GEM Japan Trans-Omics for Precision Medicine (TOPMed)
国(運営主体)
米国(NIH NHLBI)
目的・目標
臨床表現型データが十分なコホートおよび疾患研究の参加者を対象に、約15万件の全ゲノムシーケンスを行うと共に、トランスクリプトーム、メチローム、プロテオーム、メタボロームなどのオミックスデータを収集する。これらの大規模データと臨床表現型データを結びつけて「心臓」「肺」「血液」「睡眠」に関する病気の科学的な理解を深め、精密医療を推進するための科学リソースを作成する。
概要
- NIH傘下のNHLBI(National Heart, Lung, and Blood Institute)のイニシアチブで、All of Us Research Programに代表される米国Precision Medicine Initiativeの取り組みを補完する。
- NHLBIがファンディングしている大規模コホートなどの既存の研究参加者を対象に、高深度(30X)での全ゲノムシーケンス及びオミックス解析を実施。
- これまでに9万件超の全ゲノムシーケンスを実施し、今後合わせて12万件以上の実施を目指す。
- 解析データのうち、遺伝子型と表現型はdbGaP、リードアライメントはSRA(Sequence Read Archive)、変異情報はBravo variant serverにて研究者に制限公開。
- ワシントン大学に拠点を置くDCC(Data Coordinating Center)は、研究間の交流支援、表現型データにフォーカスした活動、シーケンスセンターや研究間の活動調整、希少変異解析のためのガイドラインや方法論の策定などに取り組む。
- IRC (Informatics Research Center) は、広範囲に渡る科学者が本プロジェクトの結果に簡単にアクセスできるよう、大規模シーケンスデータの扱い方や解釈に関するアドバイス、共同でのシーケンスデータ解析や研究横断的解析などを実施。
- ELSIコミッティは、データへのアクセスとその使用、変異サマリデータの公開や変異に関する詳細情報の共有、参加者への結果返却、などの課題に関して参加者の同意やプライバシーの観点から検討を行う。
現状・トピックス
- データ(2019年10月時点):80以上の前向きコホート研究やケースコントロール研究が進行中。14万9千人以上の参加者の構成は疾患別に、心臓39%、肺33%、血液8%、睡眠1%、重複19%。研究を選別することにより民族構成は、ヨーロッパ系40%、アフリカ系31%、ラテン系16%、アジア系9%と多様性に富む。
- 2016年1月にELSIコミッティが結果返却に関するレポートを発行。各研究は、固定の共通ルールを定めるのではなくそれぞれの背景や特性に応じた返却方針を個々に策定すべきとした上で、TOPMedの研究間での継続的な議論を通じて原則的な考え方を共有し、それらを個々の研究の返却方針に反映することを推奨する。
基本情報
経緯
- 2014年、NHLBIがWGSプロジェクトを始動
- 2016年、最初の全ゲノムシーケンスデータ8,623件に関する情報を公開
- 2018年、ASHG(American Society of Human Genetics)学会でプロジェクトの概況についてポスター発表
- 2019年、全ゲノムシーケンスデータ約14万件(累積)に関する情報を公開
参加団体、協力機関
■TOPMedにサンプルを提供する研究(全93研究)主なコホート研究
- FHS (Framingham Heart Study)
- JHS (Jackson Heart Study)
- ARIC (Atherosclerosis Risk in Communities Study VTE cohort)
- CHS (Cardiovascular Health Study)
- CARDIA (Coronary Artery Risk Development in Young Adults)
- MESA (Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)
- Baylor College of Medicine Human Genome Sequencing Center
- Broad Institute Genomics Platform
- Broad Institute Metabolomics Platform
- Illumina
- Keck Molecular Genomics Core Facility
- Macrogen Corp. (2019年、社名変更:Psomagen Inc.)
- McDonnell Genome Institute
- New York Genome Center
- Northwest Genomics Center
- Centers for Common Disease Genomics - CCDG
- DataSTAGE(ビッグデータ解析、データストレージ等)
- University of Washington(Biostatistics DepartmentへのDCC設置)
GA4GHへの貢献
- Work Streams: Cloud / Discovery / Data Security / Data Use & Researcher Identities / Large Scale Genomics / Regulatory & Ethics
- Tool Kits: Tool Registry Service (TRS) / Workflow Execution Service (WES) API / Read File Formats (SAM/BAM/CRAM) / Breach Response Protocol / Data Registry Service (DRS) API / Testbed & Interoperability Demonstration
Champions
- Alastair Thomson (NHLBI, Chief Information Officer)
- Albert Vernon Smith (University of Michigan)
対象疾患・領域
Rare Disease, Cancer, Complex Traits, Basic Biologyリンク
最終更新日 令和元年12月10日