GEM Japan 「AMED-GA4GH GEM Japan Workshop 2019 Sendai」仙台市で開催されました国内外の―ゲノム情報関連研究者ら約100名が集結

2019年3月18日~21日の4日間、杜の都・仙台市に、約100名の国内外のゲノム医療研究開発にかかわるゲノム情報関連研究者が集結し、「AMED-GA4GH GEM Japan Workshop 2019 Sendai」(以下、GA4GHワークショップ)が開催されました。

写真1︓シンポジウムの様⼦
写真2︓GA4GH Chief
Executive OfficerのPeter

The Global Alliance for Genomics and Health(GA4GH)は、「ゲノム情報およびヒト健康関連情報のデータ共有(データシェアリング)のための標準フレームワークを構築することによりゲノム研究の促進ならびにヒトの健康増進を図る」ことを目的として2013年に設立され、2019年時点で71カ国、500超の機関(各国政府の研究費配分機関、研究機関、企業等)が参画しています。日本からは15機関が参加しており、AMEDは2016年に加盟しました。現在、5-Year Strategic Planのもと、ゲノムデータの共有を促進するため、Technical Work Streamで基盤技術開発(横串)、Real-World Driver Projectsで出口(縦串)での展開が進められています。

GA4GHでは複数の基幹プロジェクト(Driver Projects)が進行していますが、2019年3月付でアジア初となるAMEDの「GEM Japan(GEnome Medical Alliance Japan)」が指定を受けました。GEM Japanは、AMEDのゲノム関連事業 に関わる大学、研究所、病院等が協力体制を築き、個人のゲノムデータ及び健康医療に関するデータの適切なシェアリングと研究利用を促進し、ゲノム医療の実現を目指すプロジェクトです。今後、日本人全ゲノム解析に基づく日本人バリアント頻度情報の公開や、日本人の疾患関連バリアント情報の公開を進めていきます(2019年2月4日 AMEDによるプレスリリース参照)。

GA4GHワークショップは、GEM Japanプロジェクトの一環として、臨床ゲノム情報統合データベース整備事業(2次)の小崎班の主催により、国内外におけるゲノム医療データシェアリングのさらなる理解促進、そして本プロジェクトを推進する技術者・研究者による交流を目的として開催されました。

今回の企画は2部構成となっており、初日は東北大学東北メディカル・メガバンク機構にてシンポジウムが開催され、二日目から最終日までは秋保に場所をうつし、GA4GHの基盤技術開発者とともにワークショップを実施しました。

会期初日となる2019年3月18日に開催されたシンポジウムでは、最初に国内全体の状況(写真1)、続いて海外状況についての講演がありました。中川英刀氏(理化学研究所)によるGEM Japan の紹介に続き、IRUD(小崎 健二郎 氏(慶應義塾大学))、MGeND(徳永 勝士 氏(東京大学)、東北メディカル・メガバンク計画(木下 賢吾 氏(東北大学))についてそれぞれ紹介がなされました。GA4GH側からは、活動のOverview(Peter Goodhand 氏(GA4GH Chief Executive Officer、写真2)に続き、Robert Freimuth 氏、Larry Babb 氏、Reece Hart 氏、Alex Wagner 氏らからGA4GHの取り組みに関する講演がありました。休憩時間には東北メディカル・メガバンク棟のサイトツアー(写真3、写真4)が実施され、40名を超える参加者が施設を見学しつつ担当者の説明を受けました。後半も具体的な基盤開発に関する国内外事例紹介があり、参加者全員が理解を深めることができました。

GEM Japanのプロジェクトについて、国内のステークホルダー間に共通認識が生まれた今回のワークショップ。今後のさらなる活動が期待されます。

写真3:東北メディカル・メガバンク棟
サイトツアーの様⼦(1)
写真3:東北メディカル・メガバンク棟
サイトツアーの様⼦(2)

シンポジウム翌日から実施されたワークショップでは、2日半にわたって参加者が4つの(「Genomic Knowledge Standards」「Clinical & Phenotypic Data Capture」「Cloud/Grid」「Data Use & Research Identities」)のワーキンググループに分れて、グループワークに取り組み、白熱した議論を展開しました。グループワークの内容はWeb上でオープンに公開しながら進められ、参加者がそれぞれの専門性を活かして、グループワークに取り組みました。合宿形式で開催され、夜遅くまで情報交換や議論がなされ、参加者間のネットワークが形成されました。最終日にはそれぞれのグループワークの内容が披露され、皆でこうやって議論していくことの重要性ならびに透明性、そして研究者・技術者の知を結集していくことの価値を改めて参加者全員に共有されました。

GA4GHワークショップに参加した海外識者のほとんどは国内現状に関する理解が少なく、また日本人とチームを組んで議論することも初めての経験でした。Peter Goodhand氏は「直接日本の研究者と対話できたことが一番の価値だ」と語り、またMelanie Courtot 氏は「本ワークショップを通じて日本の取組みが優れていることがとてもよく理解できた。Nationwideでハブができ、個別の取組、国としての取組、GA4GHのような国際的枠組みの取組と、レベルの違うチャレンジを階層的に織りなしていくことはとても有益だ」と述べました。

GA4GHワークショップのオーガナイザーである荻島 創一 氏(東北大学、写真5の司会者)は、「国内外のステークホルダーが、合宿形式で顔を見ながら議論を積み重ね、具体的なアクションアイテムを決めて、その場で取り組みがなされたため、非常に実効的なワークショップとなったのではないか」とコメントを寄せました。

写真5︓ワークショップの様⼦
(オープニングセッション)
写真6︓ワークショップの様⼦
(グループワーク)

掲載日 平成31年3月29日

最終更新日 平成31年3月29日