成果情報 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改訂版)」及び「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その2:次世代シークエンサーを用いた生殖細胞系列網羅的遺伝学的検査における具体的方針(初版)」の公開

成果情報

国立大学法人京都大学大学院医学研究科
国立研究開発法人日本医療研究開発機構

日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム創薬基盤推進研究事業 A‐②:ゲノム情報患者還元課題―患者やその家族等に対して必要とされる説明事項や留意事項を明確化する課題「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」(研究代表者:京都大学 小杉眞司)は、 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その1:がん遺伝子パネル検査を中心に(改定版)」及び 「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言―その2:次世代シークエンサーを用いた生殖細胞系列網羅的遺伝学的検査における具体的方針(初版)」を作成しました。

本提言を参照いただき、ゲノム医療における情報伝達が円滑に進むようご活用いただけましたら幸いです。

本提言について

「ゲノム創薬」の基盤であり、出口でもあるゲノム「医療」の実装は急務です。政府の健康・医療戦略推進会議の下に設置された「ゲノム医療実現推進協議会」での中間とりまとめ(2015年7月)及び、厚生労働省の「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」における意見取りまとめ(2016年10月29日)では、国民のゲノム医療に対するアクセスを一層加速させることが指摘されています。

特に、ゲノム医療の実用化を進めていくためには、医療現場が直面すると予想される二次的所見への対応を含めた、クリニカルシークエンスを実施する際の患者及び家族等に対する説明事項や留意事項を明確にすることが喫緊の課題とされており、「ゲノム医療実現推進協議会」からも2018年度までに、今日のゲノム医療を取り巻く環境を反映した医療現場における指針を示すことが求められています。

このような課題を解決するため、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)のゲノム創薬基盤推進研究事業が実施されており、「医療現場でのゲノム情報の適切な開示のための体制整備に関する研究」班では、上記の課題に対する対応のための検討を進めており、そのミッションとして「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言」(その1及びその2)を取りまとめました。

これは臨床の現場でゲノム医療を実施する際の患者・家族への説明事項や留意事項を二次的所見への対応を含めてまとめたもので、特にがん遺伝子パネル検査が急速に臨床導入されて来ている状況に対応するものです。2018年度に公開した「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言」(初版)をもとに、がんゲノム医療中核拠点病院等連絡会議のICWG(インフォームド・コンセントワーキンググループ)及びSFsubWG(二次的所見サブワーキンググループ)の構成メンバーとして、継続的に協議に参加いたしました。2019年度から保険診療として開始される予定のがん遺伝子パネル検査の説明文書・同意書の作成にあたり、ワーキンググループでは、小杉班提言初版を基本に修正を繰り返しながら、説明文書・同意書のひな型が作成されました。小杉班においてもそれらのワーキンググループの意見を今回の改訂版に反映させました。これらのプロセスを経た提言・説明文書・同意書はまさにオール・ジャパンで作られたものと言えると思います。

また、難病などに対するエクソーム解析等の生殖細胞系列の網羅的な解析も二次的所見が発生しうるところから提言の対象としていますが、がん遺伝子パネル検査とは大きく異なる事項も多いため、今回は提言その2として独立させ、関連学会等からの意見も幅広く取り入れて初版を公開いたしました。

2019年度においても、関連領域全体において共通の理解の下でゲノム医療が推進できるよう、ゲノム医療の現場や関係学会からのフィードバックによって、提言をバージョンアップしていく予定です。

お問い合わせ先

国立大学法人京都大学
大学院医学研究科社会健康医学系専攻 医療倫理学・遺伝医療学分野
小杉 眞司
E-mail:kosugi”AT”kuhp.kyoto-u.ac.jp

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
基盤研究事業部 バイオバンク課
〒100-0004 東京都千代田区大手町一丁目7番1号 読売新聞ビル21F
TEL:03-6870-2228 FAX:03-6870-2246
E-mail:genomic-medicine“AT”amed.go.jp

※E-mailアドレスは”AT”の部分を@に変えてください。

掲載日 平成31年3月29日

最終更新日 平成31年3月29日