2016年度 研究事業成果集 生物統計家の育成

大学院に「生物統計講座」を平成28年度新設

臨床研究・治験基盤事業部 臨床研究課

臨床研究・治験を共に総合デザインする実務家としての生物統計家育成

AMEDは製薬業界と協力して、質の高い臨床研究や治験を実施するために欠かせない生物統計家を育成します。平成28年度、東京大学大学院と京都大学大学院に「生物統計講座」を新設し、今後、連携病院での実地研修を行いながら毎年20人程度の生物統計家を育成、日本発の医薬品開発を加速させます。

「生物統計家」とは

質の高い臨床研究・治験を実施するためには、臨床研究・治験の初期段階から最終段階まで関与する生物統計家が欠かせませんが、日本ではそれら専門家の人材不足が深刻で、このことが昨今相次いだ臨床研究における不適正事例の一因とも指摘されています。そこでAMEDでは製薬業界の協力のもと、臨床研究を行う病院などで適切な研究計画設計、研究計画書(プロトコル)の作成、データ解析、報告書作成等に関わる実務家としての生物統計家を、まずは2021年までに50人程度育成を目指します。

取り組み

平成28年度に公募を行い、東京大学大学院と京都大学大学院を、各々核とする生物統計家育成拠点を選定しました。

育成拠点の連携図

  1. 東京大学大学院と京都大学大学院は、座学及び実地研修からなる独自の育成カリキュラムを策定し、高い専門性及び倫理観をもったモチベーションの高い生物統計家を育成する「生物統計講座」を平成28(2016)年度に新設し、2018年度から学生受け入れを開始します(修士課程、2年間)。
  2. 東京大学大学院は同大学医学部附属病院・国立がん研究センターと、京都大学大学院は同大学医学部附属病院・国立循環器病研究センターと連携し、座学だけでなく各病院で実際に行われている医師主導治験などを題材としたOJT研修を実施します。

「生物統計講座」では、日本統計学会の「統計検定」2級程度の能力を持つ学生をそれぞれの拠点で毎年10人以上募集します。病院や大学、企業で活躍する生物統計家が増えることによって、より質の高い臨床研究や医師主導治験が行われ、日本発の医薬品開発の加速が期待されます。この事業は、製薬業界からの寄付金と国からの研究資金をAMEDで集約し、育成拠点に配分するもので、このような資金の流れの産学官共同プロジェクトは日本で初めての取り組みです。

資金の流れのイメージ

最終更新日 平成30年10月5日