広報活動 AMEDシンポジウム2017開催レポート:成果報告⑤ コミュニケーションロボットの効果(3)

(抄録)

成果報告➄ コミュニケーションロボットの効果

大川 弥生氏(産業技術総合研究所 招聘研究員)

実証試験におけるコミュニケーションロボット介入の効果

➀ロボット導入で34.1%の方が改善

まず、先ほどご説明したICFの「活動」(生活行為)の変化ですが、使用5日前と介入56日目を比較すると、被験者866名中、34.1%の人に改善が見られました。「活動」の「質」として「活動項目」が改善した方は全対象中の32.3%、「活動」の「量」である「生活の活発さ」は5.2%、両方とも改善したのは、3.3%でした。

「活動項目」のうち、一番多く改善したのは「セルフケア」(身の回り行為:排泄、洗面、整髪や更衣等)で改善者中の38.5%でした。コミュニケーションに効果があると謳って販売されているものがほとんどですが、広範囲の「活動」項目が改善され、自立支援ができたという結果となり、コミュニケーション分野以外にも効果があることが示されました。

また、「生活の活発さ」では、「日中どのぐらい動いているか」で約1割が改善しています。

これらのことから、コミュニケーションロボットの「よくする介護」での物的介護手段としての効果は大きいと言えます。ただ、ロボットごとの改善率に大きな幅があり、同じロボットでも実証施設による差が大きいということも分かりました。

➁効果を生みだす要因からロボットをタイプ分け

説明図・2枚目(説明は本文中に記載)
図2 効果を生む機序
※画像をクリックするとPDFファイルが表示されます

今回は、介護プログラムの中での物的手介護段としての活用方法に重点をおいてコミュニケーションロボットを

  1. 状態検知対応型
  2. 環境・操作対応型
  3. 介護者代替プログラム実施型

の3つのタイプに分類しました。この分類をつくる基礎となったのは、コミュニケーションロボットが効果を生む機序です。

これは今回の実証試験における、介護の場における活用され方、及びその活用の仕方による効果の分析等から、効果を生む機序を整理できたものです。そのポイントを図2に示します。

図の左1/3がロボットの機序を示し、右1/3が「人」への影響を示しています。

ロボットの機序のうち、まず一番左の「ロボットへのinput」として、被介護者の状態がロボットに作用しているか否かで分け、次にロボット自体について、機能発揮するきっかけとなる「トリガー」と、その結果として「ロボットが生み出すoutput」とで整理しました。

右1/3に示す人への影響としては、図の右上に示している「被介護者」への影響と、右下に示している「介護者」への影響との2つがあります。

1の状態検知対応型ロボットは、検知対象は、被介護者の状態(臥位時間、座位時間、居室在室時間)であり、対応は単に反応するのではなく、目的を持った「活動」レベルに働きかけを行うものです。2の環境・操作対応型は、操作(これには接触、話しかけも含みますが)によってロボットが反応するものです。3の介護者代替プログラム実施型は、通常介護者が行う被介護者への働きかけを、設定されたプログラムにもとづいて代替して行うもので、例えば体操の指導、クイズ、娯楽など、レクリエーションと称して行われていることがあり、今回実施した約6割のロボットがこれに該当します。

➂使用施設による改善率の差異

分類の1つ目の「状況検知対応型」は検知対象は、被介護者の状態(臥位時間、座位時間、居室在室時間)であり、改善率はロボットによって最高値と最低値には大きな差がある項目が多く、また代表機関毎の最高値と最低値の差も大きいといえます。

その理由の検討のためには、各代表機関での対象者数が少人数であるため、比較することが困難ですが、状態検知対応型ロボットでは、1代表機関での開始対象者数が20人以上の代表機関が6機関(代表機関:A~F)あるので、これらを対象として比較分析しました。

その結果、全体の改善率は38.3%、対象となった方のほとんどが車椅子レベルの方です。

一番多く改善した施設では81.5%、その他の代表機関では57.7%~4.5%と代表機関の間に大きな差が認められました。最も高い改善率を示した施設では、活動項目が77%、生活の活発化が4割改善しています。

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最終更新日 平成29年10月17日