AMEDシンポジウム2017開催レポート AMEDシンポジウム2017開催レポート:招待講演② レギュラトリー・サイエンスに基づくイノベーションの活性化(3)

(抄録)

招待講演➁レギュラトリー・サイエンスに基づくイノベーションの活性化―「合理的な医療」を目指して―

近藤 達也氏(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 理事長)

今年から薬事戦略相談を一般ベンチャー企業にも提供

説明図5枚目(説明は本文中に記載)
図5 創薬・創医療機器における基礎研究から実用化への障壁
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2017年の4月からは薬事戦略相談を「レギュラトリー・サイエンス総合相談(RS総合相談)・戦略相談(RS戦略相談)」と名称を変えて、一般のベンチャー企業にも提供するようにしました。研究・開発資金の不足、規制への理解不足、開発戦略の欠如など、創薬、創医療機器における「死の谷」(基礎研究から実用化への障壁)を乗り越えるために、PMDAが相談に応じています。レギュラトリー・サイエンス戦略相談によって、PMDAの薬事のことをよく知った人材がポイントを指導できる。しかも、多くのサービスが無料です。シーズそのものの価値を高め、ベンチャー企業もしっかりと支えていきたいと考えています。

AMEDの創薬支援ネットワークとも連携

PMDAは、AMEDの誕生を非常に心待ちにしておりました。AMED設立の2015年度に早速連携協定を結びました。どのように連携しているかということの一つに、薬事戦略相談の活用があります。AMEDが採択した研究のうち、実用化段階に移行するものについては、薬事戦略相談を受けることを採択の条件としました。つまり、出口戦略を見据えた研究の実施がふえたということです。こうした相談事業の活用に関しては、AMEDの創薬支援ネットワークと連携をとっています。他に、AMEDの研究評価への協力や臨床研究・治験環境整備に関する相互協力、情報の共有が連携の柱となっています。

薬事戦略相談は6年で3000件超の相談例

説明図6枚目(説明は本文中に記載)
図6 薬事戦略相談の実施状況
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薬事戦略相談事業は6年前にスタートして無料の個別相談、事前相談で、約3200件、対面助言は493件です。合わせて4000件近く、日本のアカデミア発、または研究所発のシーズのほとんどが相談を受けています。欧米でも、これほどの機能を持ったところはありませんので、今後、この機能をより有効に活動させることを考えるべきだと改めて考えています。

相談内容は「医薬品」「再生機器」「再生医療」の分野でだいたい3分の1ずつを占めています。先ほど山中伸弥先生がご講演の中で触れられた京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の「再生医療用iPS細胞ストック」は既に5年前に相談をさせていただき、今しっかりと実用化しています。

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最終更新日 平成29年10月16日