2019年度 研究事業成果集 創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)

第1期中長期計画期間に目標を大幅に超える9件を企業へ導出

AMEDの「創薬ブースター」は、アカデミア発の優れた基礎研究の成果から生まれた創薬シーズの実用化を加速・支援する事業です。創薬シーズ情報等の収集・調査から、有望創薬シーズの評価・選定、製薬企業等への導出を見据えた出口戦略の策定・助言まで、一連の総合的な創薬支援を行っています。第1期中長期計画におけるオールジャパンでの医薬品創出プロジェクトでは142件のテーマを支援し、うち9件を企業へ導出しました。

取り組み

AMEDの創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)は、アカデミアで生み出された基礎研究成果の実用化の加速を目的として、創薬戦略部が医薬品としての実用化の可能性が高いと判断した創薬シーズに対し、創薬支援ネットワーク構成機関等が保有する創薬技術や設備等を活用し、創薬のための研究戦略の策定、技術支援、知財管理の実施、企業導出に関する助言など、実用化を目指したシームレスな支援を行っています。支援にあたっては、製薬企業などで豊富な経験をもつ「創薬コーディネーター」が企業への導出(ライセンスアウト)を最終目標に伴走支援しています。また、創薬コーディネーターによるアカデミアの創薬シーズの実用化加速のための相談事業(創薬ナビ)も行っています。

さらに、HTS実施のための産学共同スクリーニングコンソーシアム(DISC)ライブラリーの整備に加え、2017年度からは、創薬支援推進ユニットとして、CRO(医薬品開発業務受託機関)やCMO(医薬品製造業務受託機関)の技術を活用するなど、多様な創薬技術を駆使した応用研究を実施できる体制を整備しました。

図 創薬支援ネットワークの体制
*「創薬支援ネットワーク」
AMED創薬戦略部が本部機能を担い、理化学研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所、産業技術総合研究所等との連携により、大学等の優れた基礎研究の成果から革新的医薬品の創出を目指した実用化研究をオールジャパンで支援する日本初の創薬支援制度

成果

創薬コーディネーターによるシーズ収集に加え、特区臨床研究中核病院等との連携、外部ユニットとの連携、創薬ナビの着実な実施と創薬シーズリクルートへの活用など、情報収集先の多様化を積極的に推進し、その結果、2019年度3月末までに1,659件の相談・シーズ評価を実施しました。

また、創薬のごく初期段階のシーズや核酸・遺伝子治療などの新たなモダリティについても支援対象として評価・選定の俎上にのせ、創薬ネットワークとして、オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト期間において、有望な創薬シーズとして142件の支援を行い、うち9件について企業導出を行いました。なお、企業導出9件のうち2件はDISCを活用した企業導出であり、製薬企業22社から提供を受けた化合物及び市販化合物からなる約30万化合物のライブラリーを活用することで、これまで課題となっていたアカデミア研究者への構造開示やヒット化合物提供にも対応できる体制が整備できました。

展望

創薬コーディネーターによるきめ細やかな相談・サポートを推進し、さらなる有望シーズの発掘に取り組むとともに、画期的なアカデミア創薬を加速させていきます。2020年度以降は、中分子ライブラリーの構築を進めていくこととしており、当該ライブラリーの活用等もしつつ、新たなモダリティ創薬シーズの支援にも注力してまいります。加えて、産学連携による次世代AI開発事業の開始も予定しており、化合物の最適化の飛躍的な効率化を実現することで、創薬ブースターによる効率的な新規化合物創出の実現が期待されます。

最終更新日 令和3年8月13日