プレスリリース 特殊ペプチド原薬の安定的な供給体制の基盤構築を達成

プレスリリース

ペプチスター株式会社
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

ペプチスター株式会社(本社:大阪府摂津市、代表取締役社長:亀山 豊、以下「ペプチスター※1」)が代表機関となり、2017年10月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」)と委託環境整備契約を締結した医療研究開発革新基盤創成事業(以下「CiCLE」)における課題「特殊ペプチド※2原薬CMO※3創設」において、計画通り供給体制の基盤構築を達成しました。

課題の実施内容

現在の医薬品は低分子医薬品と抗体医薬品が主流を占めていますが、その両方の優れた特徴を兼ね備え、且つ化学合成で製造が可能なペプチド※4医薬品(中分子医薬品)に対する注目度が高まっています。特にペプチドリーム株式会社の基盤技術を活用した特殊環状ペプチド医薬品は、その構造が環状であることから従来課題とされてきたペプチドの安定性に加え、活性、特異性に優れており〔表 特殊ペプチド(特殊環状ペプチド)医薬品の可能性〕、国内外を問わず多くの製薬企業との共同研究開発が進められています。また、現時点では特殊ペプチドを精度高く安定且つ大量に供給できる体制は世界的に見ても少ないことから、我が国において特殊環状ペプチドを含む特殊ペプチド医薬品を安定的に供給できる製造体制を確立することが必要とされています。特殊環状ペプチド医薬品に関連する周辺の知財、技術は日本発のバイオベンチャーであるペプチドリーム株式会社が保有しており、今後、製造においても日本発の技術として世界に発信できる可能性が高いと期待されます。ペプチスターは医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の活用及び自己資金にて、新たな技術革新創造の環境整備ならびに特殊ペプチド原薬(天然アミノ酸を用いた通常のペプチド原薬を含む。以下同じ。)の安定的な供給体制の基盤構築を達成いたしました。

表 特殊ペプチド(特殊環状ペプチド)医薬品の可能性
  低分子医薬品 特殊ペプチド(特殊環状ペプチド)医薬品 抗体医薬品
分子量 500以下 600~2500 15万以上
活性 普通~高い 極めて高い 極めて高い
特異性 低い 極めて高い 極めて高い
細胞内標的 狙える 狙える 狙えない
経口投与 可能 可能(分子量等に依存) 不可能
化学合成 可能 可能 不可能
製造コスト

得られた成果及びその意義

特殊ペプチド合成における特殊アミノ酸原料の調達、合成技術、精製・固体化技術(図 特殊ペプチドの製造フロー)、GMP※5保証に関連する国内各社の最先端技術の戦略的な統合を目的とし、総合棟(本社研究棟:写真1)及びGMPに準拠した製造棟1(写真2)の建設並びに付随する機器・設備を導入しました。総合棟(本社研究棟)に製造法、分析法開発の実験室及び各国当局のGMP査察対応の会議室を整備しました。製造棟1は合成室(写真3)、精製室が整備され、特殊ペプチド原薬のGMP製造を実施することができます。またマイクロ波を活用した反応装置(タンク容量1L、10L、30L)を新設しており、これまで少量スケールのみであったマイクロ波による特殊ペプチド合成を30Lレベルまで実現させることが可能となっています。出資各社ならびに出資者以外とも協業し、上記関連技術の技術革新を進めるとともに、顧客のメリットが高い特殊ペプチド原薬製造のハブ的存在を目指すこととしています。

図 特殊ペプチドの製造フロー
  • 写真1:総合棟
  • 写真2:製造棟1
  • 写真3:製造棟合成室

今後の展開

CiCLEにおいて特殊ペプチド原薬の安定的な供給体制の基盤構築を達成したことにより、この基盤を活用することで本格的に事業が加速され、特殊環状ペプチド医薬品を含む画期的な特殊ペプチド医薬品創出への貢献が期待されます。

用語解説

※1ペプチスター
2017年9月1日ペプチドリーム株式会社、塩野義製薬株式会社、及び積水化学工業株式会社の3社により設立された会社
※2 特殊ペプチド
天然の20種類のアミノ酸のみならず、各種特殊(非天然型)アミノ酸(L-アミノ酸誘導体、D-アミノ酸、N-メチル化アミノ酸、β-アミノ酸等)を組み込んだ、一般には8~20アミノ酸残基からなるペプチド
※3 CMO
製造受託機関;Contract Manufacturing Organization
※4 ペプチド
ペプチドは、アミノ酸をモノマーとしてペプチド結合により短い鎖状につながった分子の総称
※5 GMP(Good Manufacturing Practice)
製造業者(外国製造業者含む)および製造販売業者に求められる「適正製造規範」(製造管理・品質管理基準)

本件に関するお問い合わせ先

内容に関するお問い合わせ

ペプチスター株式会社
柴田 TEL:06-6319-1690

AMEDの事業に関するお問い合わせ

国立研究開発法人日本医療研究開発機構
革新基盤創成事業部 計画調整課
TEL:03-6870-2260
E-mail:cicle-ask"AT"amed.go.jp

※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

掲載日 令和元年12月6日

最終更新日 令和元年12月6日