこに設置したシンクライアント端末を通じToMMo内のスーパーコンピュータの一区画へアクセス可能となりました。本設置により、ToMMoが保有する機微性の高い情報を、遠隔地からも安全性を担保した状態で利用可能となり、また、スーパーコンピュータの計算資源にもアクセスできるようになります。今後は、さらに拠点を増やしていく予定で、東北メディカル・メガバンク計画由来のデータシェアおよび、計算資源の共有による効率的な個別化医療実現に向けた研究が推進され、日本のゲノム研究全体を底上げ、加速させるものと期待されます。

背景と経緯

東北大学と岩手医科大学は、2012年から東日本大震災の被害からの復興事業として、東北メディカル・メガバンク計画に取り組み、東北大学は東北メディカル・メガバンク機構(以下、ToMMo)を、岩手医科大学はいわて東北メディカル・メガバンク機構をそれぞれ設立して事業を進めています。両機構は、宮城・岩手両県の住民15万人に対し健康調査(コホート調査)を実施することを目標としており、2016年11月現在で、当初目標としていた15万人を超える方々の参加を得ています。

コホート調査参加者から提供頂いた血液等の生体試料や調査票は、バイオバンクに格納されて、全国の多くの研究者の利用に供されます(試料・情報分譲)が、東北メディカル・メガバンク計画では多くの試料についてゲノム配列などの解析を両機構により行って、高精度で網羅的な解析データを分譲することを計画してきました。多様な解析により、質や種類の大きく異なる膨大なデータが生み出されますが、これらの情報は極めて機微性が高いものになります。これまで、ToMMoではこれらの情報は、スーパーコンピュータに厳格なセキュリティポリシーを適用して運用してきましたが、世界の時流ともなるデータシェアリングという観点からは不適合がありました。外部の研究機関からでも、安全性を担保しながらスーパーコンピュータの一部にアクセスすることで、安全性及びデータの共有の両面を追求できると考えました。

遠隔セキュリティルーム概要

ToMMo内のスーパーコンピュータへのアクセスは、これまで東北大学と岩手医科大学との間でのみ運用されていましたが、今回、セキュリティを担保した環境からVPN回線を通じて外部の研究機関である、東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学分野、及び、国立成育医療研究センターに設置されたシンクライアント端末を通してもアクセスできる仕組みを整えました。

両研究機関では、入室を生体認証で厳重に管理された部屋を設置、セキュリティルームへの入室はそれぞれの研究機関への申請を通して行う必要があるほか、そこに設けたシンクライアント端末の利用は、ToMMoのスーパーコンピュータ利用アカウントを取得することで可能となります。

本遠隔セキュリティルームのシンクライアント端末からは、ToMMo内に設置されたスーパーコンピュータのうち、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)より支援された公開区画に割り当てられた領域へのアクセスが可能で、これまでオンサイトでのみ取扱可能だった、ゲノム情報はじめ高度な機微性のある情報が、本設置により、遠隔地からも安全性を担保した状態で操作可能になります。

シンクライアント端末を利用することで、東北メディカル・メガバンク計画のバイオバンク事業において、前向きに収集した大規模な基本属性情報、調査票情報、生理学検査情報、検体検査情報、診療情報、MRI画像情報、ゲノム・オミックス情報等を統合したデータベース等へアクセス可能となり、精度の高いゲノム医療実現のための解析研究を実施することが可能となります。

今後の計画

今年度中に、同様の拠点を複数設置する予定で、順次、10箇所程度まで拠点を増やしていく予定です。また、各拠点では、より多くの研究者が利用できるような運用方針を計画していく予定です。今後は、東北メディカル・メガバンク計画由来のデータシェアを進めるだけに留まらず、スーパーコンピュータの計算能力や、計算資源の共有も視野に入れ、より効率的な個別化医療実現に向けた研究の推進、及び全国のゲノム医療の基盤構築を進めて参ります。

用語解説

*1.コホート調査:
ある特定の人々の集団を一定期間にわたって追跡し、生活習慣などの環境要因・遺伝要因などと疾病の関係を解明するための調査のこと。
*2.VPN回線:
仮想的なイントラネットを公衆ネットワーク上に構成するバーチャルプライベートネットワーク(VPN)を利用し、安全にデータをやりとりするための回線のこと。

イメージ図

説明図

参考

東北メディカル・メガバンク計画は、2015年度より、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が本計画の研究支援担当機関をつとめています。本遠隔セキュリティルームも当計画の一環として設置されています。

お問い合わせ先

研究に関すること

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
ゲノムプラットフォーム連携センター
センター長
木下 賢吾(きのした けんご)
電話番号:022-274-5952
Eメール:kengo“AT”ecei.tohoku.ac.jp

報道に関すること

東北大学東北メディカル・メガバンク機構
広報戦略室長
長神 風二(ながみ ふうじ)
電話番号:022-717-7908
ファックス:022-717-7923
Eメール:f-nagami“AT”med.tohoku.ac.jp

AMED事業に関すること

日本医療研究開発機構(AMED)
バイオバンク事業部 基盤研究課
電話番号:03-6870-2228
Eメール:kiban-kenkyu“AT”amed.go.jp

※Eメールは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

最終更新日 平成28年12月21日