2016年度 研究事業成果集 NIHなど世界のファンディング機関との協力体制の構築

NIHなど世界のファンディング機関との協力体制の構築

国際事業部

NIH、A*STARと共同研究開始など、各国の強みを活かし連携強化

AMEDは、平成28年1月の米国国立衛生研究所(NIH)を皮切りに、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)、英国医学研究会議(MRC)、リトアニア共和国保健省、スペイン王国経済・競争力省調査・開発・イノベーション担当総局(SEIDI)と協力に関する覚書に署名しました。国際共同研究の開始や、ワークショップの開催、研究成果にかかるデータシェアリングなど、各国の強みを活かした医療の研究開発に関する協力体制を一層強化していきます。

取り組み

海外ファンディング機関との連携

この2年間に米国NIHをはじめ、5カ国の生物・医学分野の研究開発に関するファンディング機関などと協力に関する覚書(MOC)に署名しました。各国の強みを活かし、情報交換、人材交流などを促進し、研究をより強力に進めることが目的です。各国ファンディング機関とは、ワークショップ、共同セミナー・シンポジウムなどを開催していきます。NIH、A*STARとは既に国際共同研究を開始しました。

・平成28年1月:米国国立衛生研究所(NIH)
NIHとMOCに署名しました
NIHはおよそ30の研究所及びセンターで構成されている生物・医学分野に関する世界最大規模の研究拠点機関です。難病・未診断疾患、多剤耐性菌対策、感染症サーベイランス、がん、脳神経科学、糖鎖生化学などで連携していきます。
平成28年7月には、NIHと初めて共同研究公募を実施しました。NIHの一機関であるNIAID(米国国立アレルギー感染症研究所)と、感染症対策や免疫・予防に関する研究分野で若手や女性の研究者の育成を目的に「地球規模保健課題解決促進のための研究事業」の一環として実施し、10件の研究開発課題を採択しました。募集から採択まで全て英語で課題評価を実施したAMED初の事例です。

NIHとの覚書調印式

覚書署名の様子。NIHフランシス・コリンズ長官と末松理事長(写真提供:米国国防省)
・平成28年3月:シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)
A*STARとMOCに署名しました
A*STARは、シンガポールで科学技術に関する研究開発を推進しています。覚書署名によりAMEDはA*STAR傘下の生物医学研究会議、A*STARと連携する国立医学研究会議との協力関係を構築しました。
シンガポールでも日本と同様に高齢化が進んでおり、平成28年10月、「老化」(Ageing)をテーマに、「医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業 戦略的国際共同研究プログラム」(SICORP)の国際公募をA*STARと共同で行いました。日本とシンガポールが協力し合いながら課題解決に臨みます。
平成29年2月:英国医学研究会議(MRC)
MRCとMOCに署名しました
MRCは生物・医学分野において英国、ひいては世界を代表するファンディング機関のひとつです。
覚書の署名を機に、共同研究、共同セミナー・シンポジウム、人材交流などの実施を考えており、今後の連携分野についてより詳細に検討するため、平成29年3月には再生医療、感染症分野のワークショップを開催しました。再生医療、認知症、薬剤耐性、感染症などで連携していきます。

日英で医学研究協力

ロンドンの日本大使館で、協力の覚書に署名し握手する末松理事長と英国医学研究会議(MRC)のジョン・サビル長官
(写真提供:共同通信社)
平成29年3月:リトアニア共和国保健省
リトアニア共和国保健省とMOCに署名しました
難病・未診断疾患、がん研究などで連携していきます。リトアニア共和国は「国民の医療情報」を政府が管理するという特徴を持っており、既に「未診断疾患イニシアチブ」(IRUD)でリトアニア共和国の患者のゲノム情報が提供された実績があります。この連携により未診断疾患の究明がさらに進むものと期待されます。
平成29年4月:スペイン王国経済・競争力省調査・開発・イノベーション担当総局(SEIDI)
SEIDIとMOCに署名しました
スペイン王国とは、平成28年12月にナノメディシン分野をテーマにしたワークショップを開催しており、覚書署名を機に同国との生物・医学分野の人材交流や共同セミナー、シンポジウム、共同研究の実施などを考えています。

スペイン王国と覚書交換
スペイン王国 経済・競争力省 調査・開発・イノベーション担当総局(SEIDI)カルメン・ベラ長官と協力に関する覚書を交換する末松理事長

最終更新日 平成30年10月5日