2017年度 研究事業成果集 ICTを用いた診療画像データベースを構築

学会が主導し診療画像データベースを構築

臨床研究・治験基盤事業部 臨床研究課

AIによる診断・治療支援へICTを用いた画像診断データベースを統合

医療分野に人工知能(AI)を活用していくためには、質の高い医療情報を大量に収集する必要があります。AMEDはさまざまな機関や団体がそれぞれ保有している医療情報について、ICT技術を用いたデータ収集・統合化を行い、データを利活用できる仕組みづくりを進めています。この取り組みの一つとして、2016年度から学会主導による診断画像のデータベースを構築、AIを活用した診断・治療支援により、医療の質を向上させることを目指しています。

■診療画像等データベースプラットフォーム構築(現状と今後)

取り組み

医療画像データの活用のためのICT基盤の整備として、AMEDでは学会主導でさまざまな医療分野の診療画像データベースの構築を推進しています。

現在、医療画像の診断は、その医療分野に関する専門医が画像から必要な情報を取捨選択して行っています。診断にどの情報が必要(不要)であるかは、深い専門知識と豊富な経験に基づく暗黙知であることが多く、AIを診断や治療支援に活用するには診断画像をデータベース化した上で、質の高い教師データをAIに学ばせることが必要です。この研究開発ではAI活用の基盤となる質の高い診断画像のデータベースを学会主導で整備しています。
2016年度の公募で、日本消化器内視鏡学会、日本病理学会、日本医学放射線学会を採択。さらに、2017年度に日本眼科学会が加わりました。

各学会が相互に連携しながらそれぞれの研究を進めるとともに、国立情報学研究所(NII)が共通のインフラ基盤整備を担うことで、均質性の高いデータ集積システムを構築し、各学会のデータベース間の情報連携もできるようにする予定です。

成果

個々の医療機関内に保管されている診断画像情報をデータベース化するに当たっては、倫理的課題やデータ容量をはじめ、医療データベースごとに規格が異なることなど運用面での数々の問題が想定されます。各学会が密に相互連携し、これらの問題を共通して解決するために、2017年度にはAMED主導により画像関連学会連携会議(JEDI)を4回開催しました。

また、集積したデータを効率的に活用できるよう、次世代研究基盤構築に関する研究や、診療・研究目的のAI開発のための基盤整備に関する研究開発を並行して行いました。

展望

2018年度は、新たな医学分野の学会を公募し、さらに各領域が連携し合う関係構築に向けて注力していきます。また、NIIに構築された医療画像ビッグデータクラウド基盤上で医療、AI、情報関連の研究者たちが画像解析を行うなど、2020年度の本格始動に向けて準備しています。

*教師データ:
機械学習の教師あり学習において、人工知能のニューラルネットワークがあらかじめ与えられる、例題と答えについてのデータ。この大量のデータをもとに、ニューラルネットワーク自体が出力結果の正否を判断し、最適化を行う

最終更新日 平成30年11月15日