国際企画課 HFSP 研究グラント・プログラムへの応募手続き
更新履歴
令和5年3月13日 HFSP研究グラント・プログラムへの応募適格性(独立した研究者)に関する参考情報を追記しました。
HFSP 研究グラント・プログラムへの応募手続き
ORCID IDの登録
HFSPOは、全ての申請者に対し、ORCID IDの提示を求めています。
- 全ての申請手続きは、「Proposal Central」というシステムを通じてオンラインで行います。
Proposal Central URL:https://proposalcentral.com/
このため応募に先だって申請者登録が必要となります。 - 申請者登録手続きに関する技術的サポートについては、「Proposal Central」に直接問い合わせることができます。
メールでの問合せ先:pcsupport”AT”altum.com(“AT”の部分を@に変えてください。)
応募に関する締切日及び審査日程
- HFSPOに申請者登録サイトが開設されたら、Letter of Intent(LoT:研究概要申請書)の提出の前に指定された期日(通例3月下旬:2025年度申請は2024年3月19日締切)までに申請サイトにて登録番号(Compulsory initiation: a 7-digit LoI ID 1 XXX XXX)を取得し申請者登録を行ってください。
- Letter of Intent: 提出期限は通例3月末の指定された期日です。
(2025年度採択分の研究グラントへの応募は、2024年3月28日締切。) - Full Proposal(詳細申請書):提出期限は通例9月中旬の指定された期日です。(一次審査通過者のみ)
具体的な提出締切日は追って通知されます。 - 最終審査結果の一次審査通過申請者への通知: 通例翌年の3月下旬に全員に対しなされます。(受賞を逃した申請者に対しては、個別の研究チームに宛てて、採択に至らなかった理由及び将来の再応募の際の参考となるフィードバックのメッセージが通知されます。)研究グラント・プログラムについてのその他の全体を通じての質問については、HFSPO事務局に問い合わせることができます。
メールでの問合せ先:grant"AT"hfsp.org(“AT”の部分を@に変えてください。)
HFSPの本質を理解するための重要なポイント
- HFSPによる研究支援において次のものを対象として重視しています。
- 真に国際的な(さらに大陸間横断が望ましい)科学的共同研究
- 新奇的、革新的で学際的な手法による基礎研究
- 研究経験の浅い若手研究者にも積極的に研究機会(若手研究者グラント:Research Grants-Early Career)を提供
- HFSPが研究支援する対象は、卓越した研究経験をお互いに持ち寄ってライフサイエンス分野におけるフロンティア(未踏)課題に取り組む共同研究活動
- HFSP研究グラントの選考審査において重要視されている概念は、高いリスクを伴っても新奇で革新的なフロンティア研究へのチャレンジ
【参考】HFSP研究グラント・プログラムへの応募適格性(独立した研究者)について
下記の「Q1」及び「Q2」は、HFSP研究グラント・プログラムへの応募適格性に関する質問であり、「A1」及び「A2」にHFSPO事務局から寄せられたそれらの質問への回答をご紹介しています。Q1:HFSP研究グラントへの応募資格に「独立した研究者であること」とありますが、具体的にはどういうことなのでしょうか?
A1:応募した研究が採択された際、それを遂行する完全な決定権がご本人にあれば独立した研究者としてみなされます。
Q2:HFSP研究グラントの「Research Grants - Early Career」への応募資格として、「研究チームのメンバー全員が5年以内に独立した研究者(准教授、講師、助教またはそれに同等の研究者を含む)、かつ、Letter of Intent 提出締め切り時点で博士号取得後10年以内の研究者」とあります。現在、所属している組織(学科、講座、研究室等)には、自分の上司筋に当たる教授らが居ますが、このことと「独立した研究者」の意味合いについて教えてください。
A2:上記のA1のとおり、応募した研究が採択された際、それを遂行する完全な決定権がご本人にあれば「独立した研究者」としてみなされます。例えば、日本の大学の研究組織内の肩書が「助教」の場合、同じ組織内に教授等の指導的立場の者が居ることは一般的かと思われますが、このことと「独立した研究者であるか」の判断は別になされます。
【注】例えば日本については、日本学術振興会(JSPS)の「科学研究費助成事業(科研費:Grants-in-Aid for Scientific Research)」への応募資格の要件を満たす者であれば、HFSP研究グラント・プログラムへの応募資格を有するものとみなされます。
(参考:令和6(2024)年度科学研究費助成事業 科研費 公募要領)
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_tokus2023/r6_4_kobo.pdf
Letter of Intent (研究概要申請書)の作成に当たって
Letter of Intent(研究概要申請書)を適切に作成するために「ガイドライン」及び「FAQ」並びに「行うべきこと」及び「行うべきではないこと」が記載されていますので、研究概要申請書作成の前に必ず参照してください。
【HFSPOのウェブサイトから】まず、分野全体を進歩させるような斬新なアイデアを考えましょう。研究手法が未だ確立されていなかったとしても、貴方が本当に知りたいことは何かを自問してください。
「行うべきこと」
- 提出期限の数か月前から計画作りに着手しましょう。Letter of Intent は短い記述ですが、審査員は提出された簡潔な計画案の中から考え抜かれた構想を読み取ります。
- 最近、貴方の研究関心事に全く新たな発想や研究構想を思い起こさせたり、大いに感心させられたりした論文やプレゼンテーションがないか考えてみましょう。
- それらの関係しそうな論文著者についての文献検索を行い、彼らの関心事を把握し、事前に共同研究を行う意思があるかどうかを問い合わせるメールを送信しましょう。
- プロジェクトへの参加を招請する前に、メンバー構成についてよく考えてください。専門分野が重複することや、メンバー構成員が多すぎることになるのは避けましょう。
- 研究過程におけるメンバー間の相互作用について、例えば、次の様な点について検討してください。
- 「それぞれの共同研究者はどのような貢献ができるでしょうか?」
- 「共同研究者間で研究構想、研究資材や研究結果を互いに良く検討し合えることはできるでしょうか?」
- 「ある一人のチームメンバーの成り行き次第によってプロジェクトそのものが重大な影響を受けるような段階がありそうでしょうか?」
- 「そのような障害となる事態が発生した場合、貴方は代替的戦略(プランB)を見い出すことができるでしょうか?」
「行うべきではないこと」:
- 真に斬新な一捻りを加えた研究提案でない限り、貴方が研究しようとする遺伝子/種/シグナル伝達経路等に関し、既知のアプローチを適用して類似のプロジェクトを構成してしまうこと。
- 貴方と同様の研究をしている、同様の研究手法を用いている、又は同じ学会誌等に一緒に論文発表したことがある研究者をチームに招くこと。
- 著名な研究者、名門の研究機関の研究者、又は大陸間を横断する研究チームを構成するために名目上のみの共同研究者を求めてしまうこと。
- より適すると思われる国又は地域(例:ヨーロッパ)の研究資金支援スキームに応募してしまうこと。審査委員会は、健全な提案であっても応用研究的性格やライフサイエンス基礎研究の知見を拡大することに貢献しそうもないような多くの申請を排除する。
- 明らかに現在進行中のプログラムの次のステップの申請をしてしまうこと。⇒ 非常に数多くの研究概要申請書(LoI)がこの理由により不採択になっている。
研究グラント申請の「研究概要申請書(Letter of Intent)」様式への記入必要事項
【HFSPOのウェブサイトから】
以下の解説は、「Proposal Central」の申請サイトを開く前に、又はオンライン様式への記入の事前準備、若しくは申請事項の確認を行うための参考としてご覧ください。(申請サイト中には各項目についての記述要領の説明があります。)
「表題」及び「キーワード」
- 表題:(スペースを含めて最大100文字)
- キーワード(最大10件): キーワードには、1. 生体機能、2. 生体物質、3. 方法と手段を含みます。
もしも、「Proposal Central」の申請サイトにおいてキーワードが見当たらない場合は、「追加のキーワード」ボックスを使用して追加できます。 - チームメンバー各人の専門分野(最大10件)。リストから選択してください。
研究プロジェクト(申請内容の最も重要なページです。)
- 研究プロジェクト全体の概要(スペースと句読点を含めて1,200文字以内):研究チームの全体的な目標を明確に述べてください。異なる専門分野の役割(貢献)について簡潔に記載してください。
- 各チームメンバーは研究チーム全体の目標を達成するための各自のサブ・プロジェクトの役割について、明確な見通しのもとに説明する必要があります(スペース及び句読点を含めて1,200文字以内): この記入欄では共同研究における科学的貢献について説明する必要があり、履歴書(CV)の内容を繰り返さないでください。
【注:このオンライン様式には4つの記入欄が用意されています。応募者はチームメンバー数に応じて、それぞれの記載を行う必要があります。5名の研究チームの場合は、4つ目の記入欄を2名のメンバーで共有してください。】
なお、サブ・プロジェクトの記入欄には文字数の上限があり、また、記入欄間での制限文字数の再配分はできません。 - 次の点について簡潔に説明しましょう。
- 申請する研究プロジェクトは、ライフサイエンス分野のフロンティア研究を「どのように」革新し、拡大するか?
- 提案された研究プロジェクトの「どのような」側面が特にユニークで画期的か?
ライフサイエンス分野の基本的な問い(スペース及び句読点を含み1,600文字以内)に対して画期的な解答を導くために、開発される新たな手法や新たな研究専門領域の組合せの可能性は何か?
- 学際性と共同研究協力/研究チームの統合的構成
- 研究チームの学際性(専門知識の新しい組合せを含む)はどのようなものか?
- 「どのような」専門知識の組合せが研究プロジェクトの成功に役立つか。とりわけ4名以上の研究チームである場合、又は同一国から2名のメンバーが参加する場合(ガイドラインの 3.6.を参照)は、その必要性の説明が重要である(スペースと句読点を含み 600 文字以内)。研究プロジェクトの成功のために、どのような共同研究が不可欠か?個人の貢献度を足し合わせるよりも研究チームがより強力になるのはなぜか?提案される研究プロジェクトは、個々の研究チームメンバの進行中の研究と「どのように」異なるのか?(スペース及び句読点を含み 600文字以内)。
- 研究プロジェクトに関連する参考事項(最大5件。スペース及び句読点を含め1,200文字)– これらには自身の論文を含めることができますが、これに限りません。
各研究チームメンバーも各自の記入欄に、所属、学位、Orcid ID、短い履歴書(CV)を記載し、直近5年間における10件までの研究論文(プレプリントを含む―定義(Use of preprint servers | Human Frontier Science Program)を参照)を記入しなければなりません。申請書の審査では、主として研究プロジェクトに関するフロンティア性、新奇性、学際性及び国際性について評価されているため、履歴書(CV)には受賞歴及び他の学術的業績のリストは要求されていません。
研究チームは、メンバー間の共著研究論文(ある場合)(ガイドラインの 3.1を参照)に関して申告し、これらの完全な参考情報(リファレンス)を提出しなければなりません。これは、当該共同研究が新規のものなのか、又は進行中のものの延長なのかについての審査員の理解に役立ちます。
HFSP研究グラントの「詳細申請書(Full Proposal)」の申請段階における「ProposalCentral」への記入に必要な情報
詳細申請書(Full Proposal)
この段階では、全ての研究チームメンバーが申請書に署名する必要があります。各申請者が所属する研究機関の管理部門の代表者も署名する必要があります。
履歴書(CV)情報、研究論文情報、キーワードその他に関する情報についての要件は、LoI(研究概要申請書)のものと同様です。
研究プロジェクトに関する情報に関しては、一部はオンラインで入力する必要があり、一部はダウンロード可能なフォームに入力し、入力完了後、再度アップロードする必要があります。
オンラインで入力する情報
- 科学的要約(句読点と空白を含め2,400文字以内):全ての審査員によって読まれます。
- 公開抄録(句読点と空白を含め2,400文字以内):申請が採択(資金提供)された場合の公表用に使用されますので、機微情報を含めないでください。
- 申請研究プロジェクトの概要(句読点と空白を含め8,000文字以内):申請研究の科学的目的及び以下の質問に答える形での回答が必要です。
- 「申請研究のどの側面が特に新奇で/革新的ですか?」
- 「どの共同研究要素が研究プロジェクトとして追求すべきものですか?」
- 「研究チームメンバー内でどの異なる専門横断性が代表的ですか?」
- 「共同研究のアイデアはどのようにして生まれましたか?」
- 「共同研究はどのように実行されるのですか?」
- 「進行中の研究との相違点(句読点と空白を含め1,500文字以内):ここでは申請プロジェクトが研究チームメンバーの進行中のそれぞれの研究活動と「どのように」異なるのかを記入する必要があります。」
- 学際性についての記述(1,500文字以内): 研究概要申請書(LoI)と同様です。
ファイルに記載する情報
(スペース、句読点、図の凡例を含め最大30,000文字。参考文献は除く。)
この部分への記載に関する説明を次項に示します。
記載が完了したら、記入要領説明テキストを削除、ファイルを PDF に変換して、「サブ・メニュー9」からPDFをアップロードしてください。
- (申請研究の詳細に関する情報についての当該ファイルへの記載方法)
- 研究チームによる申請研究における、研究の目的、仮説、アプローチ及び背景並びに詳細研究計画を記述します。 このセクションにおいては、テキストと図版、表などを用いて科学論文を作成するように構成する必要があります(スペース及び句読点を含め(参考文献部分は除き)最大30,000文字以内)。
- Calibri 11ポイントのテキスト、1.5行間隔で入力してください。さらに参考文献のリスト(シングル・スペースで可)及び最大2ページのデータ(凡例を含む図及び/又は表)を添付します。 テキスト内に図を挿入することもできます。ただし、高解像度の図は使用しないでください。図及び表を合わせて 1MBを超えてはなりません。 ページ上部のボックスに本文の文字数を記入してください: 図の凡例及び表のテキストについても文字数に含めてください。これらの制限を超える申請書は受け付けられません。附属文書又はその他の補足資料は受け付けられません。 このセクションでは、研究チーム内の共同研究者の異なる研究戦略をチームの研究計画に統合し、単独の計画とする必要があります。計画には次の要素が含まれている必要があります:
- 申請研究プロジェクトの科学的背景
- 研究目的及び統合された研究計画の概要並びに各研究者の研究分担。チームメンバー以外の隠された研究パートナー/共同研究者は避けるべきです。
- 国際的共同研究の必要性に関する記述。ここではどの共同研究に係る要素が研究プロジェクトにとって不可欠であり、どのように機能するのかに関する明確な論述(概要(overview)欄の記述制限を上回る詳細な記述が必要な場合)を含みます。
- 共同研究チームメンバー毎の研究プロジェクトに関する詳細な記述。
- 予備データは必要ありませんのでご注意ください。
- 理論的な要素を伴う申請研究の場合(例: 数学的モデリング、バイオインフォマティクス)、その理論的アプローチ及び実験戦略との相互関係に関して明確に記載する必要があります。審査委員会には、相当な専門知識を持つメンバーが含まれています。
- 研究の継続を困難にさせる潜在的な問題、及び、もしもそれらが発生した場合の代替的戦略についての検討内容。何が研究のリスクでそのリスクが起こった場合にどう対応するかの説明が求められています。
HFSP研究グラント・プログラムの重要なポイント
- HFSPO は、生命のすべての組織および、代謝・栄養レベルに関する生命科学の基本的な問題を研究する基礎研究のプロジェクトに資金を提供しています。研究プロジェクトの範囲は、分子・細胞レべルの生体機能の解明から、認知機能を含む生体システムに関するものにまで及び、あらゆるレベルの解析研究が支援可能です。例えば、遺伝子や個々の分子、細胞内ネットワーク、組織や器官の細胞間会合、生物全体、個体群、又は生態系の複雑な機能の根底にあるネットワークに関する研究等が挙げられます。
- 研究グラントへの申請者は「生物の高度で複雑なメカニズムの解明に焦点を当てた基礎研究に資金を提供する」という HFSPOの使命を考慮に入れる必要があります。
すなわち、HFSPOは、ライフサイエンス分野の最前線における基本的な課題又はメカニズムに取り組む申請プロジェクトのみに研究資金を支給します。
- 研究グラントへの申請は、アイデア又はコンセプトに基づく探索的又は発見的性格のもので構いません。したがって、予備データの提出は求められていません。
- HFSPO は、ライフサイエンス分野の最前線にある課題に焦点を当てた、優れた専門知識を持つ科学者を結集させる新たな共同研究活動に資金を提供しています。研究プロジェクトの革新的な要素は、HFSP研究グラントの審査における最重要要素ですが、そこではライフサイエンス分野の最前線での研究プロジェクトには高いリスクが伴う可能性があることが認識されています。
HFSP研究グラント・プログラムの選考審査についての留意点
HFSPO ではライフサイエンス分野での基礎研究に対して研究支援を行っていますので、次のような研究プロジェクトは支援対象外となります。
- プロジェクトとして応用研究の性格を持つもの: 例えば次のようなものです
- 主として臨床医学及び創薬的な性格を有するプロジェクト。ただし、疾病の基礎的な生物学上のメカニズムの解明につながるプロジェクトの場合は容認されます。
- 診断及び治療の方法を開発する目的のプロジェクト(潜在的薬物目標の探求又は開発中薬物の発展的治験に関する調査研究を含みます)。
- 工学、バイオテクノロジー又はナノテクノロジーにおける応用研究(これらは生物学上の基礎研究課題を対象としていません)。
- 農学又は林学に直接的に関係するプロジェクト(例えば、農作物の生産・育種及び環境汚染対策等の環境問題に関するプロジェクトが挙げられます)。
- 新規の研究方法若しくは類似研究方法の開発又は生物学上の活動のモデル化を目的とした研究(ただし、HFSP の目的である基礎研究への支援活動に呼応して、新たな生物学上の課題への解答を探索する場合は支援対象として容認されます)。
- 観察的研究プロジェクト又は系統的スクリーニングアプローチによるプロジェクト。
- 大規模なデータ収集そのものを目的とする研究プロジェクト(ただし、データ収集に関する合理的な理由を伴い、かつ、データ分析についての詳細な方法論を伴う場合を除く)。この「大規模なデータ収集」には、全般的な関心としての基礎的な生物学上の課題の対象とはされていない個体群又は生態系についての系統的な複数種に関するオミックス解析が含まれます。ただし、種間相互作用又はそれらの共通進化のメカニズムに関する研究については適格性を有します。
- 営利目的環境下における研究。ただし、営利目的機関との共同研究活動については、プロジェクト実施のための必要性が認められれば、容認されます。
(参考)詳細申請書(Full Proposal)段階での不採択理由
毎年多くの有望と目された「詳細申請書」が、次のような理由により審査委員会を納得させることができていません。
- 提案されたプロジェクトが、申請代表者による進行中の研究プロジェクトを単に支援するためと解釈されたもの。
- 共同研究者間の相互関係が漠然としか説明されておらず、審査委員会で、チームメンバーが協力するのではなく、同時並行して研究するものとの印象であったもの。
- 申請者は、この分野の関連する根拠文献を引用することをせず、選択したアプローチについての論述なしに研究手法の羅列(カタログの提示)を行っているもの。
- 審査委員会として、研究チームメンバーの全員が申請プロジェクト案を読んだわけではないことを確信したもの。顕著な事例としては、物理科学者(彼/彼女は申請書を読んでいないであろうことが推定された)による貢献に関する記載において深刻な誤りが認められるとされる場合。さらに他の例では、ある研究チームメンバーの貢献が研究計画全体に組み込まれていないこと、又は他の研究チームメンバーからの有意なフィードバックを受けることなく単に研究素材(マウス、cDNA、抗体など)の提供者として含まれているもの。
- 実験計画の記述がなく、当初の研究計画が失敗した場合の代替計画もないもの。(審査委員会は、「マイルストーン」や「成果物」を求めているのではなく、単純に「考え抜かれた提案」であるかについて確信を持ちたいのである。)
- 申請者自身が、HFSPでは「リスク」を重視していることを理解していないもの。この「リスク」については「上手く行くか、上手く行かないか分からないからリスキーだ」というような単純な話ではない。漠然としたわずかな経験の記載を伴っただけの大袈裟な話に関して「申請者としては実現できることを願っている」というようなものについては、審査委員の確証を得ることはありません。期待されていることは、研究チームとして問題点を認識しており、合理的な機会として上手く行くであろうとの研究チーム自身の推論です。この点については、技術的に現状の制約されたパラメータについて、及び提案されている新奇な手法が改善をもたらしうるかに関する議論を含む。データ解析に関しては、収集すべきデータの数及び性格についての見積もりを提供し、このようなデータセットを取り扱う計算ツールの適切性に関する議論を含む。
- プロジェクト全体が当初の唯一の実験の成功のみに依存しており、代替手段に関する計画が示されていないもの。
- モデリング及び数学的手法に関する提案が明確に示されていないもの。申請者は、審査委員会がモデリングについて相当の専門知識を有することに注意する必要がある。審査委員会のメンバーは、方程式、数学的方法、及び提案されたアプローチなどの限界に関する議論に期待を寄せている。
研究グラント・プログラムは年に一回しか申請の機会がないため、申請をお考えの方は数少ないチャンスを活かすためにも、「詳細申請書」の作成に際して、上記の諸点に御留意されることをお勧めします。
HFSP研究グラント・プログラムを活用するメリットは何でしょうか?
- 異なる国に所在している研究者が共同研究を行う際は、通常は、それぞれの研究者が研究費を確保しなければならないが、HFSP研究グラントに採択されれば、そこから経費を配分することができ、国際共同研究をスムーズに行うことが可能です。
- 研究チームメンバー同士がこれまで共同研究を行ったことはないことが要件となっており、また予備データが不要であることから、新たに共同研究を始める際の研究費として最適です。
- HFSPの研究グラント等を受けている研究者が集まり、議演、ポスターセッション等を行う受賞者会合(Awardees Meeting)などがあり、新たなネットワークの構築につながります。
※このほか、過去に研究グラント・プログラムの支援を受けた研究者からは、
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自由度が高く、年度をまたぐ繰り越しも容易だったので、研究活動に専念できた。
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事務処理が簡素であり、会計報告書を提出すれば、会計事務は完了します。
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研究進捗状況により、研究期間を1年延長することもできます。
といった研究費の使いやすさに関する意見もあります。
HFSP研究グラント・プログラムの国際共同研究による研究者としてのキャリア構築への利点について
- HFSP研究グラント・プログラムの公募における競争率は高いです。
- 申請した研究チームの採択成功率は、例年、約3~4%です。
- 毎年、世界中のトップレベルの研究者たちが、意欲的な研究チームを結成して応募競争に参加しています。また、選考審査のプロセスに参画しているレビューア達も超一流の研究者たちです。
- 特に、若手研究者にとってHFSP研究グラントの受賞者に採択されたという実績は、その受賞者自身の高い資質が国際的な評価の場において認められたものと認識されています。
- この評価は多くの若手研究者にとって、大学や研究機関のポストや研究費獲得の手助けになり、また、多くの国で、その国や地方の機関に対して彼らへの研究を支援するよう奨励しています。
参考:HFSPのこれまでの実績
1989年にHFSPが開始されて以来、約1,200件の「研究グラント」共同研究プロジェクトへの研究支援が行われてきました。これまで、これらのプロジェクトには世界中の約4,400名の科学者が参画しています。
さらに、若手ポスドク研究者を対象にした「フェローシップ」プログラムでは 3,400名以上のフェローシップ受賞者が彼ら/彼女らの出身国外の受入機関で研究する機会が提供されてきました。
特筆すべきは、HFSP「研究グラント・プログラム」の助成を受けた研究者の中から、29名がその後に栄えあるノーベル賞を受賞しています。
最終更新日 令和6年1月9日