成果情報 iPS-NKT細胞を活用したがん免疫細胞療法の治験1症例目が終了

成果情報

千葉大学医学部附属病院
理化学研究所
日本医療研究開発機構

千葉大学病院(病院長横手幸太郎)と理化学研究所生命医科学研究センター(山本一彦センター長)では、iPS細胞からNKT細胞を作製した「iPS-NKT細胞」を、頭頸部がん患者さんの腫瘍血管内に直接投与する、世界初の治療法を医師主導治験として行ってきました。このたび、1症例目の治験が終了しましたので、ご報告いたします。

今後、2症例目を2021年2月頃に開始し、3症例目、4症例目と治験を継続してまいります。2022年3月頃までに全症例の治験製品投与を終了し、データ解析を数か月かけて行った後に、今回の1症例目も含め、本治験に関する評価を行う予定です。

1症例目について、現段階でお伝えする内容は以下の通りです。

1例目の実施概要

実施期間
2020年9月中旬~11月中旬
実施場所
千葉大学医学部附属病院
被験者
50代 男性

これまでの経過

2013年2月14日 頭頸部がんに対する「NKT療法」が先進医療Bとして承認
2015年2月4日~ 医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」)と「iPS-NKT細胞」の品質、安全性等に関する相談を開始
2018年12月27日 PMDAと「iPS-NKT細胞」に関する治験相談を実施
2020年5月20日 千葉大学医学部附属病院治験審査委員会にて承認
2020年5月27日 厚生労働大臣に治験届を提出
2020年6月25日 PMDAの30日調査終了

NKT細胞の特徴

リンパ球の一種で、がんに対して強い攻撃力を持つが、人の血液中にわずかしか存在せず(0.01%程度)、個人差も大きく、実用化へのハードルが高かった。

iPS-NKT細胞

iPS細胞からNKT細胞を分化・作製した細胞。高機能を備えたままの細胞を増殖可能。頭頸部がんに直接投与することで高い治療効果と実用性が期待される。

iPS-NKT細胞を腫瘍栄養動脈内にカテーテルを用いて到達させて投与

本治験の実施体

  • 治験責任医師
    千葉大学医学部附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 飯沼智久
  • 治験調整医師(代表)
    千葉大学大学院医学研究院 免疫細胞医学 本橋新一郎
  • 治験製品製造及び提供責任者
    国立研究開発法人理化学研究所 生命医科学研究センター 古関明彦
  • 治験実施支援(調整事務局、モニタリング、データマネジメント、統計解析など)部門
    千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 花岡英紀
  • HLA検査、抗HLA抗体検査及びサイトカイン検査
    ジェノダイブ株式会社、株式会社LSIメディエンス

本研究への支援

本研究は、下記企業より支援を受けて実施します。

  • ブライトパス・バイオ株式会社

お問い合わせ先

本リリースについて

千葉大学医学部附属病院 病院広報室 吉沢・高井・丸山
TEL:043-226-2225 FAX:043-224-3830
E-mail:byoin-koho“AT”chiba-u.jp

治験について

千葉大学医学部附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科
TEL:043-222-7171(代表)
E-mail:jibika“AT”office.chiba-u.jp

iPS-NKT細胞について

千葉大学大学院医学研究院 免疫細胞医学
TEL:043-222-7171(代表)
E-mail:menekisaibouigaku-jimu“AT”chiba-u.jp

AMED事業について

国立研究開発法人日本医療研究開発機構
再生・細胞医療・遺伝子治療事業部 再生医療研究開発課
TEL:03-6870-2220
E-mail:saisei“AT”amed.go.jp

※E-mailは上記アドレス“AT”の部分を@に変えてください。

掲載日 令和2年12月24日

最終更新日 令和2年12月24日