再生医療研究開発課 再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)における事後評価結果(令和3年度終了課題)について

令和3年度に終了した「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」の事後評価結果を公表します。

事後評価

1.事後評価の趣旨

事後評価は、研究開発の実施状況、研究開発成果等を明らかにし、今後の研究開発成果等の展開及び事業の運営の改善に資することを目的として実施します。
再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)において、本事業における事後評価の評価項目に沿って、評価対象課題別に課題評価委員会において書面審査およびヒアリング審査による事後評価を実施しました。

2.事後評価対象課題

事後評価対象は、平成29年度に採択され、令和3年度末に5年間の研究開発期間が終了した9課題、および令和元年度に採択され、令和3年度末に3年間の研究開発期間が終了した1課題の全10課題です。

研究開発課題名 代表研究開発機関 役職 研究開発代表者
In-vitro安全性試験・薬物動態試験の高度化を実現するorgan/ multi-organs-on-a-chipの開発とその製造技術基盤の確立 産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門
上級主任研究員
金森 敏幸
階層的共培養を基礎とするLiver/Gut on-a-chipの開発:インビトロ腸肝循環評価を目指した高度な代謝と極性輸送の再現 東京大学 大学院工学系研究科 教授 酒井 康行
腸肝循環の薬物動態を再現可能なデバイスの開発 京都大学  iPS細胞研究所 講師 高山 和雄
生体模倣小腸-肝臓チップ:バイオアベイラビリティ予測と安全性評価in vitroモデルの開発 名古屋市立大学 大学院薬学研究科 教授 松永 民秀
創薬における高次in vitro評価系としてのKidney-on-a-chipの開発 東海大学 工学部機械工学科 准教授 木村 啓志
創薬スクリーニングを可能にするヒトiPS細胞を用いた腎臓Organ-on-a-Chip 京都大学 大学院工学研究科 教授 横川 隆司
医薬品の脳内移行性を評価可能な3次元血液脳関門(BBB)デバイスの開発 東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授 竹内 昌治
中枢神経系の薬物動態・安全性試験を可能にする血管脳関門チューブネットワークデバイスの開発 大阪大学 大学院工学研究科 教授 松崎 典弥
薬物動態・安全性試験用organ(s)-on-a-chipに搭載可能な臓器細胞/組織の基準作成 国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 客員研究員 石田 誠一
iPS細胞由来肝細胞とヒト肝細胞の相関性評価に関する研究 国立成育医療研究センター 研究所再生医療センター 生殖医療研究部 部長 阿久津 英憲

3.課題評価委員会

書面評価:令和4年7月20日~8月9日
ヒアリング審査:令和4年9月14日

4.評価項目

  1. 研究開発達成状況
  2. 研究開発成果
  3. 実施体制
  4. 今後の見通し
  5. 事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
  6. 総合評価

5.総評

本事業は、「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」のうち、再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発を目指す委託研究開発事業です。iPS・ES細胞等から分化誘導される各種臓器の細胞等を応用し、医薬候補品の安全性等を評価する基盤技術を開発することにより、幹細胞の創薬への活用を加速することを目的とします。具体的には、各種臓器の細胞を立体培養・共培養など高度な培養技術で培養し、チップ等デバイス上に搭載することでOrgan-on-a-ChipをはじめとするMPS(Microphysiological System:生体模倣システム)を構築し、デバイス上で化合物の安全性や薬物動態等を評価するための基盤技術を確立します。

平成29年度に採択され令和3年度に終了した9課題および令和元年度に採択され令和3年度に終了した1課題の計10課題について審査され、一部計画通りの進捗と成果が得られなかった課題があったものの、概ね総合的に計画通りまたは計画をやや上回る進捗と成果が得られたと評価されました。

本事業は令和3年度に終了しましたが、令和4年度より、後継事業として「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した高度な創薬支援ツール技術開発)」が開始されており、本事業成果の更なる発展が期待されています。

最終更新日 令和4年12月20日