研究への患者・市民参画(PPI) 患者・市民参画(PPI)ガイドブック

更新履歴

令和6年2月28日    研究者向けの患者・市民参画(PPI)10か条を追記しました。研究開発提案時・計画時の参考にしてください。
​令和4年10月6日    英語版を公開しました。
令和元年11月8日 テキスト版を公開しました。

患者と研究者の協働を目指す第一歩としてAMED患者・市民参画(PPI)ガイドブック

本ガイドブックは、「臨床研究等における患者・市民参画に関する動向調査」委員会監修のもと作成されました。
研究者の方々を主な読者として想定していますが、参画する患者・市民の方にも参考になるように工夫しています。
本調査に協力してくださった皆様、本ガイドブックの原案に関するご意見をくださった研究者や患者・市民の皆様に、心より御礼申し上げます。

(2019年3月31日初版完成、同年4月22日公開)

※それぞれ画像をクリックするとPDFファイルが開きます

A3版

A4版

テキスト版

英語(English)版

見開きバージョン タブレット端末向け 視覚障害のある方にも読んでいただけるように、テキスト版を作成(作成協力:社会福祉法人 日本点字図書館 Click image to open PDF file

研究開発提案時・計画時の参考に研究者向けの患者・市民参画(PPI)10か条

AMED患者・市民参画ガイドブックの62~63ページには、AMED事業の研究者が経験したPPIの事例が掲載されています。
また、64~65ページには、「研究者向けの患者・市民参画(PPI)10か条」を掲載しています。
それぞれ、研究開発の提案時・計画時の参考にしてください。
(eラーニング「はじめて学ぶ「研究への患者・市民参画」」や「AMED研究班によるPPIの取組事例」も参考になります。)

研究者向けの患者・市民参画(PPI)10か条​
10か条 研究開発の提案時/計画時のポイント
1 患者・市民は、研究のパートナーであることを意識しましょう
  • PPIはよりよい研究を進めるための取組であり、患者・家族会の陳情を聞く場ではありません。
  • 普段担当患者として会う人の知見を参考にする場合は、その人は「担当患者」ではなく「研究のパートナー」です。
【基本的な考え方】
  • 本研究開発課題において、PPIの取組がよりよい研究開発の推進につながると考えられる場合は、PPIの取組を検討してください。研究者が協働する意識を持たずに形式的な対話や取組を行うことは、患者・市民にとって有害ですので、ご留意ください。研究開発課題の研究段階や内容等踏まえ、適切に計画するようお願いします。
【参画してもらう患者・市民について】
  • PPIに参画いただく方は、その研究計画の対象疾患の患者、過去にその疾患を経験したことがある方(サバイバー)、その家族、介護者などです。研究に関心を持ち、PPIの意義や役割を理解してもらう必要があります(ガイドブックp.29)
  • 健康な人を対象に研究する場合には、研究対象となる地域の住民の方々、研究対象となる事業所で働いている人々などが対象となり得ます。(ガイドブックp.29)
​【患者・市民の知見を把握するには?】
  • PPIの取組は、患者・市民との対話に限りません。当事者とのコンタクトが困難な場合は、関連する論文等を読み、参考にするのも有効な手段です。
  • 海外では、患者が望む研究開発事項のリストが作成されていることがあり、そのようなリストを参照するのもPPIとして有効な手段です(例:The James Lind Alliance (JLA)"Top 10s of priorities for research")。
【患者・市民の募集方法や実施上の留意点】
  • 患者・市民の募集要項のテンプレートは、ガイドブックp.50-51に掲載していますので、ご参照ください。
  • PPIに協力する患者・市民からも、経済的取引や社会的役割の状況を報告してもらう等、利益相反の状況を管理する必要があります。製薬企業などに一定の利害関係を持つ患者・市民は、PPIに協力すべきではないので辞退してもらう必要があります。(ガイドブックp.31)。
2 研究参加者を募ったり、研究成果報告をしたりする場とは区別しましょう
  • PPIは、研究の内容を決める段階から最終評価に至るまでの間、可能な機会に研究者と関わり、意見を述べること(involvement)を意味します。
  • PPIは、研究への参加(participation)とは異なります
  • PPIの含意は、研究を患者・市民とともに進めていくことであり、研究内容や成果を説明して理解を求める活動と明確に区別される必要があります。
客観的に意見を言える患者・市民と協働しましょう
  • PPIに必要な人材の条件は研究計画や参画の目的により異なります自分の経験から言えそうなことと、自分の経験だけではわからないことを見極めて研究者に意見を伝えられる人に参画してもらうことが望ましいと考えられます。
  • 客観的に意見を言える人であれば、必ずしも、患者・家族会や市民団体の幹部や会員である必要はありません。
4 患者・市民参画を伴わずに研究を進める場合は、その理由を説明できるようにしましょう
  • PPIを実施できない/する必要がないと判断した場合、その判断理由を説明できるようにしてください。
  • 研究者が協働する意識を持たずに形式的な対話や取組を行うことは、患者・市民にとっても有害です。
  • 文献を参考に、研究対象者の心情を推測し、参考にすることもPPIとして有効な取組です。
5 患者・市民参画の目的を具体的に設定しましょう
  • 「研究計画のこの段階でPPIを実施する」ということの理由と、患者・市民に聞きたいことを具体的に設定しましょう。
  • PPIの取組の目的を、参画してくれる人に理解してもらうことも重要です。
6 患者・市民の募集要項を作成しましょう
  • 参画してもらう人を募集する前に、その人に求める経験や知識、開催形式や開催場所、謝礼、旅費、利益相反管理、守秘義務などについて決めておき、説明できる状態にしておくことが大切である(「募集要項」作成を推奨)
7 十分な情報提供をしましょう
  • 患者・市民は、研究者と比べ、研究に関する知識が不足しているため、PPIの目的に応じて、研究者と対話できる程度の予備知識を提供する必要があります。
  • 可能であれば、PPIの取組を行う際に使用する予定資料を事前に渡しておくようにしておきましょう。
8 快適な環境作りを心がけましょう
  • 対面の場合、患者・市民がリラックスできるよう、会場は研究者の所属機関ではなく貸会議室や喫茶店を利用する、全員がカジュアルな服装をするなどの工夫を推奨します。
  • 休憩時間の確保、多目的トイレの確認といった合理的配慮も必要であり、場合によっては、テレビ会議や文書での意見聴取を実施するなど、柔軟な対応が望まれます。
9 実りある患者・市民参画のために、全員でルールを共有しましょう
  • PPIでは、研究者と患者・市民とが、お互いに相手の意見を聞き、理解しようとする姿勢が不可欠です。
  • 「教授」や「先生」といった呼称を使わない、症状や治療法の相談をしない、わからないときは「わからない」と言ってよい、といったルールを設定し、全員で共有しておくといいでしょう。
10 意見聴取の結果を、参画した患者・市民に伝えましょう
  • 患者・市民からの意見聴取が終わったら、どんな点が研究者側の学びになったのかを参画した患者・市民に伝えるようにしましょう。
  • 得た意見を科学的妥当性と照らし合わせて、反映するか決めるのは研究者であり、その判断結果や理由、研究計画がどのように変わったのかについても、参画した患者・市民に報告することが望ましいと考えられます。

お問い合わせ先

宛先 AMED研究公正・社会共創課
E-Mail ppi”at”amed.go.jp (”at”の部分を@《半角》に変えてください)

最終更新日 令和6年2月28日