2018年度 研究事業成果集 橋渡し研究戦略的推進プログラム(第3期事業)実用化に向けた拠点外シーズ支援と人材育成の促進

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AMEDは2017年度に「橋渡し研究戦略的推進プログラム」をスタートさせました。基礎研究の分野で生まれた革新的技術を実用化する橋渡し研 究は、文部科学省で2007年度に第1期「橋渡し研究支援推進プログラム」、2012年度から第2期「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」が開 始され、この10年間で研究支援を行う組織(ARO)機能、研究支援体制は着実に整備されてきました。2017年度から第3期が始まり、橋渡し研究 支援拠点以外の機関をサポートする体制により、オールジャパンでのシーズ発掘、また産学連携を強化する異分野融合に向けて動き出しています。

取り組み

2017年度にAMEDで選定した10カ所の橋渡し研究支援拠点(以下、「拠点」)において、アカデミア等における革新的な基礎研究の成果を臨床研究・実用化へ効率的に橋渡しできる体制を我が国全体で構築し、革新的な医薬品・医療機器等をより多く持続的に創出することを目指しています(図1)。

拠点では、自機関だけでなく他機関のシーズ発掘と支援を行っており、さまざまなシーズを開発段階に応じてシーズA、B、C*1に振り分け、拠点の機能を最大限に活かす研究支援を実施しています。また、拠点が連携して研究開発を実施する人材や実用化を支援する人材の育成に取り組むとともに、拠点の機能・ノウハウの活用やシーズの進捗管理の徹底により、企業へのライセンスアウトや他事業への導出、実用化を促進しています。

*1 シーズA、B、C:
シーズA:特許取得等を目指す基礎研究開発課題等、シーズB:非臨床POC*2 取得等を目指す研究開発課題等、シーズC:臨床POC*2 取得を目指す研究開発課題等
*2 POC:
Proof of Concept、概念実証、コンセプトの証明
図1 研究実施体制のイメージ図

成果

拠点においては2018年度末までに、医師主導治験137件、ライセンスアウト142件、先進医療承認29件、製造販売承認33件、保険医療化18件の成果が得られています(図2)。

シーズAについては、拠点外シーズ支援枠を新設し、シーズB、Cについては、応募枠の見直し(拠点外シーズの上限廃止)を行い、拠点外シーズの割合を増加させています(図3)。

また、拠点や臨床研究中核病院等において、アカデミア等による革新的な基礎研究の成果を一貫して実用化につなぐ体制を構築するために、人材確保・育成を含めた拠点機能の強化やネットワーク化を目的とした、複数の基盤事業を実施しています。

図2 革新的医療技術創出拠点プロジェクトにおける開発実績
図3 過去4年間における拠点外シーズの推移

展望

本事業では、拠点外シーズを含め、シーズ支援の課題数は増加しており、オールジャパンでの推進体制は構築・整備されてきています。また、育成したシーズを早期に導出・実用化するために産学連携を強化しています。さらに、研究開発を支援する専門人材の育成についても拠点内外のネットワークを通じて強化しています。

今後は、医療実用化への支援が不十分である工学やICTといった異分野との融合により、シーズ開発を進めていきます。

最終更新日 令和2年6月23日