バイオバンク連絡会 第2回 連絡会テーマ 「オミックス研究用生体試料の取扱いに関する報告書」から生体試料の取扱いについて考える

開催概要

開催日時

平成29年10月7日(土)13時30分~17時00分(交流会:16時00分~17時00分)

会場

読売新聞ビル20階 201会議室(東京都千代田区大手町1-7-1)

趣旨

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)研究事業の一環として、我が国のいわゆる三大バイオバンク(東北メディカル・メガバンク、バイオバンク・ジャパン、ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク)の研究者が協働して、バイオバンクの試料の品質に関する検討を行い、その成果を報告書にまとめました。本連絡会では、この研究に従事された先生方に、オミックス研究に利活用する場合に求められる品質確保に焦点をあてた生体試料の取扱いについてご発表いただき、バイオバンクを運営されている方々や研究者の方々との意見交換や情報共有を行います。

演題・講師

  1. 血漿・血清・脳脊髄液の代謝物安定性の検討
    東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
  2. 血清・血漿試料の品質評価マーカーの開発と測定法の確立
    バイオバンク・ジャパン
  3. 生体試料の国際標準化への対応及び臨床オミックス検査への応用
    ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク

開催結果

参加者アンケート結果

要望、意見

【検体試料の採取条件、保管・保存条件について】
<要望>

  • 今回の品質評価およびベストプラクティス(案)は、広く普及させてこそ意味があると思うので、バイオバンクで共有したプロトコール策定などをお願いしたい。また、これらの人材育成に結びつけるような場、環境が必要ではないか?
  • 検体各種のベストな保管条件をAMEDで管理して一覧情報をリリースするなどあると国内の統一ができるのではないか。
  • 末梢血DNAについての品質管理を検討してほしい。
  • 検体採取容器の検討と搬送を要する際のBOXを検討してほしい。

<意見>

  • 血清、血漿等の保存に於いては採血条件(空腹時等)を一定にして行い、なるべく早期に血液成分を分離して保存する方向性が最も重要ではないか。


【試料に付帯する情報について】
<意見>

  • 例として中枢疾患であればplasmaなど単独ではなく、病状データと複数の試料がセットになって保管されていると立体的な研究に役立つと思う。病状データ/plasma/CSF/PETimagingなどがセットとして集まっていることが大切と思う。

【国際的な品質管理の動向について】
<意見>

  • バイオバンクの国際会議(Global Biobank Week)でも品質管理のセッションがあり、いくつかの国において、その国での取り組みを発表していた。日本においても、日本のバイオバンク全体のレベルアップをどう図るかを考えた方がよいのではないか。それが日本人のヒト生体試料の利活用を広げるだけでなく最終的には、大学などの研究室・実験室の実験の品質向上につながる可能性があり、科学の再現性などにも良い影響を与えると期待できる。
  • 同じ課題に対して世界はどう考えているかといったマクロな視点、情報収集も必要と思う。有望である企業がグローバルに活動している中で、「ガラパゴスなサンプル」を提供することに集中しても有効ではないと考える。
  • ISBER、ESBB、BBMRI-ERIC等の日本のカウンターパートの組織やプラットフォームを創り、海外との連携も強化し、日本のバイオバンクのGlobalでのプレゼンスを更に高める活動が必要と思う。

【その他】
<意見>

  • AMEDがバイオバンクを医療関連の「インフラ」として考える点(患者向け)と、利用者の方を向く「事業」として考えておられるのか教えて欲しい。法人としてのバイオバンクの性格が混乱しているように思われる。非営利法人的な性格が強いと思っている。「政府の失敗」と「市場の失敗」に陥らないようAMEDでも検討して欲しい。

感想、情報提供

【コンタミについて】

  • 何検体も癌を扱うので、次の検体に移る時、軽くペーパーでまな板を拭く程度。そのため、くずれやすい癌などは次の検体に混じってしまう。(ただし、診断で問題になることはない。明らかにコンタミとわかるので)
  • 品質管理の点で、FFPE検体のコンタミについて。FFPEのコンタミについてのスクリーニング方法。


【品質管理基準等について】

  • JCCLSにて「検体品質管理マニュアル」を公表している。この冊子は遺伝子関連検査に用いる検体の取扱いを示しているので、参照頂きたい。


【データやノウハウの共有化について】

  • 生データなども研究者が検索出来れば、今回のデータはより有用になると思う。
  • 2018年よりバイオバンクと検体ユーザーをつなぐクラウドGlobal Biobank Web Portalが始動する。このポータルサイトでは、アイルランド商務省がバックアップしているオフィシャル事業で3つのメガファーマがスポンサーになっている。日本からは筑波大学のバンクが参画を予定。

図1(左)所属機関 / 図2(右)参加動機

お問い合わせ先

宛先 バイオバンク連絡会事務局
Tel 03-6870-2228
E-Mail genome-support“AT”amed.go.jp
備考
アドレスは“AT”の部分を@に変えてください。

最終更新日 令和元年12月24日