GEM Japan Swiss Personalized Health Network (SPHN)

スイス

全国規模の組織的基盤を構築し、研究のためのゲノム及び健康関連データを共有する連合型ネットワークを整備する。

個別化医療と個別化ヘルス開発を促進する国家プロジェクト。
Phase 1（2017-2020年）は患者データ、Phase 2（2021-2024年）はネットワークの強化と拡張・健常人データ・市民データ、に注力する計画。
Phase 1には68百万スイスフラン（約73億円）を投じて国内の組織的データ基盤を構築し、地域情報システムの相互運用ならびに臨床症状等の患者データを効果的に交換できる臨床情報管理システムの整備を目指す。合わせてデータ転送および解析のための安全で最新のIT基盤（BioMedIT）と、利用時の各種認証・承認の仕組みを構築する。
全国レベルでの個別化医療研究のネットワークを築くためには、①ビジョンや目的の共通理解、②社会全体のために健康データを共有することへのコミットメント、③臨床医・研究者・バイオインフォマティシャン・機械学習専門家による学際的なアプローチ、④健康データの全国規模での相互運用と組織的データ基盤、⑤安全な高性能計算機環境、⑥研究とヘルスケアにおけるプロセス変革、が重要であると考えている。

実行体制：

プロジェクトの実行は公募及び提携契約により、全国の大学病院や大学にて実施。
NSB（National Steering Board）およびEB（Executive Board）により全体のガバナンスを、IAB（International Advisory Board）を設けてプロジェクトのレビュー等を実施。
データ利用者（研究者）とデータ供給者（大学病院等）を繋ぐDCC（Data Coordination Center）を設置し、臨床データの発生・保管等の標準化の推進と相互運用性を確保。
ELSIアドバイザリグループ（ELSIag）を構成し、倫理的枠組み（Ethical Framework for Responsible Data Processing in Personalized Health Research）の作成や、データ転送と利用に関する合意書雛形（Common Data Transfer and Use Agreement (DTUA) Template）を作成し、バイオバンクを含めた生体試料及び患者データの運用プロセスを支援。
MO（Management Office）を設置し、プロジェクトの運営および窓口を一元化。

ファンディング実績：2019年9月時点
- - 基盤開発プロジェクト：13プロジェクト、3.7百万スイスフラン（約4億円）
- - ドライバープロジェクト（基盤検証のための疾患等研究分野毎）：11プロジェクト、21.6百万スイスフラン（約23億円）
- - 基盤の実装プロジェクト：5つの大学病院、15百万スイスフラン（約16億円）
- - BioMedITプロジェクト（データ転送・解析基盤構築）：18百万スイスフラン（約19億円）
2019年9月、SPHNレビュー会議を開催し、開発済みの基盤等に関する情報および課題を共有。バーゼル大学病院・チューリッヒ大学病院・ローザンヌ大学病院の間でテストデータの交換に成功したことを報告。
2019年10月、チャンピオンのMichael Baudis氏がAMEDを訪問。

2016年、SAMS（Swiss Academy of Medical Sciences：国立医療研究ファンディング機関）が、SERI（State Secretariat for Education, Research and. Innovation：教育研究革新庁）及びFOPH（Federal Office of Public Health：連邦内務省保健局）の委託を受けSPHNを構想。
2017年、SPHN始動。
2019年2月、GA4GHのドライバープロジェクトに選出。

Rare Disease, Cancer, Complex Traits, Basic Biology

掲載日　令和元年10月17日

最終更新日　令和元年10月17日