2016年度 研究事業成果集 研究費の機能的運用

研究費の機能的運用の実現

経理部

機器や旅費の合算購入、年度またぎ運用を可能にし、より使いやすく

AMEDでは、研究費を研究現場で効果的に活用できるよう、使いやすさや事務作業の軽減などを考慮した運用ルールの柔軟化を設立当初より行ってきました。研究の加速・内容の充実や、研究に注力できる環境を整備することにより、研究の成果をより大きく、より早く創出できるように、このルールの積極的な活用を考えています。

取り組み

国の研究費の運用は公費のため細かな規定があり、研究者にとって利用しづらく、規定を遵守しなければならないために生じる無駄も指摘されていました。AMEDは、この問題に設立当初から対応し、事務負担の軽減を考慮しながら、ルールの柔軟化に努めてきました。研究費の増額をはじめ、機器、旅費・消耗品の合算購入、年度をまたいだ物品調達を可能にするなど、運用上の課題を解消しています。いくつかを紹介します。

[機器の合算購入]
AMED内の2つ以上の事業の研究費を合わせて大型研究機器を購入する場合、またAMEDの委託研究と他機関の委託研究で共用可能な分析機器を購入する場合などは、条件付きで合算購入ができます。
[旅費・消耗品の合算購入]
一度の出張でAMEDの研究と他研究の用務を行うことができる場合、それぞれに経費を区分することで、旅費の合算処理ができます。消耗品では、研究ごとの使用区分を明確にさえすれば、一括購入も認められます。
[年度をまたいだ物品調達及び共用使用]
委託研究開発契約は、単年度ごとに契約が締結されるため、契約から納品まで長時間を要する研究機器及び試験・分析の実施については、研究の空白を作ってしまい、研究開発を推進する上でネックになっていました。

AMEDでは、そのネックを解消し、研究の進捗を加速させるため、研究機器及び試験・分析等について、当該年度に納品・検収をするものの契約が前年度に締結されているものも可能とする「年度またぎの調達」を可能としました。

また、研究機器の合理的運用については、AMEDの研究費で購入した研究機器は、AMEDから委託された研究等に支障を及ぼさない範囲で他の研究に使うことを可能とするなど、研究機器を合理的に運用できるような環境を整備しています。

年度をまたぐ物品調達等に係る契約(研究開発期間が3年の場合)

成果例

平成28年12月、AMEDが支援する研究機関に対して研究費の機能的運用の実施状況を把握するためのアンケート調査を行ったところ、98機関が研究費の機能的運用を実施したことがあると回答しました。最も多かったのが、旅費や消耗品の合算購入でした。
運用を始めて日が浅いため、利用率はあまり高くありませんが、今後さらに活用できるよう努力していきます。

研究費の機能的運用の実施状況
旅費や消耗品の合算購入の件数(大学・企業等共通)

 
A大学では、10課題で実施、B大学では5課題で実施し、1課題あたり5件を実施している。その他、製薬企業等でも実施。1課題で40件以上を実施している機関もあり、利用する機関は積極的に実施している状況

展望

研究費の運用に伴う事務負担の軽減、無駄の減少は、より良い研究成果の創出にもつながります。研究成果を最大化し、多くの人に役立つ医療を早期に届けるために研究費の機能的運用は不可欠であることから、研究現場の声に即した柔軟な制度構築を目指していきます。

関連リンク

最終更新日 平成30年10月5日