イベント 成育疾患克服等総合研究事業・女性の健康の包括的支援実用化研究事業 2事業合同企画「日本の未来のためのプレコンセプションケア研究を考える」を開催しました

開催報告

成育疾患領域として「成育疾患克服等総合研究事業」「女性の健康の包括的支援実用化研究事業」が合同で2022年9月28日にオンライン開催したシンポジウム「日本の未来のためのプレコンセプションケア研究を考える」について報告いたします。

企画概要

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プレコンセプションケアとは、令和3年2月9日に「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための総合的な推進に関する法律(平成30年法律第104号)」第11条第1項の規定に基づき閣議決定された「成育医療等基本方針」において、「女性やカップルを対象として、将来の妊娠のための健康管理を促す取組」と定義されています。また近年では、より広義に、生涯の健康づくりのための行動変容に向けた大事な一歩として小児期から科学的根拠に基づいた健康に関する正しい知識を身につけ、自身や他者(同性・異性)の心身の健康に関心を持つことも重要とされています。そこでAMEDでは、プレコンセプションケアの普及、発展が成育事業、女性事業に共通の重要な課題と判断し、プレコンセプションケア研究の活性化を目的として2事業合同ワークショップ「日本の未来のためのプレコンセプションケア研究を考える」を企画いたしました。
本企画はオンラインシステム「Gather」を用いて、登壇者・一般参加者(2事業の研究開発課題関係者)がともにアバターでオンライン会場に参集しました。最大で(把握可能な同時ログイン数)52名が参加しました。

講演

第1部は基調講演として、成育事業を所掌する厚生労働省子ども家庭局母子保健課より向亜紀様が、女性事業を所掌する厚生労働省健康局健康課より山本直子様が、それぞれ「プレコンセプションケアケアについての厚生労働省の取り組み」について話されました。また横浜市立大学・倉澤健太郎先生より「わが国におけるフェミノベーションのすすめ」を、秋田大学・前田恵理先生より「諸外国のプレコンセプションケア:保健活動と疫学研究の動向」をご講演いただきました。
第2部は、AMEDプレコンセプションケア研究の現状と課題として、令和4年度新規採択課題の研究開発代表者2名(成育事業より愛媛大学・檜垣高史先生と女性事業より東京大学・甲賀かをり先生)が、これまで実施してきたプレコンセプションケア研究と、それを発展させて令和4年度から6年度まで実施しようとしている研究開発課題について紹介されました。そして、AMEDでまだ採択できていない領域として、日本小児科学会移行支援委員会委員長・賀藤均先生に「小児期発症慢性疾患患者とプレコンセプションケア」についてご講演いただきました。

ワークショップ

第3部は、3つのテーマごとのグループに分かれ、日本の未来のためにこれから研究開発していくべき課題について考えるワークショップを行いました。
テーマ1「学童・思春期のプレコンセプションケア」では、成育事業PS・成育疾患領域DCの和田和子先生がファシリテーターをつとめました。AMED事業による研究開発成果を含めて様々なところで有用なコンテンツが開発されており、それらのコンテンツを、一般の学童へ届ける道を開発する必要性について、すなわち学校現場や教育委員会でどのように取り上げてもらうかについて、特に議論されました。
テーマ2「若年成人のプレコンセプションケア」では、女性事業PSの武谷雄二先生がファシリテーターをつとめました。性に対する特有の国民感情に配慮し、トータルヘルスケアを包含する『プレコン』という語で、学会や、保健師など医療にも関わる多職種によって進めていく必要性について特に議論されました。
テーマ3「基礎疾患のある方のプレコンセプションケア」では、女性事業POの緒方勤先生がファシリテーターをつとめました。原疾患の管理と、妊娠のための特別な管理が存在するのか、また、教育・就職・育児など社会的なことも含めて課題がある領域です。原疾患の自己管理や妊孕性温存について説明や精神的サポートを行う人材(医師・看護師がそのような外来を持つことなど)とインセンティブ(保険点数など)の必要性について特に議論されました。

まとめ

全体を通じて、プレコンセプション期は人生のうち限られた期間ではあるものの、個人の生涯の健康および次世代の人生をも決定する、クリティカルな時期であることが確認されました。プレコンセプションケアは女性のリプロダクティブライツを構成するものであり、個人のオプションではなく全ての女性がその権利を保障される必要があります。単に妊娠に向けてではない、全ての人と家族にとっての生涯の健康づくりに向けたケアとして、現状とこれから必要な研究開発課題についての理解が深まりました。

お問い合わせ先

宛先 ゲノム・データ基盤事業部医療技術研究開発課 成育疾患克服等総合研究事業・女性の健康の包括的支援実用化研究事業
E-Mail birthday-ask@amed.go.jp

掲載日 令和4年11月21日

最終更新日 令和4年11月21日