2016年度 研究事業成果集 メディカルアーツ

“メディカルアーツ”に関する研究の促進

戦略推進部/産学連携部/臨床研究・治験基盤事業部

AMED「第三の柱」として“メディカルアーツ”の研究を支援

革新的な医薬品・医療機器が臨床応用されるためには、医療従事者の手技やその標準化・システム化、また患者さんへの支援プログラムの構築等の技術やシステムが必要となる場合があります。AMEDは平成28年度から、医療の有効性、安全性及び効率性の観点から医療に変革をもたらすための技術やシステムを “メディカルアーツ”と名付け、支援を開始しました。

メディカルアーツ

取り組み

“Medicine is science of uncertainty and an art of probability. ”(医学は不確実性の科学であり、確率の芸術である)米国JohnsHopkins大学の内科学の父と称されるWilliam Osler教授のこの言葉に発想を得て、“メディカルアーツ”の概念を創出しました。

「医療の有効性、安全性および効率性の観点から医療に変革をもたらすための技術やシステム」を総称して、AMEDは“メディカルアーツ”と定義しています。無形の医療技術やソフトウエア、例えばこれまで個々の医療者の知識や経験に頼りがちだった“神の手”のような治療技術の定量的評価や多職種連携、システム開発、教育プログラムの作成やICTの活用なども含む、広い概念です。

平成28年度は第1回調整費*で「医療技術開発」「がん治療法開発」「医療機器開発」の3分野について新規公募を行い、25課題を採択し、評価委員会を合同で開催し、22課題が平成29年度以降も継続することとなりました。メディカルアーツに特化した既存事業はないため、この公募の採択については関連が予測された多数の既存事業が合同で実施し、採択後は研究内容に近い事業に振り分けて課題管理を行う仕組みにしていることが大きな特徴です。また第2回調整費では、「超高齢社会への対応」をテーマにメディカルアーツの方向性と合致する既に支援中の研究開発課題に対して追加交付を行いました。

展望

“メディカルアーツ”に関する取り組みは平成29年度以降も推進し、医薬品、医療機器開発とは異なる「第三の柱」として育てていきたいと考えています。

* 調整費:
内閣府の科学技術イノベーション創造推進費500億円のうち、35%に当たる175億円が、医療分野の研究開発関連の調整費としてAMEDに充当されるものです。「医療分野の研究開発関連の調整費に関する配分方針」(健康・医療戦略推進本部決定)に基づき、現場の状況・ニーズに対応した①研究開発の加速(スケジュールの前倒しや内容の充実)、また②新規事業の開始(健康・医療戦略等の取り組みを一層推進する観点から望ましいと判断した新規事業や新規研究課題の開始)等に対し、原則年2回配分を行います

最終更新日 平成30年10月5日