2016年度 研究事業成果集 東北メディカル・メガバンク計画

東北メディカル・メガバンク計画による医療と医学研究を通じた創造的復興

基盤研究事業部 バイオバンク課

復興プロジェクトとして被災地医療を支え、次世代ゲノム医療にも貢献

東北メディカル・メガバンク計画では、未来型医療を構築し東日本大震災の被災地復興に取り組んでいます。被災地で住民への健康支援や医師支援などの地域医療を再建しながら、同時に生体試料とゲノム・健康調査情報を組み合わせたバイオバンクを構築しています。バイオバンクでは遺伝情報の解析を進め、ゲノム情報に基づいた個別化医療の基盤づくりを目指しています。

取り組み

東北大学と岩手医科大学に設立された東北メディカル・メガバンク機構は平成24年2月の設立以来、被災地域住民の健康調査や沿岸部への医師支援など地域医療の支援・再建に継続して取り組んでいます。また長期健康調査事業(コホート調査*)は、平成28年10月に研究協力者が15万人に達し、ゲノム医療の発展に大きく貢献しています。

成果

地域医療支援

医師チームが被災地の病院と大学病院を定期的に行き来し、地域医療に貢献しながら研究を進める「循環型医師支援制度」によって、被災地の医師不足を解消、地域から大きな信頼を得ています。

地域住民コホート調査

自治体と協力して、宮城県と岩手県の被災地12カ所に地域支援センターやサテライトを設け、住民に血液検査やMRI検査など詳細な健康調査を実施しました。平成28年度までに8万人の研究参加者のリクルートを完了しました。

バイオバンクの構築と試料・情報分譲

コホート調査を通じて複合バイオバンクを構築し、参加者の血清、血漿、尿、DNAなどの生体試料とアンケート調査や生理学検査の結果、ゲノムオミックス解析データを収集・保管・管理し、外部の研究機関に分譲しています。

三世代コホート調査

個別化医療をより効果的に行うには家族歴まで含めたゲノム解析が効果的です。妊婦と産まれてくる子供、その子供の父親や兄弟、祖父母などにゲノム情報などを提供していただく「三世代コホート調査」を実施し、平成29年1月で協力者は7万人に達しています。このような大規模で詳細な三世代コホート調査は、世界にも類がありません。

三世代コホートの協力者は7万2386人

*コホート調査:特定の集団を一定期間追跡し、環境や遺伝的要因と発病の関係を調べる調査

統合データベースの開発

調査で得られた結果をもとに、ゲノム情報から生化学・生理学検査情報、生活習慣、罹患歴などの健康調査情報を含む世界初の大規模データベースを構築。全国の研究者への試料・情報分譲のための基盤として役立てられています。

日本人ゲノムリファレンスパネル

コホート調査に参加した健常な日本人2049人分の全ゲノム解析を行い、世界の標準配列と比べて塩基1つだけ異なるところ(一塩基多様体:SNVs)を約2800万個見つけました。このリストなどを、全ゲノムリファレンスパネルとして公開しています。これをもとに日本人向けに最適化されたDNAアレイ「ジャポニカアレイ®」を設計し、製品化。「ジャポニカアレイ®」を活用することで、短期間・低コストでの全ゲノム復元が可能になります。


製品化された「ジャポニカアレイ®」

展望

平成28年4月、「ゲノム医療実現のためのデータシェアリングポリシー」を策定して、一塩基多型(SNP)などのゲノム情報を全国の研究者が活用するための方針を示し、平成29年度の新規公募事業で適用を開始しました。シェアリングされたゲノム情報を解析することにより、病因解明や治療法開発に向けた研究の加速が期待されます。

最終更新日 平成30年10月5日