2016年度 研究事業成果集 次世代抗体医薬などの製造技術の開発

国産技術による次世代抗体医薬などの製造技術の開発を目指して

戦略推進部 医薬品研究課

産学官36団体が結集し、純国産で抗体医薬品の生産プロセスを開発

「次世代バイオ医薬品製造技術研究組合」(MAB)は国産技術による次世代抗体医薬などバイオ医薬品の産業技術基盤の確立を目指して設立されました。国内の大学、公的研究機関、企業など36団体が結集し、国産技術を結集した抗体医薬品等の製造技術の開発を進めています。開発技術の評価・実証の場として、神戸GMP施設も整備し、研究成果の早期実用化を目指しています。

神戸GMP施設

神戸市、神戸大学の協力の下、神戸ポートアイランドに整備されたGMP施設
(神戸大学統合研究拠点アネックス棟1F)

取り組み

成長著しい世界のバイオ医薬品市場の中でも、抗体医薬品は年々市場規模を拡大しています。しかし、日本における抗体医薬品は海外ライセンス製品がほとんどで、医薬品輸入超過の一因にもなっています。日本国内には抗体医薬品開発に関わる優れた要素技術が多数存在するものの、それらは点在しており、国内の製造技術基盤や生産拠点の整備の遅れがボトルネックとなっています。これらの課題を解消し、抗体医薬品の国内製造を可能にするには、産学官の協働による技術開発や技術の統合・最適化が不可欠です。「国際基準に適合した次世代抗体医薬等の製造技術の研究開発事業」はこうした問題点を解消するための事業として、平成25年度から5カ年の計画で開始されました。国内の抗体製造に関わる産学官の36団体が参画するMABでは、大政健史プロジェクトリーダー(大阪大学)を中心に、オールジャパン体制で「国際基準に適合した次世代抗体医薬等の製造技術の研究開発事業」に取り組んでいます。開発された技術の評価・実証の場として、神戸ポートアイランドに200ℓ規模の培養設備、タンパク精製設備などを備えたGMP(GoodManufacturingPractice:医薬品等の製造管理及び品質管理の基準)施設を整備しました。この施設は生産設備としては小規模ですが、抗体製造に関わる研究開発、開発技術の統合化(プラットフォーム化)、専門人材の育成まで行える、世界でもまれなGMP施設として活用され、大きな成果を上げています。

MABにおけるバイオ医薬品製造工程と研究開発項目

培養工程の検証実験

成果例

  • 海外製のCHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株)と同品質の国産オリジナルCHO細胞の樹立に成功しました。
  • 抗体医薬の分離精製に関わる迅速プロセス設計技術、高精度分離用部材、シングルユースシステム(1回切りの使用)による高生産性連続精製のプロセスなどを開発しました。
  • 海外に依存しているウイルス安全性評価を、国内でも実施可能にするためのウイルス安全性管理技術開発チームをMAB内に新設し、基盤整備を進めています。
  • 横浜バイオ産業センター(公益財団法人木原記念横浜生命科学振興財団)内にマスターセルバンク構築のためのGMP設備の整備を進めています。

展望

国産技術による抗体医薬品製造に向けての基盤構築をさらに進めます。開発された要素技術や技術プラットフォーム、それらを組み合わせたトータルシステムを構築し、神戸GMP施設での検証を経て製造現場への技術移転を目指します。また、抗体製造にかかわる人材育成の活動も支援していきます。

最終更新日 平成30年10月5日