2016年度 研究事業成果集 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム SATREPS

ウイルス性人獣共通感染症の感染経路をザンビア大学と共に調査

国際事業部 国際連携研究課

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム SATREPS (サトレップス;Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)

AMEDは、国際協力機構(JICA)と連携して、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム「SATREPS」の感染症分野を担当しています。北海道大学の高田礼人教授らが南部アフリカのザンビア共和国で実施中のウイルス性人獣共通感染症に関する研究では、現地研究者と共に感染経路の調査を行い、新種のウイルスを発見したり、エボラウイルスの迅速診断キットを開発し現地で活用するなど大きな成果を上げています。

取り組み

「SATREPS」(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)は、地球温暖化や感染症対策など、科学技術をさらに発展させる以外には解決の難しい、地球規模課題*に対して取り組む国際共同研究プログラムです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、AMEDがそれぞれ独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携して、科学技術の競争的資金と政府開発援助(ODA)を組み合わせることにより、国際共同研究を実施しています。AMEDは感染症分野を担当し、現在13課題が活動しています。開発途上国の研究機関と日本の研究機関が課題解決に向けて共同で研究を進めながら、途上国の研究開発能力の向上や人材育成を支援しています。

SATREPSの仕組み

成果例

北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター国際疫学部門の高田礼人教授らは、ザンビア大学獣医学部と共同で、鳥インフルエンザやエボラ出血熱など人と動物に共通する感染症(ウイルス性人獣共通感染症)の感染経路の調査や、診断法の開発など、感染症制圧のための研究を行っています。

エボラウイルスに関しては、患者の血液から15分で感染の有無を診断できるエボラウイルス迅速診断キットを日本企業と共同で開発しました。またザンビア国内でエボラウイルスを迅速診断できるようザンビア大学の研究者を育成したり、感染経路の調査のため自然宿主といわれているフルーツコウモリを捕獲して血液や臓器中のエボラウイルスや抗体の有無を調べるなど、幅広く活動を続けています。

エボラウイルスを媒介すると考えられているコウモリから採血する様子

 

ワクチン・検査試薬会社と共同で開発した、エボラウイルス迅速診断キット

 

*地球規模課題:一国や一地域だけで解決することが困難であり、国際社会が共同で取り組むことが求められている課題(環境・エネルギー問題・自然災害(防災)・感染症・食糧問題など)

 

最終更新日 平成30年10月5日