ゲノム・データ研究開発課 医工連携・人工知能実装研究事業 令和5年度中間評価結果
「医工連携・人工知能実装研究事業」令和5年度 中間評価結果を公表します。
1.中間評価の趣旨
中間評価は、課題等について研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業の運営の改善に資することを目的として実施します。
2.評価項目
「医工連携・人工知能実装研究事業」では、本事業における中間評価の評価項目に沿って、課題評価委員会において中間評価を実施しました。
- ①研究開発進捗状況
-
- 研究開発計画に対する進捗状況はどうか
- ②研究開発成果
-
- 成果が着実に得られたか
- 成果は医療分野の進展に資するものであるか
- 成果は新技術の創出に資するものであるか
- 成果は社会的ニーズに対応するものであるか
- 必要な知的財産の確保がなされているか
- ③実施体制
-
- 研究開発代表者を中心とした研究開発体制が適切に組織されていたか
- 十分な連携体制が構築されていたか
- ④今後の見通し
-
- 今後研究を進めていく上で問題点はないか
- 問題点がある場合は研究内容等の変更が必要か
- その際にはどのように変更又は修正をすべきか
- 今後の研究開発計画は具体的で、明確な目標が設定されているか
- ⑤事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
-
- 生命倫理、安全対策に対する法令等を遵守しているか(※)
- 専門学術雑誌への発表並びに学会での講演及び発表など科学技術コミュニケーション活動(アウトリーチ活動)が図られているか
- 計画の見直しが必要か
- 中断・中止等の措置が必要か(※)
- 【令和3年度 精神疾患、神経・筋疾患】
-
- 個人の健康・医療分野における、検査データと、デジタルフェノタイピングデータが効果的に収集されているか
- 医療機器プログラム等の開発が適切に行われているか
- 当該医療機器プログラム等の臨床試験(治験)等を含めた薬事申請に向けた準備が適切に行われているか
(工程表(ロードマップ)の提出を求める) - 本事業終了後も引き続き薬事申請に向けた検証等を継続する必要がある場合は、持続的かつ自立的運営が可能な体制が構築できているか
(薬事申請に向けた工程表(ロードマップ)の提出を求める)
- 【令和4年度 遠隔医療分野】
-
- 活用するAI技術に必要となる臨床情報等の収集状況
- AI技術を活用したD to Dテレメディシン・サービスの開発状況とロードマップ
- 医療従事者への負担軽減の評価法(定量的、定性的)のバリデーションまたは開発状況
- 臨床系学会との連携状況(具体的には以下2点)
-理事会等の参画・協力への承諾
-実運用スキーム、ガイドライン掲載内容 - 創出される成果の医療機器への該当・非該当を明確にすること
- 医療機器に該当する場合は薬事承認に向けた具体的な計画とロードマップを示すこと
(※)を付した項目については 、委員会としての評価結果の決定に参加する委員の半数以上が「不適切」(1点)と判断した場合に、中止とする取扱いとする。
- ⑥総合評価
- 別に定める10段階評価により、①~⑤を勘案しつつこれらと別に評点を付し、総合評価をする。
3.課題評価委員会
書面審査:令和5年12月25日(月)~令和6年1月18日(木)
ヒアリング審査・課題評価委員会:令和6年1月30日(火)
4.課題評価委員
氏名 | 所属 | 役職 | ||
---|---|---|---|---|
芦原 貴司 |
国立大学法人 滋賀医科大学
情報総合センター 医療情報部 循環器内科
|
教授 | ||
岡本 里香 |
国立大学法人 京都大学
大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 ビッグデータ医科学分野
|
特定准教授 | ||
佐藤 洋一 |
国立大学法人 東京大学
生産技術研究所
|
教授 | ||
佐藤 嘉伸 |
国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科 情報科学領域
|
教授 | ||
鈴木 道雄 |
国立大学法人 富山大学
学術研究部医学系 神経精神医学
|
教授 | ||
村越 正英 |
テルモ株式会社
レギュラトリーアフェアーズ
|
ガバメントアフェアーズ担当部長 | ||
山下 賢 |
学校法人 国際医療福祉大学
成田病院 脳神経内科 医学部脳神経内科学
|
教授 | ||
渡辺 みか |
国家公務員共済組合連合会 東北公済病院
病理診断科
|
部長 |
(五十音順、 敬称略)
5.対象課題及び中間評価結果一覧
研究開発課題名 | 研究開発 代表者 |
所属機関 | 役職 | 評価結果 |
---|---|---|---|---|
視点反応・眼球運動のデジタルフェノタイプを活用した軽度認知機能異常スクリーニングプログラムの研究開発 | 三宅 正裕 | 京都大学 | 特定講師 | MCI検出の精度評価において、MCI検出に特化した神経心理検査に匹敵する精度を達成した点が評価された。 |
オンライン診療を介したリアルワールドデータを活用した「睡眠脳波と問診デジタルデータによるうつ病の検査-問診-診断支援システム」の開発・事業化 | 吉田 政樹 | スリープウェル株式会社 | 代表取締役 | すでに医療機器として承認されている小型脳波計を用いて新技術を創出する試みである点が評価された。 |
心拍変動解析によるてんかん発作予知AIシステムの研究開発 | 藤原 幸一 | 名古屋大学 | 准教授 | PMDAとの相談を重ね、SaMD優先審査対象品目に指定されるなど社会実装に向けて適切な医療機器プログラムの開発プロセスが進められている点が評価された。 |
リストバンド型ウェアラブルデバイスデータを用いてうつ病スクリーニングおよび重症度評価を可能とするソフトウェア医療機器の開発 | 岸本 泰士郎 | 慶應義塾大学 | 特任教授 | PMDAや厚労省との相談が適切になされ、研究開発計画に沿って着実に成果が得られており、SaMD優先審査対象品目に指定されるなど成果が期待される点が評価された。 |
AI技術を活用した統合失調症の早期診断医療機器プログラムの開発 | 橋本 亮太 | 国立精神・神経医療研究センター | 部長 | PMDA開発前相談、フォローアップ面談、厚労省医療機器政策室の医療機器保険適用に関する相談、販売戦略検討と、医療機器薬事承認申請に関する準備が適切に行われている点が評価された。 |
デュアルタスクによる認知機能障害の早期診断支援システムの研究 | 八木 康史 | 大阪大学 | 教授 | デュアルタスクによる認知機能低下検出という独創性の高いアプローチを軸として、AIモデルの開発、データセットの構築とAIモデルの効果検証において良好な成果があげられている点が評価された。 |
日本全地域で心不全診療連携を最適化するAI実装DtoDシステムの開発と実用化 | 朔 啓太 | 国立循環器病研究センター | 室長 | 実装に向けてPMDAとの相談を重ねており、総合的に高い水準で研究が進捗している点が評価された。 |
患者のライブ映像を含むマルチモーダルな医療データを用いたAI技術により、重症患者の身体観察所見及び重症度評価を自動化するAI見守り機能を搭載したD-to-Dの遠隔ICUテレメディシン・サービスの実装研究 | 高木 俊介 | 横浜市立大学 | 准教授 | 診療報酬に関しての行政対応や、ガイドライン改訂などの活動も実施されており、連携の取れた体制である点が評価された。 |
(敬称略)
6.総評
今回の中間評価の結果は、5.5~8.0点に分布し、8課題のうち4課題が計画を超えて進捗していると評価され、3課題は総合的に計画どおりに進捗していると評価されました。一方で、1課題は、計画どおりに進捗している部分もあるが、進捗していない部分もあったと評価されました。
掲載日 令和6年2月21日
最終更新日 令和6年2月21日