AMEDシンポジウム2017開催レポート AMEDシンポジウム2017開催レポート:AMED2年間の歩み(2)

(抄録)

AMEDシンポジウム2日目(5月30日)AMED2年間の歩み

菱山 豊(AMED理事)

AMEDのマネジメント体制

AMEDでは、プログラムディレクター(PD)、プログラムスーパーバイザー(PS)、プログラムオフィサー(PO)と呼ばれる方々に研究マネジメントをお願いしています。AMEDの職員だけでなく、PD・PS・POの方々にも御参画いただいて、しっかりプロジェクトをマネジメントしていくということです。若干窮屈に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、方向性をしっかり見据えて研究していただくことをこの2年間進めてきております。

(説明は本文中に記載)
図 5つの「横断型」と4つの「疾患領域対応型」プロジェクトの連携
※画像をクリックするとPDFファイルが表示されます

図は、国の「統合プロジェクト」をAMEDがどのように推進しているかを表したものです。

国の「医療分野研究開発推進計画」で定められた5つの横断型統合プロジェクトと4つの疾患領域対応型プロジェクトをAMEDは縦軸と横軸に置き、縦横連携して進めるようにしています。

プロジェクト同士が連携することをミッションとして課していますが、トップダウン型だけでなく、それぞれの研究の担当部や課単位からの発案によるボトムアップ型の連携が行われることも少なくありません。

また、この図はAMEDが今後どのような分野の研究を重点的に進めるべきなのかを把握するためにも大変重要です。今後注力すべき分野を決めることはとても難しく、例えば患者数や死亡者数が多い病気に注力してしまうと、希少疾患への対応が手薄になってしまうかもしれません。また目や耳といった臓器の疾患は生命には関わることは少ないですが、QOLが低くなることも重視しなければいけません。こういったあらゆる側面をプロジェクトの連携という視点から考え、さまざまな立場の方から意見を聞きながら調査研究を進めることで、病気や研究の現状をしっかり把握して進めていきたいと思っています。

この2年間の成果

写真(講演の様子)

この2年間の成果目標と実現状況について、特徴的なものを紹介します。

医薬品では、企業への導出件数を2020年までに5件という目標を立てて始めましたが、すでに2016年度時点で15件を達成しました。医療機器については、シンポジウム会場でも展示しているスマート治療室、8K内視鏡など、100件の目標に対して14件の先端的な医療機器の開発が行われています。それ以外にも、この2年間でかなりのことが進んできていますので、このシンポジウムでの成果発表やワークショップ、展示を是非ご覧いただきたいと思っております。

また2015年8月には、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と連携協定を結び、採択研究課題のうち実用段階に移行するものは原則、薬事相談戦略相談を受ける、臨床研究・治験基盤整備ではPMDAから研修講師を派遣してもらうなど、各方面で協力関係にあります。

写真(講演の様子)

国際については昨年ロンドン、シンガポール、ワシントン事務所を開設したほか、世界のさまざまな国と共同研究や連携を行っています。

研究公正に関する取り組みにも力を入れています。アメリカのORI(米国研究公正局:The Office of Research Integrity)の職員を招聘した国際シンポジウムをAMED主催で行ったほか、担当官のネットワーク構築、ケースブック作成などを進めたり、国の研究公正に関する指針の説明会なども開催しています。

法整備の面では、新個人情報保護法施行と同時にゲノムの指針や医療の研究開発の新しい指針が施行され、指針の説明も積極的に行っています。

AMEDの役割は、アカデミアと産業界をつなげていくことにあります。生命、生活、人生という「3つのLIFE」を実現し、医療研究開発の成果が少しでも早く患者さんや国民に届くように、今後も努力していきたいと考えております。

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最終更新日 平成29年10月16日