実用化・知的財産支援 FAQ
※質問内容をクリックすると、下に回答が表示されます。
1.特許制度
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Q
ヒトの治療方法や診断方法について特許を取得することはできますか。
A日本では、ヒトの治療方法及び診断方法の発明について特許を取得することはできません。欧州でも、ヒトの治療方法について特許を取得することはできません。また、欧州では、検体を用いた診断方法(例:遺伝子診断方法)や診断プロセスに至らない人体の計測方法(例:NMR測定方法)は特許の対象となりますが、それ以外のヒトの診断方法は特許の対象とはなりません。一方、米国では、治療方法及び診断方法の発明に対して特許を取得することができます。
詳しくは下記をご参照ください。
特許庁資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kyousou/sentan/dai1/siryou8.pdf -
Q
論文や学会で発明を発表した後に、同じ発明について出願しても、新規性喪失の例外の規定(特許法第30条)の適用を受けることにより特許を取得することができますか。
A日本においては、特許を受ける権利を有する者が自ら発明を発表した日から一年以内に特許出願をした場合、新規性、進歩性を否定されることはありません。米国においては、発明者等による発表の後一年以内に有効出願日(優先日又は出願日)を確保すれば、新規性喪失の例外の規定を受けることができます。しかしながら、欧州、中国では、新規性喪失の例外の規定を受けられるケースが限定的であるため、質問のケースでは特許を取得することができない可能性が高いと考えられます。
医療分野においては、日本だけでなく、米、欧、中国等の主要国において権利化することが重要です。したがって、外国での権利取得の機会を失わないよう、発表前に特許出願することを強くお勧めします。
詳しくは下記のページをご参照ください。
特許庁ホームページ
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/hatumei_reigai.html注:平成30年改正特許法第30条の規定は、平成30年6月9日に施行されました。しかし、平成29年12月8日までに公開された発明については、平成30年6月9日以降に出願しても、改正特許法第30条の規定は適用されませんので御注意ください。
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Q
他人の特許発明を実施する場合であっても、研究目的であれば、特許権を侵害することにはならないと考えてよいのでしょうか。
A特許法69条第1項には「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。」と定められています。この「試験又は研究」の範囲について、これまでに十分な判例はなく、学説では、特許性調査、機能性調査、改良・発展を目的とする試験に限られるという説が通説とされています。したがって、大学等による非営利目的の研究であっても、特許権の侵害が問われる可能性は否定できません。
詳しくは下記のページをご参照ください。
特許庁資料
2.Medical IP Desk(医療分野の知財相談窓口)
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Q
特許を出願するにあたり相談したいことがあります。どこに相談すればよいでしょうか。
AAMEDでは、医療分野の知的財産に関する相談窓口 Medical IP Desk を設置しています。電話又はメールにて相談予約を受け付けております。詳しくは Medical IP Desk のページをご覧ください。
知的財産一般に関しては、特許庁、工業所有権情報・研修館、知財総合支援窓口、日本弁理士会等の各種機関に相談窓口が設置されています。 -
Q
知的財産コンサルタントとは、どのようなバックグラウンドをもった専門家ですか?
A製薬企業、医療機器メーカー、大学、特許法律事務所等で、医療分野の知的財産マネジメントを長年経験してきた専門家です。
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Q
出願前の段階でも知的財産戦略について相談することは可能ですか?
A医療分野全般に関して、相談を受け付けています。できる限り早い段階での知的財産戦略の策定をお勧めします。
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Q
採択された委託研究課題以外も相談が可能ですか?
A採択課題でなくても相談は可能ですが、一部の支援メニューについては、採択課題が対象となりますのでご留意ください。
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Q
先行技術調査の依頼はできますか?
AAMEDの支援メニューとして知財・実用化調査がありますので、ご相談ください。
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Q
Medical IP Deskへの相談は、研究者から直接行っても良いですか?
A相談を行うこと自体は問題ありませんが、所属機関の知的財産戦略に関係する場合もあるので、原則、事前に所属機関の知的財産担当者と相談してください。
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Q
知的財産相談を受けたことを、研究事業のAMED事業担当課に報告する必要がありますか?
A必要に応じて知的財産コンサルタントから連絡します。
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Q
特定の特許事務所をあっせんしていますか?
A特定の特許事務所のあっせんはしていませんが、どのように探せばよいか相談には応じます。
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Q
共同研究や成果の導出先となる連携相手を探す相談はできますか?
AAMEDが入手している市場情報等の提供を行うなどのご相談は可能です。
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Q
Medical IP Deskに相談すれば、公募事業の採択時に有利になりますか?
AMedical IP Deskへの相談と、公募事業の採択との間には、関連性はありません。
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Q
AMED以外の機関による支援を紹介いただけますか?
A適切な機関があれば紹介します。
3.知財教材、知財セミナー
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Q
職員の医療分野の知的財産に関する知識を深めたいのですが、何かよい機会はないでしょうか。
AAMED知的財産部は、医薬品・医療機器分野特有の出願戦略、権利化戦略、活用戦略等について理解を深めることを目的とした知財教材を作成しましたので、以下のリンクからぜひご利用ください。
また、大学等が開催する医療分野の知的財産に関するセミナーで、医薬品・医療機器分野特有の出願戦略等を解説する講演依頼も承っています。詳しくは、知的財産セミナー・イベント情報のページをご覧ください。
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Q
どのような内容の知財セミナーが可能でしょうか?
A研究機関側の要望に応じた講演内容としますが、基本的にはアカデミア特有の事例を交えた知的財産戦略の策定や知的財産マネジメントの解説等を予定しています。
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Q
知財セミナーの対象者はどの様な人を想定していますか?
A研究者や事務担当者を想定しています。初級から経験者まで対応しますが、受講レベルはできる限り揃えてください。
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Q
一般公開セミナーも可能でしょうか?
A可能です。内容についてはご相談ください。
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Q
オンラインセミナーも可能でしょうか?
A具体的にご相談下さい。
4.日本版バイ・ドール、知財様式
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Q
日本版バイ・ドールとは何でしょうか。
A日本版バイ・ドールとは、①技術に関する研究活動を活性化すること、②その成果を事業活動において効率的に活用することを目的に作られた制度で、政府資金を供与して行う委託研究開発又は請負によるソフトウェア開発(特殊法人等を通じて行うものを含む。)に係る特許権等の知的財産権について、以下の4つの条件を受託者が約する場合に、受託者から譲り受けないことができるとする制度です(産業技術力強化法第17条)。
- 研究成果が得られた場合には遅滞なく国に報告すること。
- 国が公共の利益のために必要があるとして求めた場合に、当該知的財産権を無償で国に実施許諾すること
- 当該知的財産権を相当期間利用していない場合に、国の要請に基づいて第三者に当該知的財産権を実施許諾すること
- 知的財産権の移転又は専用実施権の設定等をする際に事前承認を得ること
国の委託事業で得られた成果物は原則国に帰属しますが、日本版バイ・ドールを適用することで、一定条件のもと、成果物である知的財産権を受託者に帰属させることができます。
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Q
採択された研究シーズに、他大学が分担研究機関となって参画した場合、日本版バイ・ドールは適用されますか?
A分担研究機関が特許出願人になる場合にも、日本版バイ・ドールは適用されます。この場合、分担研究機関でも日本版バイ・ドールが遵守されるよう、委託先が責任をもって対応してください。
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Q
共同発明において、相手方が成果報告を拒む場合は、どのように対応したらよいですか?
AAMEDと委託研究開発契約を締結している限りは、日本版バイ・ドールが適用され報告義務が生じます。
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Q
委託研究開発の成果として学生が創出した発明等を大学に帰属させるためには、学生と雇用契約を結ばないといけませんか?
A発明等を大学に帰属させるために雇用契約を結ぶ必要はありませんが、雇用契約が無い場合は、委託研究開発契約で規定される事項(知的財産権の帰属、報告・申請義務、守秘義務等)が遵守されるように、学生から同意書等を得るなどして適切に対応してください。
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Q
委託研究の成果単独では、発明に至らないまでも、他の出願の実施例として追加する場合、発明等創出・特許等出願のタイミングで報告は必要ですか?
A事案毎に内容が異なりますので、個別にMedical IP Deskにご相談ください。
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Q
平成26年度以前の成果に基づく知的財産権の報告はどうすればよいですか?
A平成26年度以前の成果のみに基づく知的財産権については、出願及びその後の登録、移転等の報告も含めて、契約書指定の書式で、平成26年度以前の契約当事者(NEDO、JST等)に報告してください。
平成27年度以降の成果を含む知的財産権についてはAMEDに報告してください。 -
Q
知的財産担当者(AMEDとの連絡窓口)に資格等の要件はありますか?
A知的財産担当者が管理職、有資格者である必要はありません。知的財産担当者は、各課題の知的財産に関する窓口となる方であり、研究成果や知的財産権の手続状況等について説明できる方が担当してください。
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Q
知的財産担当者の登録方法を教えてください。
A計画様式1「研究開発契約書」の所定の項目に記載してください。
※平成27年度初期の契約で「知的財産担当者」欄の無い計画様式1を提出済みの場合は、各種知財様式が提出されたものからAMED側で随時登録します。 -
Q
調査窓口担当者(知的財産に関する事後調査の窓口となる担当者)の登録方法を教えてください。
A調査窓口担当者(知的財産に関する事後調査の窓口となる担当者)については、事業終了時に提出する報告様式4別紙1「特許一覧」の所定の項目に記載してください。
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Q
調査窓口担当者と知的財産担当者とは別の者でもよいですか?
A調査窓口担当者と知的財産担当者とは別の方でも構いません。
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Q
知財様式3はどのタイミングで提出すればよいですか?
A発明等創出後、遅滞なく提出して下さい。
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Q
委託研究の成果が出願に至らない場合で学会発表する際、「知財様式3」による報告が必要ですか?
A出願に至らない場合であっても、発明等と認識する場合には、知財様式3の報告が必要です。
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Q
知財様式3について、研究者からAMEDへ直接報告してもよいですか?
A課題の知的財産担当者の管理のもと提出してください。
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Q
知財様式3は、発明等創出の時点で報告することとされていますが、研究者からの個別の相談事項毎に報告する必要がありますか?
A個別の相談事項に係る成果が発明等と認識される場合は、知財様式3の報告が必要です。
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Q
知財様式4において、出願明細書や図面の提出を省略することはできますか?
A省略することはできません。委託研究開発契約書第10条(2)及び知財様式4記載要領に基づき、出願明細書及び図面の提出をお願いしています。
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Q
国際出願の各国移行の際も報告は必要ですか?
A知財様式4による報告が必要です。
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Q
分割出願の際も報告は必要ですか?
A特許等出願に該当するので、知財様式4による報告が必要です。
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Q
拒絶理由通知への応答などでも、AMEDへの報告は必要ですか?
A拒絶理由通知に対する応答については報告は不要です。出願後の対庁手続に関しては、登録、取下・放棄の場合のみ報告してください。
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Q
知的財産に関する報告義務等が満たされていないと判断された場合、知的財産権はAMEDに帰属する可能性はありますか?
A委託契約で報告義務があるので履行をお願いします。また、報告義務が果たされない場合、AMEDが権利を譲り受ける場合があります。
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Q
知的財産権の移転の事前承認、または専用実施権等の設定・移転の事前承認が拒否される可能性はありますか?
A「研究活動の活性化」や「成果の効率的活用促進」とならない場合や、「我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすような成果の国外流出の防止」が懸念される場合など、拒否される可能性もあります。
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Q
共同発明の成果に係る知的財産権の持分を、相手方に譲渡する場合と、放棄する場合では、提出書類に違いはありますか?
A譲渡であっても放棄であっても、知財様式7によるAMEDの事前承認が必要です。
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Q
受託者が技術研究組合で、知的財産権がその組合構成員に帰属する場合、知的財産権の報告等はどうすればよいですか?
A技術研究組合は、受託者として、知的財産権の報告等の履行に対して責任があります。知的財産権が組合構成員に帰属する場合、受託者の責任で、報告等の義務が履行されるような措置を組合構成員に対してとってください。
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Q
報告等が必要な知的財産権に商標権は含まれますか?
A商標権は含まれません。委託研究開発契約書第1条(14)の「知的財産権」の定義を参照してください。
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Q
委託事業の成果に基づく特許出願の際に、願書面への【国等の委託研究開発の成果に係る記載事項】の記載は必要ですか?
A必要です。事務処理説明書の記載例を参考にして記載してください。
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Q
PCT出願の日本への国内移行(自己指定)の際に、【国等の委託研究開発の成果に係る記載事項】の記載は必要ですか?
A必要です。PCT出願の日本への国内移行に際しては、国内書面に「国等の委託研究の成果に係る記載事項」欄を設けて、「平成○○年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、【事業名】「研究開発課題名」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願」と記載してください。