2016年度 研究事業成果集 ビッグデータ利活用のための医療ICT基盤の整備

次世代の医療ICT基盤の整備

臨床研究・治験基盤事業部 臨床研究課

既存医療情報のプラットフォームを共通化し、ビッグデータとして利活用

健康・医療分野のビッグデータを分析し活用することは、医療の質を向上させ、診療支援などに役立つとともに、日本発の医療技術開発に欠かせません。AMEDは、バラバラに蓄積されている既存の医療情報のプラットフォームを共通化し、統合された一つのビッグデータとしての利活用を目指す取り組みを進めています。

取り組み

医療データの分析結果の活用のためのICT基盤の整備については、内閣府健康・医療戦略推進本部のもと、「次世代医療ICT基盤協議会」が設置され、国を挙げた取り組みが開始されています。さまざまな機関や団体がそれぞれ保有している以下のような健康・医療分野のデータベースを標準化し、名寄せして匿名化し、一元管理されたビッグデータとして、臨床研究などに利用する動きが活発化しています。

AMEDでは、「臨床研究等ICT基盤構築研究事業」において、デジタルデータ収集・利活用による世界最先端の次世代ICT基盤の構築を進めています。NPO日本医療ネットワーク協会が進めている「千年カルテ」プロジェクトもその一つで、2018年度までに300の医療施設のデータ収集・統合化を進め、データを利活用できる仕組み作りを行っています。医療情報システム開発センター、日本医師会では、厚生労働省推奨の標準化ストレージSS-MIX2の情報統合と利活用の研究を行っています。

Big Data Scienceを活用した臨床研究エコシステムの推進

展望

平成29年度の2次公募「医療のデジタル革命実現プロジェクト」では、日本消化器内視鏡学会、日本病理学会、九州大学(日本医学放射線学会)がそれぞれAIを用いて「デジタル化した医療画像」の利活用を目指す研究開発を始めています。それぞれ、全国消化器内視鏡診療データベースと画像の融合、AIを見据えた病理組織デジタル画像の収集と病理支援システムの開発、画像診断ナショナルデータベースの構築を目指します。また、自治医科大学が進めているAIを使った総合診療支援システムもその一つで、平成29年度に「ホワイト・ジャック」として試験運用が始まる予定です。
2020年には代理機関を設置し、個人に名寄せした情報を一括収集して、匿名化した上で二次利用するための法整備も進めています。

*調整費:
内閣府の科学技術イノベーション創造推進費500億円のうち、35%に当たる175億円が、医療分野の研究開発関連の調整費としてAMEDに充当されるものです。「医療分野の研究開発関連の調整費に関する配分方針」(健康・医療戦略推進本部決定)に基づき、現場の状況・ニーズに対応した①研究開発の加速(スケジュールの前倒しや内容の充実)、また②新規事業の開始(健康・医療戦略等の取り組みを一層推進する観点から望ましいと判断した新規事業や新規研究課題の開始)等に対し、原則年2回配分を行います

最終更新日 平成30年10月5日