AMEDシンポジウム2017開催レポート AMEDシンポジウム2017開催レポート:AMEDの現在と未来(2)

(抄録)

AMEDの現在と未来―グローバルなデータシェアリングによる研究開発の推進―

末松 誠(AMED理事長)

縦横連携して研究を推進

(説明は本文中に記載)
図1 AMEDと研究開発プロジェクト
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組織運営に関して取り組んだのが、縦横クロスによる連携です。医療・医学研究の中には疾患ごとに対応するものと、疾患をまたいで横断的な見方が必要な場合があります。例えば薬の開発でも、初めはがんの薬として開発していたものが、突然、認知症の薬の開発に変換するというようなことがよく起こります。ですから、通常の縦割りの組織ではうまくいきません。そこで、設立当時「再生医療」、「がん研究」、「難病研究」など国の医療関係の重点プロジェクト9つのうちの7つを持っていた戦略推進部を“縦串”とし、そのほかの「産学連携部」、「国際事業部」、「バイオバンク事業部」などの5事業部を“横串”として全てのプロジェクトに関わるように入れた縦横連携の組織図を作りました。

現在は関連する研究開発事業を疾患ごとに分けた4つの「疾患領域対応型」と5つの「横断型統合プロジェクト」に再編して推進しています。縦と横の糸の中でどういうふうに情報共有をし、連携していくのかは、事業を効果的に運営していく上での大きな課題です。

海外のファンディング機関との提携、研究報告書の英語化

(説明は本文中に記載)
図2 AMEDの国際連携
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AMEDではグローバルな医療研究開発推進のために、海外のファンディング機関と協力に関する覚書を結ぶなど、連携強化に取り組んでいます。連携によって若手の研究者を一定期間海外に送ったり、海外から日本の先端的な技術を学ぶために来ていただくというようなことが行いやすくなります。これは単なる人材交流や教育というだけではなくて、外国の優れた技術を日本に導入する技術移転ともいえます。

また臨床研究で必要となる、多国籍・多施設の共同研究もやりやすくなります。

例えば膵臓がんはサイレントキラーと呼ばれ、初期症状がほとんどなく、病を発見される患者さんの多くはかなりステージが進んでいるので、臨床研究を行うにも一つの国だけで患者さんを確保することは難しい疾患です。いくつかの国が連携して患者さんを登録し、一定の数を確保することで質の高い臨床研究が可能になるはずです。

さらに国際化ということでは、AMEDはこの4月から、全ての応募提案書類に英語でサマリーをつけていただくことにしました。採択課題の成果報告書も概要を英語で書いていただいています。

既に1事業・8課題については全て英語化し、外国の評価委員も入れて採択を決定しました。これをあと数年の間にもっと増やしていきたいと考えています。大変な作業になると思いますが、ここはぜひチャレンジしたいと思っています。

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最終更新日 平成29年10月16日